デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い,パソコンが1台あれば著作物のコピー等が簡単にできるようになるとともに,インターネットを通じて,国境を越えた著作物の流通が活発に行われるようになりました。
文化庁では,このような現状に対応した適切な海賊版(違法複製物)対策と国際ルールの構築を積極的に推進しています。
アジア地域において,近年,音楽やゲームソフトなどの我が国の著作物に対する関心が高まる一方で,我が国の著作物の海賊版の製造・流通が問題になっています。
海外における海賊版の製造・流通を防ぐためには,我が国の権利者が,自ら侵害発生地において迅速に対抗措置をとることができるよう,環境を整備することが不可欠です。
このため,文化庁では,政府が決定した「知的財産推進計画2006」に基づき,次のような施策を積極的に実施しています。
著作物は,貿易やインターネットを通じた送信などにより国境を越えて利用されるものであるため,多くの国において,条約に基づく国際的な保護が行われています。我が国も著作権の保護に関する「ベルヌ条約」,実演家,レコード製作者及び放送機関の保護に関する「ローマ条約」,著作権者,実演家,レコード製作者及び放送機関の保護に関する「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)(注)」に加え,インターネット時代に対応した「著作権に関する世界知的所有権機関条約(WCT)」や「実演家及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)」などを締結しています。
また,我が国は現在,世界知的所有権機関(WIPO)で検討が進められている「放送機関」や「視聴覚的実演」の保護に関する新条約の議論を推進するために積極的な役割を果たしています。前者は放送機関の権利を,後者は俳優など映像に関係する実演家の権利を,デジタル化・ネットワーク化に対応してそれぞれ保護するためのものです。さらに我が国は,アジア地域を中心に,WCTやWPPTをはじめとするWIPO条約への加入を働きかけています(図表2-9-24)。