第3節 文化財の保存と活用

7.歴史的集落・町並みの保存と活用

(1)伝統的建造物群とは

 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群を伝統的建造物群と呼び,城下町や宿場町,門前町,農漁村集落などがこれに当たります。これらの中で価値の高い伝統的建造物群を有する市町村では,伝統的建造物群及びこれと一体をなして価値を形成している環境を保存するために伝統的建造物群保存地区を定め,伝統的建造物の現状変更の規制などを行い,歴史的集落や町並みの保存と活用を図っています。

(2)重要伝統的建造物群保存地区の選定

 国は,伝統的建造物群保存地区のうち,市町村の申出に基づき,我が国にとってその価値が特に高いものを,重要伝統的建造物群保存地区に選定しています。
 最近では,以下の地区で選定を行っており(図表2-9-12),平成18年8月現在,全国で67市町村78地区を選定しています。

▲塩尻市木曾平沢伝統的建造物群保存地区

図表●2-9-12 重要伝統的建造物群保存地区 平成17年12月,18年3月選定(計9件)

(3)保存・活用のための取組

 文化庁は,重要伝統的建造物群保存地区において,伝統的建造物の修理,伝統的建造物以外の建築物などの修景,防災のための施設・設備の設置,建造物や土地の公有化などの市町村が行う事業に国庫補助を行っています。
 なお,近年では岩手県の金ヶ崎町城内諏訪小路伝統的建造物群保存地区の旧大沼家住宅で近世の地方武士の暮らしが見学できるなど,伝統的建造物の積極的な公開活用のための事業が,市町村において取り組まれています。

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