第3節 文化財の保存と活用

6.文化的景観の保存と活用

(1)文化的景観とは

 地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないものを「文化的景観」といいます。このような文化的景観は,我が国の社会・産業構造の変化や国民生活・意識の変化によりその価値が認識されないまま失われつつありますが,人と自然とがかかわる中ではぐくまれた豊かな文化的価値が込められているため,国民共通の財産として次世代に継承していく必要があります。

(2)重要文化的景観の選定

 国は,文化的景観のうち,都道府県又は市町村の申出に基づき,特に重要なものを重要文化的景観として選定しています。
 平成18年1月には,西の湖とその周辺のヨシ原などの自然環境が,ヨシ産業などの生業や内湖と共生する地域住民の生活と深く結び付き,独特の発展を遂げた貴重な文化的景観であるとして「近江八幡の水郷」(滋賀県)が第1号の重要文化的景観に選定されました。
 また,平成18年7月には,特に,中世平泉の中尊寺経蔵別当領に関係する骨寺村荘園遺跡に起源を持ち,この地に独特の気候・風土を踏まえた農耕と居住の在り方を示す貴重な文化的景観として,「一関本寺の農村景観」(岩手県)が重要文化的景観に選定されました。

(3)保存・活用のための取組

 文化庁は,都道府県又は市町村が行う文化的景観の歴史的変遷等の調査や文化的景観保存計画の策定,普及・啓発,重要文化的景観の整備等に関する事業に国庫補助を行っています。

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