第3節 文化財の保存と活用

3.無形文化財の継承と発展

(1)無形文化財とは

 演劇,音楽,工芸技術,その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いものを「無形文化財」といいます。無形文化財は,人間の「わざ」そのものであり,具体的にはそのわざを体得した個人又は個人の集団によって体現されます。

(2)重要無形文化財の指定及び保持者等の認定

 国は,無形文化財のうち重要なものを重要無形文化財に指定し,同時に,これらのわざを高度に体現しているものを保持者又は保持団体として認定し,我が国の伝統的なわざの継承を図っています。保持者等の認定には「各個認定」(この保持者がいわゆる「人間国宝」),「総合認定」,「保持団体認定」の3方式が採られています。
 平成18年8月には,芸能分野で「組踊立方」を重要無形文化財に指定し,1名を保持者に認定(各個認定)するとともに,工芸術分野において「漆」「鍛金」についてそれぞれ1名を保持者に追加認定(各個認定)しました。また,「河東節」と「荻江節」の2件の重要無形文化財保持者の団体構成員を追加認定(総合認定)しました。
 なお,文化庁では,重要無形文化財の各個認定の保持者(人間国宝)に対し,わざの錬磨向上と伝承者の養成のための特別助成金を交付するとともに,重要無形文化財の保持団体などが行う伝承者養成事業に対して補助を行っています。このような施策を通じて無形文化財の保存・継承を図っています。

▲重要無形文化財(鍛金)
保持者 田口壽恒

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