第3節 文化財の保存と活用

1.文化財保護制度の概要

 文化財は,我が国の歴史や文化を正しく理解するためになくてはならないものであると同時に,将来の文化の向上発展の基礎となるものです。また,その価値が損なわれると回復することのできない,貴重な国民全体の財産でもあります。このような国民的財産である文化財の適切な保存・活用を図ることは大変重要なことです。
 このため,国は,文化財保護法に基づき,文化財のうち重要なものを指定・選定・登録し,現状変更,修理,輸出などに一定の制限を課しています。その一方,有形の文化財については保存修理,防災,買上げ等に対し,無形の文化財については伝承者養成や記録作成などに対して助成するなど,保存と活用のために必要な様々な措置を講じています。
 文化財保護法では,現在,文化財を有形文化財,無形文化財,民俗文化財,記念物,文化的景観,伝統的建造物群の6分野に分類しており,各分野ごとに,その性質に応じた保存・活用のための施策を実施しています(図表2-9-6図表2-9-7)。
 なお,平成17年4月に施行された文化財保護法の一部を改正する法律により,新たに文化的景観を文化財の定義に加えるとともに,民俗文化財の定義に民俗技術を加え保護の対象とし,さらには,建造物以外の有形の文化財,有形民俗文化財,記念物にも登録制度を拡充しました。

図表●2-9-6 国指定等文化財の件数(平成18年11月1日現在)

図表●2-9-7 文化財保護の体系

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