第1節 芸術創造活動の推進

6.企業からの文化発信の取組への支援

(1)メセナ活動への支援

 社団法人企業メセナ協議会は,企業によるメセナ(注1)(芸術文化支援)活動の推進のために,芸術文化支援を行う企業相互の連携を図ることを目的として平成2年に設立されました。同協議会は,その主たる目的である業務に関連する寄附金に関して税制上の優遇措置が講じられている特定公益増進法人として認定されており,主要事業の一つとして,民間の芸術文化支援を促進する「助成認定制度」を実施しています。
 この制度の認定を受けた文化芸術活動に対して寄附を行う場合,協議会が寄附金としていったん受け入れ,その同額を認定活動を行う団体・個人に助成金として交付することにより,個人の場合には所得控除,企業などの法人の場合には一般の寄附金とは別枠での損金算入が認められます(図表2-9-5)。
 平成14年度には,助成の対象となる分野をメディア芸術・文学など,活動主体をアマチュアのうちプロ並みの芸術活動を行う文化芸術団体・個人など,活動形態をセミナーのワークショップ(注2)などにも拡大しました。また15年度からは,各都道府県の文化振興財団などとの提携を進め,芸術文化支援に関する相談窓口の全国展開を進めています。
 この制度を利用して,平成17年度には,234件の芸術活動が認定を受け,法人・個人から1,738件,7億6,581万円の寄附が同協議会を通じて行われました。

  • (注1)メセナ
     芸術文化擁護・支援を意味するフランス語。日本では,平成2年に企業メセナ協議会が発足した際,「即効的な販売促進・広告宣伝効果を求めるものではなく,社会貢献の一環として行う芸術文化支援」という意味で「メセナ」という言葉を導入し,一般に知られるようになった。
  • (注2)ワークショップ
     専門家の助言を受けながら,参加者が共同で研究や創作を行う場のことをいう。

図表●2-9-5 社団法人企業メセナ協議会の助成認定事業

(2)企業の取組の顕彰

 文化庁では,自らの企業に働く人々やその家族が芸術文化に親しみ参加できる環境を率先してつくっている企業の取組を積極的に評価・顕彰するため,社団法人企業メセナ協議会との連携の下,企業で働く人々や,地域住民,子どもたちなどに芸術文化活動への参加・鑑賞の機会を提供し支援することにより,企業を取りまく人々の「文化力」の向上を図る企業の取組に対して表彰を行っています。

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