読書活動は,子どもが,言葉を学び,感性を磨き,表現力を高め,創造力を豊かなものにし,人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことができないものです。
子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,平成13年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が公布・施行され,14年8月にこの法律に基づく「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定されました(参照:第2部第8章第7節2)。同計画では,学校における学習活動を通じた読書習慣の確立や,学校図書館は,児童生徒の自由な読書活動や読書指導の場としての「読書センター」としての機能と,教育課程の展開に寄与する「学習情報センター」としての機能を果たし,学校教育の中核的な役割を担うことが掲げられています。
また,平成17年7月には「文字・活字文化振興法」が成立し,学校の教育課程全体を通じて,読む力や書く力などを涵養することを定めています。
さらに,学習指導要領には,「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り」,児童生徒の「主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること」を盛り込んでいます。
文部科学省の調べでは,平成17年5月現在,朝の読書活動を実施している公立学校の割合は,小学校で83.7パーセント(16年81.0パーセント),中学校で70.7パーセント(16年66.9パーセント),高等学校で28.3パーセント(16年26.2パーセント)となっています。また,ボランティアなどの協力を得ている学校や公共図書館との連携を実施している学校も増加しており,各学校において積極的な取組がなされています。
子どもの豊かな読書経験の機会を充実させていくためには,子どもの知的活動を推進し,多様な興味・関心にこたえる魅力的な図書資料を整備・充実させていくことが重要です。また,各教科,特別活動,「総合的な学習の時間」において多様な教育活動を展開していくために,学校図書館を充実させていくことが求められています。
公立義務教育諸学校における学校図書館の図書については,学校の規模に応じて整備するべき蔵書数の目標について定めた「学校図書館図書標準」(平成5年3月)に足りない分を整備するための経費として,14年度から18年度までの「学校図書館図書整備5か年計画」により,5年間で毎年約130億円,総額約650億円の地方財政措置が講じられています。
文部科学省の調べでは,「学校図書館図書標準」を達成している学校の割合は,平成16年度末において,小学校で37.8パーセント,中学校で32.4パーセントという状況にあり,各教育委員会や学校において「学校図書館図書標準」の達成に向けた蔵書の計画的な整備が引き続き求められます。
なお,文部科学省では,平成16年度より「学校図書館資源共有ネットワーク推進事業」を実施し,学校図書館の蔵書のデータベース化やネットワークを利用した教育実践の共有化,蔵書の共同利用の推進などに関する調査研究を行ってきました。また,18年度からは「学校図書館支援センター推進事業」を実施し,学校図書館支援センターによる学校図書館に対する支援の在り方を調査研究しています。これらの事業の成果については各都道府県に情報提供し,学校図書館の一層の充実に努めていきます。
学校図書館資料の選択・収集・提供や子どもの読書活動に対する指導を行うなど,司書教諭は,学校図書館を活用した教育活動や読書活動の中心的な役割を担います。司書教諭は,学校図書館法上,平成15年4月以降12学級以上の学校には必ず置かなければならないこととされています。司書教諭が各地域・各学校でその役割を十分に果たしていくためには,校長のリーダーシップの下,司書教諭が中心となって教員,学校図書館担当事務職員,ボランティアなどと連携・協力し,それぞれの立場から学校図書館の機能の充実を図っていくことが必要です。
文部科学省では,引き続き司書教諭の養成のための講習会を実施し,有資格者の養成に努めるとともに,司書教諭配置の対象となる12学級以上の学校には必ず配置されるよう周知を図っていきます。