第1節 生涯学習の意義と推進体制の整備

1.生涯学習の意義

 「生涯学習」という言葉は,一般には,人々が生涯に行うあらゆる学習,すなわち,学校教育,社会教育,文化活動,スポーツ活動,レクリエーション活動,ボランティア活動,企業内教育,趣味など様々な場や機会において行う学習の意味で用いられます。また,生涯学習社会を目指そうという考え方・理念自体を表していることもあります。
 また,「生涯学習社会」とは,「人々が,生涯のいつでも,自由に学習機会を選択して学ぶことができ,その成果が適切に評価される」(平成4年生涯学習審議会答申)ような社会であるとされています。18年12月に可決・成立した改正教育基本法第3条においても,新たに「国民一人一人が,自己の人格を磨き,豊かな人生を送ることができるよう,その生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」とされており,「生涯学習の理念」として,生涯学習社会の実現に努めることが規定されています。
 こうした生涯学習社会の構築が必要な理由としては,これまで次のような点が指摘されてきました。
 第一は,社会・経済の変化に対応するため,人々は絶えず新しい知識や技術の習得を迫られていることです。これらの学習需要に的確に対応し,生涯学習の基盤を整備することは,学習者自身の技能・経歴の向上のほか,社会制度の基盤である人材育成にもつながり,社会・経済の発展に寄与することが期待されます。
 第二は,自由時間の増大などの社会の成熟化に伴い,心の豊かさや生きがいのための学習需要が増大していることです。これらの学習需要にこたえるための生涯学習の基盤を整備することは,学習者の自己実現のみならず,地域社会の活性化,高齢者の社会参加・青少年の健全育成など,社会全体にとっても有意義です。
 第三は,生涯学習の基盤を整備し,学歴だけでなく様々な「学習の成果」が適切に評価される社会を築いていくことは,これまで進められてきている教育改革の課題の一つである学歴社会の弊害の是正にもつながるということです。

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