第1節 生涯学習の意義と推進体制の整備

2.生涯学習推進体制の整備

 生涯学習は非常に広範な概念であることから,生涯学習社会を実現するための取組は,文部科学省や教育委員会だけではなく,様々な主体によって多様な形態で行われています。例えば,地方公共団体の首長部局や職業訓練施設などの機関,民間教育事業者,団体などが職業能力の向上や社会福祉などに関し生涯学習に資するための施策を行っています。
 このため,これらの生涯学習に関係する機関・団体間の連携・協力体制を構築することが重要です。

(1)文部科学省における取組

 文部科学省では,生涯学習政策局を設置しているとともに,中央教育審議会には生涯学習の推進に関する重要事項の調査審議を行う生涯学習分科会が置かれています。また,民間における生涯学習推進のための取組を支援する窓口として,生涯学習政策局に「民間教育事業振興室」を設置しています。さらに,教育・文化及びスポーツの振興による市町村等の地域づくりを支援するため,生涯学習政策局を中心に初等中等教育局,高等教育局,スポーツ・青少年局,文化庁が連携して「地域づくり支援室」を設置しています。
 このほか,生涯学習推進のための情報提供として,生涯学習の総合情報誌「マナビィ」の刊行,生涯学習の推進のための市町村などの取組事例集の作成・配付,調査研究の実施・周知などを行っています。都道府県教育委員会や民間社会教育団体,NPO,経済団体などとの定期的な協議や意見交換の場を持つなどの取組も行っています。
 また,人づくりを通じた地域づくりを推進するため,マネジメント能力の育成に関する諸外国の先進事例調査やデータベースの構築,生涯学習まちづくり研究協議会の開催への支援を行っています。

(2)地方公共団体における取組

1行政組織などの整備状況

 すべての都道府県に生涯学習担当部課が設置されているとともに,平成18年6月現在,36の都道府県に,生涯学習の総合的な推進に関する重要事項を審議するための生涯学習審議会が設置されています。また,市町村においても,ほとんどの市町村に生涯学習を担当する部課が設置されています。

2生涯学習振興計画

 平成18年6月現在,44の都道府県が,生涯学習振興のための中長期的な基本計画や基本構想を策定しています。また,市町村についても,1,024市町村が基本計画や基本構想を策定しています。さらに,市町村の中には,「生涯学習のまち」などの都市宣言を行って生涯学習の振興に努めているところもあり,その数は18年6月現在,98市町村となっています。

3生涯学習推進センター

 各地域の生涯学習を推進するための中心機関として,学習情報の提供や学習相談,学習需要の把握,学習プログラムの開発を行うことなどを目的とする「生涯学習推進センター」が設置されています。平成18年6月現在,都道府県の施設は47施設,市町村の施設は443施設となっています。

4全国生涯学習市町村協議会

 平成11年11月に,生涯学習によるまちづくりに取り組む全国の市町村間の連携を強化し,情報交換や人材交流などによるネットワークづくりを進めるため,「全国生涯学習市町村協議会」が発足しました。18年7月現在,156の市町村が加盟しています。

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