7初児生第30号
令和8年3月19日
各都道府県教育委員会指導事務主管課長
各指定都市教育委員会指導事務主管課長
各都道府県私立学校主管課長
附属学校を置く各国立大学法人担当課長
附属学校を置く各公立大学法人担当課長 殿
小中高等学校を設置する学校設置会社を
所轄する構造改革特別区域法第12条
第1項の認定を受けた各地方公共団体の担当課長
文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
千々岩 良英
「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」のチェックリストを活用した
平時からの備えに関する点検の調査結果及びこれを踏まえた対応について(通知)
令和6年8月30日に改訂した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)においては、いじめの重大事態の発生を防ぐための未然防止・平時からの備えを含め記載しており、これを踏まえ、文部科学省としては、「新年度における法等に基づくいじめに対する平時からの備えについて(通知)」(令和7年3月6日付け6初児生第20号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知。以下「令和7年通知」という。)において、学校におけるいじめに対する平時からの備えとして、いじめの積極的な認知及び早期発見・早期対応の徹底とともにいじめを重大化させない取組が重要である旨通知しています。
その上で、本年度、各学校の設置者に対し、各学校及びその設置者におけるガイドラインのチェックリストを活用した、平時からの備えに関する点検の実施状況について調査を行い、今般、その調査結果について取りまとめました。調査結果の詳細は、別添1のとおりです。
今般取組状況を調査したチェックリストは、いじめの重大事態に対する平時からの備えとして、ガイドライン等に記載された基本的な項目をまとめたものですが、今般の調査結果においては、各学校・設置者における着実な取組が確認されるものもある一方、下記のとおり、取組が十分ではない点も見られます。
また、文部科学省においては、先般、「SNS上における暴力行為等の動画の投稿・拡散を受けた緊急の対応等について(通知)」(令和8年1月30日付け7文科初第2109号文部科学省初等中等教育局長通知。以下「緊急対応通知」という。)を発出し、令和7年度中に、
(1) 見過ごされている暴力行為やいじめがないかについて、改めて確認を行うこと
(2) 暴力行為やいじめは決して許されるものではなく、暴行罪や傷害罪等の犯罪行為に該当し得ることを児童生徒に対して改めて指導すること
(3) 児童生徒に対して改めて情報モラル教育を実施すること
等を求めた上で、特に(1)については、「日常的に取り組むべきものであり、一過性の対応にとどめることなく、今般の確認の結果を引き継ぎつつ、次年度以降も日常的な確認に取り組んでいただきたい」旨、通知しております。
これらを踏まえ、今般の調査結果から明らかになった留意事項を含め、各学校及びその設置者において、いじめの防止及び早期発見・早期対応や重大事態の発生を防ぐための措置を実効的・組織的に行うための取組として、改めて留意いただきたいことについて下記のとおりまとめましたので、令和7年通知及び緊急対応通知とともに、下記事項を参照の上、いじめへの対応の徹底をお願いします。
これらのことについて、都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して、都道府県にあっては所轄の学校法人及び私立学校に対して、附属学校を置く国立大学法人及び附属学校を置く公立大学法人にあっては附属学校に対して、構造改革特別区域第12条第1項の認定を受けた地方公共団体にあっては認可した学校に対して、周知を図るよう、特段の御配慮をお願いします。その際、例えば、教育委員会主催の会議・研修等を活用し、以下に掲げる各学校において対応する必要のある事項を整理して周知するなど、効率的・効果的な周知に取り組んでいただくようお願いします。
記
(1)学校における平時からの備えの実施状況とこれを踏まえた留意事項について
今般の調査結果においては、各学校における平時からの備えの取組状況に関し、
ア 学校いじめ防止基本方針について、入学時・各年度の開始時に児童生徒、保護者、関係機関等に説明している
イ 日頃の学校教育活動の中で作成、取得したメモ等をそのままにせず、各学校又はその学校の設置者において定める文書管理規則等に基づいて、適切に管理する体制を整えている
ウ 様々な情報を効率的に記録し、保存するため、統一のフォーマットの作成等文書管理の仕組みを整えている
エ いじめが犯罪行為に相当し得ると認められる場合には、学校としても、警察への相談・通報を行うことについて、あらかじめ保護者等に対して周知している
の4点の項目について、備えができていると回答した学校の割合が90%前後にとどまる結果となった。
このうち、アについては、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第11条第1項の規定に基づき策定された「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定。以下「基本方針」という。)において必ず行うこととされている事項であることに改めて留意すること。その上で、学校いじめ防止基本方針が、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものであり(法第13条)、基本方針においても、学校いじめ防止基本方針を定める意義として、「いじめの発生時における学校の対応をあらかじめ示すことは、児童生徒及びその保護者に対し、児童生徒が学校生活を送る上での安心感を与えるとともに、いじめの加害行為の抑止につながる」とされ、「その内容を、必ず入学時・各年度の開始時に児童生徒、保護者、関係機関等に説明する」とされていることを踏まえ、間もなく新年度を迎えるにあたり、改めて、入学時・各年度の開始時における学校いじめ防止基本方針に関する児童生徒、保護者、関係機関等への説明を徹底すること。
また、学校いじめ防止基本方針は、いじめの防止等全体に係る内容であることが必要であり、その中核的な内容として、いじめに向かわない態度・能力の育成等のいじめが起きにくい・いじめを許さない環境づくりのために、年間の学校教育活動全体を通じて、いじめの防止に資する多様な取組が体系的・計画的に行われるよう、包括的な取組の方針を定めることや、その具体的な指導内容のプログラム化を図ること(「学校いじめ防止プログラム」の策定等)が必要であることを踏まえ、改めて取組を図ること。加えて、学校いじめ防止基本方針に定めるいじめの防止及び早期発見・早期対応に関する措置を実効的・組織的に行うための中核となる組織は、常設組織である学校いじめ対策組織(法第22条)であることを踏まえ、その取組の実効性を確保するとともに、学校いじめ防止基本方針が、学校いじめ対策組織の取組による未然防止、早期発見及び事案対処の行動計画となるよう、定例会議の開催や事案対処に関する教職員の資質能力向上を図る校内研修の取組も含めた、年間を通じた当該組織の活動が具体的に記載されるものとすること。
なお、学校いじめ防止基本方針の策定・見直しに当たっての留意点や学校いじめ対策組織等を実効化する取組例について、別添2のとおりまとめていることから、参照の上、取り組まれたいこと。
イ及びウについては、いじめの重大事態の調査を行う際には正確な記録が必要であり、例えば、「いつ」「どこで」「誰が」「誰に」「何を」「どうした」等が明記されている記録が残されていることが望ましいことを踏まえ、平時からの備えとしてチェックリストの項目に取り上げられているものである。文書管理規則等に基づくメモ等の適切な管理や、情報の記録・保存のための統一のフォーマットの作成等については、あらかじめ仕組み化しておくことが重要であることから、必要に応じ学校及び設置者の間で連携の上、積極的に取り組まれたいこと。
エについては、基本方針において、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるとき等における警察との適切な連携について示されていることや、「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)」(令和5年2月7日付け4文科初第2121号文部科学省初等中等教育局長通知)において、犯罪行為として取り扱われるべきいじめなどは、直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めなければならないこととともに、保護者等に対して、警察との連携についてあらかじめ周知しておくことも必要であることについても通知していることを踏まえ、平時からの備えとしてチェックリストの項目に取り上げられているものである。また、緊急対応通知においても、「2(2)加害児童生徒への毅然とした対応」として、警察等の関係機関との連携による対応について通知していることも踏まえ、平時から、警察との連携体制を構築するとともに、いじめが犯罪行為に相当し得ると認められる場合には、警察へ相談・通報を行うことについて、あらかじめ保護者等へ周知するよう取り組まれたいこと。
(2)学校の設置者における平時からの備えの実施状況とこれを踏まえた留意事項について
各学校の設置者における平時からの備えの取組状況に関しては、
オ 保護者との情報共有が必要な場合には、学校の設置者が直接説明・調整を行う体制を整えている
カ 各地域におけるいじめ問題対策連絡協議会を有効に活用し、平時から各地方公共団体の首長部局・医療機関等の関係機関と連携を深め、総合的な支援に迅速につなげられる体制を整えている
キ 重大事態が発生した場合には、法に沿った適切な対応を迅速に行うことができるよう、あらかじめ対応手順を明確化し、各学校に示している
の項目について、備えができていると回答した学校の設置者の割合が90%を下回る結果となった。
オについては、いじめへの対処は、学校関係者や対象児童生徒をはじめとする児童生徒のみならず、その保護者等の協力の下で行うものであることを踏まえ、平時からの備えとしてチェックリストの項目に取り上げられているものである。学校の設置者は、その設置する学校に対して、認知したいじめや背景にいじめの可能性が疑われる児童生徒間のトラブルについての対応状況及びその解消に向けた取組状況を定期的に確認し状況の把握を行うことが必要であり、その中で、保護者との情報共有が必要な場合には、学校の設置者が直接説明・調整を行うなどの対応も考えられることを踏まえて取り組まれたいこと。
カについては、学校の設置者が、いじめへの対処に当たって、被害児童生徒の安全確保と心身のケアや、加害児童生徒への対応や支援の両面において、福祉・医療等に関する相談・支援を要する場合も少なくないことを踏まえ、平時からの備えとしてチェックリストの項目に取り上げられているものである。法及び基本方針において、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、いじめ問題対策連絡協議会を置くことができるとされている趣旨を踏まえ、私立学校及び国公立大学附属学校並びにその設置者を含めて、いじめ問題対策連絡協議会を有効に活用することができるような仕組みづくりを行うなど、各地域の実情を踏まえつつ、平時からの備えとして、各地方公共団体における首長部局・医療部局等の関係機関との連携体制の整備に取り組まれたいこと。
キについては、重大事態が発生した場合に、迅速かつ適切に対応することができるよう平時から備えておくことが必要であることを踏まえ、チェックリストの項目に取り上げられているものである。近年、重大事態の発生件数は増加傾向であり、依然として法、基本的方針、ガイドライン等に沿った対応ができていなかったために児童生徒に深刻な被害を与える事態が発生している状況を踏まえ、学校の設置者は、各学校が、重大な被害等の「疑い」の段階から重大事態として扱い、調査の実施に向けて動き出すことができるよう、あらかじめ対応手順を明確化し、各学校に示しておくことが望ましいことから、ガイドラインに記載しているフロー図(「一般的な重大事態調査の流れ」)も参照の上、取り組まれたいこと。
(3)その他の留意事項について
チェックリストにおいては、学校における平時からの備えの第一点目として、「年度初めの職員会議や教員研修等の実施により、全ての教職員は、学校いじめ防止基本方針はもとより、法や基本方針等についても理解し、重大事態とは何か、重大事態に対してどう対処すべきかなどについて認識している」との項目を掲げている。これは、各学校において、全ての教職員が、法、基本方針、ガイドライン及び「生徒指導提要(改訂版)」を理解し、学校いじめ防止基本方針の効果的な運用を図ることが重要であることを踏まえた要請であり、新年度を迎えるにあたり、いじめの積極的な認知及び早期発見・早期対応の徹底や重大事態の発生を防ぐための取組として行うべきものであることから、令和7年通知も参照の上、各学校において取組を徹底すること。
また、本通知中に掲げた項目以外のチェックリストの項目に関しても、特にそれぞれの学校及びその設置者において備えができていない項目に関し、基本方針やガイドライン等の記載も踏まえつつ、必要な改善に努めること。
加えて、来年度以降も、各学校及びその設置者においては、それぞれの状況に応じ、ガイドラインのチェックリストを活用し、平時からの備えが適切に実施できているか等の点検に不断に努めること。
【別添資料】
【参考資料】
〇いじめの防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日文部科学大臣決定(最終改定平成29年3月14日))(PDF:2,834KB)
〇いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(令和6年8月改訂)
〇新年度における法等に基づくいじめに対する平時からの備えについて(令和7年3月6日付け6初児生第20号文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知)
〇SNS上における暴力行為等の動画の投稿・拡散を受けた緊急の対応等について(令和8年1月30日付け7文科初第2109号文部科学省初等中等教育局長通知)
〇いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(令和5年2月7日付け4文科初第2121号文部科学省初等中等教育局長通知)(PDF:400KB)
〇生徒指導提要(改訂版)
初等中等教育局児童生徒課