SNS 上における暴力行為等の動画の投稿・拡散を受けた緊急の対応等について(令和8年1月30日付け文部科学省初等中等教育局長通知)

7文科初第2109号
令和8年1月30日
 

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
附属学校を置く各国公立大学法人学長   殿
小中高等学校を設置する学校設置会社を
所轄する構造改革特別区域法第12条
第1項の認定を受けた各地方公共団体の長

 
              文部科学省初等中等教育局長
望月 禎
 
 

SNS上における暴力行為等の動画の投稿・拡散を受けた緊急の対応等について(通知)

 児童生徒間の暴力行為等の動画が、SNS上に投稿・拡散された複数の事案が報道されておりますが、児童生徒の暴力行為やいじめは、決して許されるものではありません。児童生徒が受けている被害について、学校及びその設置者が十分に把握できていない点への懸念もある中、全ての児童生徒が安心して学校生活を送るためには、学校の内外を問わず、児童生徒の暴力行為やいじめが行われなくなるよう、また、暴力行為やいじめが見過ごされることがないよう、改めて取り組む必要があります。加えて、今般の事案に関しては、SNS等におけるエスカレートした投稿・拡散が、誹謗中傷など、新たな人権侵害を生むおそれも生じており、こうした課題への対応も必要です。
 こういった状況を踏まえ、文部科学省においては、令和8年1月14日、緊急都道府県・指定都市教育委員会教育長会議を開催し、児童生徒の安全・安心を確保することを第一に、各教育委員会に対し、緊急の対応要請を行わせていただきました(資料1参照)。また、令和8年1月16日、いじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議を開催し、いじめ防止対策に関する関係省庁において、緊急に対応すべき事項を整理し、関係機関への指導・周知や協力要請等を行うほか、必要な広報啓発を実施することとしています(資料2参照)。
 これらの会議の結果も踏まえ、今般の暴力行為等の動画の投稿・拡散を受け、国立、公立及び私立の各学校及びその設置者において対応いただきたい事項及び関係機関の連絡先等の必要な情報について、下記の通り通知しますので、遺漏のないよう、また、速やかに取り組んでいただきますようお願いします。
 これらのことについて、都道府県・指定都市教育委員会教育長にあっては、所管の学校、域内の市区町村教育委員会に対して、都道府県知事にあっては、所轄の私立学校、学校法人に対して、国公立大学法人学長にあっては、設置する附属学校に対して、構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長にあっては、認可した学校に対して、周知を図るとともに、適切な対応がなされるよう、特段の御配慮をお願いします。
 

 

1.児童生徒が安全・安心に過ごすことができる環境の整備
(1)暴力行為やいじめが見過ごされていないか、緊急の確認 
 今般、SNS上に投稿・拡散された児童生徒間の暴力行為等の中には、投稿・拡散されるまで、学校において認知されていなかった事案も含まれており、SNS等への投稿・拡散の有無に関わらず、児童生徒が受けている暴力行為やいじめについて、必ずしも学校が十分に把握できているとは限らず、見過ごされている被害が存在するおそれがある。
 このため、児童生徒が安全・安心に過ごすことができるよう、各学校において、令和7年度中に、児童生徒へのアンケート調査、1人1台端末を活用した心の健康観察、学級担任やスクールカウンセラー等による面談など、各学校の状況に応じた方法により、見過ごされている暴力行為やいじめがないかについて、改めて確認を行っていただきたいこと。
 また、こうした確認については、日常的に取り組むべきものであり、一過性の対応にとどめることなく、今般の確認の結果を引き継ぎつつ、次年度以降も日常的な確認に取り組んでいただきたいこと。
(2)暴力行為やいじめを許容せず、児童生徒が声を上げられる環境の整備
      学校及びその設置者は、児童生徒の暴力行為やいじめを決して許さず、被害児童生徒を徹底して守り通すことが必要である。また、暴力行為やいじめ、また、これらに加担して幇助する行為の中には、犯罪行為(触法行為を含む)として取り扱われるべきものも含まれることを踏まえ、必要な場合には、警察とも連携して対処することが重要である。
 このため、各学校においては、令和7年度中に、児童生徒に対し、暴力行為やいじめは決して許されるものではなく、事案によって暴行罪や傷害罪等の犯罪行為に該当し得ることを改めて指導いただきたいこと。加えて、学校としても、暴力行為やいじめに対しては断固たる姿勢で対応することが必要であり、警察等と連携した対応をためらわないことについて、学校の方針として明確にし、その方針を学校内で共有するのみならず、児童生徒・保護者や地域にも周知するなど、学校全体として、暴力行為やいじめを決して許容しない学校環境を整備いただきたいこと。その際、暴力行為やいじめの被害者を助けるためには、児童生徒の協力も重要であり、学校は、児童生徒に対して、傍観者とならず、教職員への報告を始めとする暴力行為やいじめを止めさせるための行動をとる重要性について理解させるよう努めていただきたいこと。
 さらに、教育委員会と首長部局の間で連携しながら、学校内外の相談窓口の充実を図るとともに、他の関係機関が整備しているものも含めた各種相談窓口について、見やすい場所に掲示したり、1人1台端末を活用したりしながら、児童生徒や保護者に周知いただきたいこと。その際、各省庁が整備する相談窓口一覧(資料3)についても活用いただきたいこと。これら相談窓口の活用に加え、児童生徒と担任・養護教諭やスクールカウンセラー等との日常的な関わりを含め、学校全体として、被害を受けた児童生徒や暴力行為やいじめの現場を見た児童生徒が声を上げやすい環境の整備を進めていただきたいこと。

 2.確認された暴力行為やいじめへの対応
(1)被害児童生徒の安全確保と心身のケア
 SNS等への投稿・拡散の有無に関わらず、暴力行為やいじめの事実が明らかになった場合は、被害を受けた児童生徒の安全確保を最優先に、心身のケアを直ちに実施し、当該児童生徒の安全・安心な学習環境の確保を図っていただきたいこと。その際、スクールカウンセラー等の活用も含め、児童生徒の状況に配慮した支援に当たっていただきたいこと。
 あわせて、事実関係の確認に当たっては、警察と連携して聴き取り等を行うことにより、迅速な確認が可能となる場合があることも踏まえ、事案に応じ、警察との連携についても躊躇することなく検討いただきたいこと。
(2)加害児童生徒への毅然とした対応
 SNS等への投稿・拡散の有無に関わらず、暴力行為やいじめを行った児童生徒に対しては、当該行為の内容や状況等を踏まえ、厳正な指導を行うことが必要であり、特に、犯罪行為に該当する暴力行為やいじめについては、「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)」(令和5年2月7日付け4文科初第2121号文部科学省初等中等教育局長通知)を踏まえた警察等の関係機関との連携による対応や、加害児童生徒に対する学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく懲戒や    出席停止等の措置を含め、毅然とした対応を行っていただきたいこと。
 あわせて、加害児童生徒がその行為に及んだ背景や要因を分析した上で、再び暴力行為やいじめに及ぶことがないよう指導を行っていただきたいこと。

3.SNS等における投稿・拡散への対応
(1) 人権侵害につながり得る動画や誹謗中傷が投稿・拡散された場合における関係機関等と連携した対応
 暴力行為やいじめの動画がSNS等に投稿・拡散された場合には、学校及びその設置者のみでは対処が困難な場合もあるため、警察等の関係機関とも連携しながら、速やかに事実関係の確認を行うとともに組織的に対応いただきたいこと。特に、SNS等に、暴力行為やいじめの動画とともに個人情報や学校名等が投稿・拡散された場合には、安全・安心な学習環境が脅かされる可能性があるため、警察等とも連携し、当該学校に通う児童生徒の安全・安心な学習環境の確保に向けて対応に当たっていただきたいこと。また、人権侵害につながり得る動画や誹謗中傷が投稿・拡散された場合の削除要請等の手段について、「インターネット上の書き込みなどに関する相談・通報窓口のご案内」(資料4)も活用して、学校及びその設置者自身が理解するとともに、保護者にも周知いただきたいこと。
 加えて、各学校及びその設置者においては、人権侵害につながり得る動画や誹謗中傷が投稿・拡散された場合に、速やかに関係機関と連携が取れるよう、資料5に記載された相談窓口を参照して、あらかじめ関係機関の連絡先を確認いただきたいこと。
 (2)  SNS等における誹謗中傷などによる人権侵害のおそれ等も含めた情報モラル教育の実施
 匿名性が高いSNS等におけるエスカレートした投稿・拡散は、誹謗中傷などとして新たな人権侵害を生むことにつながるため、決して許されるものではなく、また、SNS等における悪質な投稿は、その内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪等の刑罰の対象となり得る場合もあることから、各学校においては、上記1(2)に記載した、児童生徒に対する暴力行為やいじめに関する指導と合わせ、令和7年度中に、児童生徒に対して改めて情報モラル教育を実施いただきたいこと。
 その際に活用可能な資料については、関係機関が作成・公表しているものも含め、一覧として整理しているので(資料6参照)、これらを参照しつつ適切に取り組んでいただきたいこと。
 なお、文部科学省では、資料6に掲載している教材等に加え、SNS等における投稿のエスカレートや拡散により生じる誹謗中傷等の人権侵害の危険性を題材とした動画教材の作成やオンライン研修会開催の検討を進めているところであり、詳細は追って通知する予定であること。ただし、上記において、令和7年度中に実施をお願いしている、暴力行為やいじめに関する指導や情報モラル教育の実施については、実施日時の調整や早急に実施する必要性が高いことから、必ずしも当該教材の共有を待つことなく準備・実施を進めていただきたいこと。
 また、警察が実施する非行防止教室等において、SNS等における悪質な投稿が名誉毀損罪や侮辱罪等の刑罰の対象となり得ることについて題材とするなど、警察と連携し、非行防止教室等の活用も検討されたいこと。

4.SNS等において暴力行為やいじめの動画が投稿・拡散された事案に関する報告
 SNS等において暴力行為やいじめの動画が投稿・拡散された事案については、文部科学省としても、本通知の内容に関して必要な指導、助言又は援助を行っていくため、当面、現に在籍している児童生徒に係る暴力行為やいじめの動画を確認した場合には、「児童生徒の事件等報告書」による重大事件等の報告について(令和5年3月10日付け事務連絡)に則り、当該事案について文部科学省初等中等教育局児童生徒課に報告されたいこと。        

【添付資料】 

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

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