4.教育課程の実施と学習評価

目次に戻る

(2) 「指導と評価の一体化」の考え方に立った学習評価の改善

 学習指導要領においては、学習評価の充実について以下のとおり示しています。 [脚注1]

 児童(生徒)のよい点や進歩の状況などを積極的に評価し、学習したことの意義や価値を実感できるようにすること。また、各教科(・科目)等の目標の実現に向けた学習状況を把握する観点から、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら評価の場面や方法を工夫して、学習の過程や成果を評価し、指導の改善や学習意欲の向上を図り、資質・能力の育成に生かすようにすること。

 各学校における教育活動は、学習指導要領等に従い、児童生徒や地域の実態を踏まえて編成した教育課程の下で作成された各種指導計画に基づく授業(「学習指導」)として展開されます。各学校は、日々の授業の下で児童生徒の学習状況を評価し、その結果を児童生徒の学習や教師による指導の改善等につなげ、学校全体として組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図っています。このように、「学習指導」と「学習評価」は学校の教育活動の根幹であり、教育課程に基づいて組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図るカリキュラム・マネジメントの中核的な役割を担っています

 評価の結果によって後の指導を改善し、さらに新しい指導の成果を再度評価するという指導と評価の一体化を図る中で、児童生徒一人一人のつまずきや伸びについて指導過程で評価する形成的な評価を行うことが重要です。形成的な評価を生かしながら、学習指導要領に示す各教科の目標に照らして児童生徒が「おおむね満足できる」状況となるようきめ細かく指導・支援することが求められます。更にそれを超え、児童生徒の興味・関心等に応じて学習が発展するよう指導・支援するに当たっては、その多様な成果を評価することが重要です。 [脚注2]

 平成28年答申では観点別学習状況の評価において「主体的に学習に取り組む態度」について評価することとされています。「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、①知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとする側面と、②①の粘り強い取組を行う中で、自らの学習を調整しようとする側面の2つの側面を評価するものであり、 [脚注3]自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら学ぼうとしているかどうかといった意思的な側面を評価することが求められています。 [脚注4]

 この観点は「学びに向かう力、人間性等」の育成に当たって重要であり、また「個別最適な学び」や「協働的な学び」の充実を図る上でも特に重視する必要があります

 さらに、「指導と評価の一体化」の観点から、「主体的に学習に取り組む態度」についての評価を踏まえ、児童生徒が自ら学習の進め方を改善していくことができるよう指導・支援していくことが重要です。

脚注

  • [1]小学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第3の2の(1),中学校学習指導要領(平成29年告示)第1章の第3の2の(1),高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章第3款の2の(1)
  • [2]教育課程部会における審議のまとめp.17
  • [3]児童生徒の学習評価の在り方について(報告)(平成31年1月21日中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会)p.11
  • [4]平成28年答申p.62

関係資料