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7.教科書採択の公正確保

  教科書の採択に際して、各発行者は、その教科書の特徴などがよく理解されるよう宣伝活動を行いますが、その際、適正な宣伝活動が行われるよう、次のような措置がとられています。
  
1.独占禁止法による規制
  発行者が適正な範囲で宣伝活動を行うよう、公正取引の確保の見地から独占禁止法による規制が行われていますが、具体的には、同法に基づく公正取引委員会告示「教科書業における特定の不公正な取引方法」により金銭・物品の提供、中傷・ひぼう等が禁止されています。

2.文部科学省による指導
  文部科学省は、上記の規制を踏まえ、公正な採択が確保されるよう、発行者だけでなく採択関係者に対しても指導を行っています。具体的な施策としては次のようなものがあげられます。
(1)   見本は、一定の制限部数の範囲内で教育委員会や教科書展示会へ送付できることとしますが、教師用指導書及び検定申請図書(いわゆる「白表紙」)の献本等は一切禁止します。

(2)   発行者が主催し又は関与する講習会、研究会等の開催は一切禁止します。

(3)   文部科学省において、各発行者が作成した教科書編集趣意書を集録・周知することにより、各発行者が作成する宣伝用パンフレット等の配布について極力自粛を求めます。

(4)   採択関係者に影響力を有する教職関係者等を宣伝活動に従事させることを禁止するとともに、その他の宣伝従事者についても削減に努めるよう指導します。また、教科書の編集者・著作者が採択に関与することを排除します。


3.教科書業界における自粛措置
  教科書業界においては、公正確保に関する諸規制が円滑に実施されるよう、教科書発行者、教科書供給業者等により、「教科書公正取引協議会」が設立されています。本会は、公正取引に関する調査・研究を行い、公正取引委員会の特殊指定等に準拠した「教科書公正取引実施細則」を定めています。
  また、社団法人教科書協会も、教科書の宣伝自粛に関する申し合わせを行い、宣伝の自粛に努めています。


○教科書業における特定の不公平な取引方法(公正取引委員会告示第5号  昭和31年12月20日)

一  小学校、中学校、高等学校及びこれらに準ずる学校において使用する教科書(以下「教科書」という。)の発行または販売を業とする者が、直接であると間接であるとを問わず、教科書を使用するものまたは教科書の選択に関与するもの(以下「使用者または選択関係者」という。)に対し、自己または特定の者の発行する教科書の使用または選択を勧誘する手段として、金銭、物品、きょう応その他これらに類似する経済上の利益を供与し、または供与することを申し出ること。
  教科書の発行を業とする者が、直接であると間接であるとを問わず、教科書の使用者または選択関係者に対し、教科書以外の書籍雑誌、教材、教具等の販売に関し、金銭、物品、きょう応その他これらに類似する経済上の利益を供与し、または供与することを申し出て、これらのものに、その発行する教科書の使用または選択を勧誘すること。

二  教科書の発行を業とする者が、直接であると間接であるとを問わず、教科書の販売を業とする者に対し、使用者または選択関係者が自己の発行する教科書を使用し、または選択するよう勧誘させるため、金銭、物品、きょう応その他これらに類似する経済上の利益を供与し、または供与することを申し出ること。

三  教科書の発行を業とする者が、直接であると間接であるとを問わず、他の教科書の発行を業とする者またはその発行する教科書を中傷し、ひぼうし、その他不正な手段をもって、他の者の発行する教科書の使用または選択を妨害すること。

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