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4.教科書検定の方法
  
  文部科学省は、教科書の記述が客観的で公正なものとなり、かつ、適切な教育的配慮がなされたものとなるよう、教科用図書検定基準に基づき、教科用図書検定調査審議会の議を経て、教科書の検定を行っています。
  平成14年度からは、すべての児童生徒が共通に学ぶ内容を厳選し、これまで以上に児童生徒一人一人の理解や習熟の程度に応じた教育を目指した新学習指導要領が実施されていますが、同審議会が平成14年7月に取りまとめた「教科書制度の改善(検討のまとめ)」を踏まえ、文部科学省では、児童生徒の理解をより一層深めたり、興味関心に応じて学習をひろげたりすることができるようにするため、学習指導要領に示していない、いわゆる「発展的な学習内容」が一定条件のもとで教科書に記述できるよう、検定基準の改正を行いました(平成15年度検定から適用)。なお、高等学校の選択履修科目については、生徒の特性、進路等に応じた学習を行えることが求められており、こうした科目の特性を踏まえ、平成14年度検定から「発展的な学習内容」を許容しています。
  
1.教科用図書検定基準に基づく検定
  文部科学省は、あらかじめ検定における審査の基準として義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準を定め、これを告示しています。検定における教科書の審査は、この検定基準に基づいて適正かつ公正に行われています。
  検定基準は、検定審査の基本方針である総則のほか、各教科共通の条件と各教科固有の条件とから成り立ち、それぞれの条件は、「範囲及び程度」、「選択・扱い及び組織・分量」、「正確性及び表記・表現」の3つの観点に整理して示されています(総則と各教科共通の条件の概要については、右ページを参照してください。)。
  
2.教科用図書検定調査審議会の答申に基づく検定
  文部科学省には、教科用図書検定調査審議会が置かれており、検定は審議会の答申に基づいて行われています。審議会の委員及び臨時委員は、大学教授や小・中・高等学校の教員等の中から選ばれています。
  審議会の審査に先立ち、検定申請のあった図書について、教科書調査官の調査が行われます。また、専門の事項を調査する上で必要があるときは、審議会に専門委員が置かれ調査に当たります。教科書調査官は文部科学省の常勤職員であり、大学の教職の経歴等をもつ人が採用されています。
  審議会においては、教科書調査官及び専門委員が調査した結果並びに委員自らが調査した結果を総合して審議されます。このように審議会における審査には、多くの専門家による様々な角度からの調査の積み重ねが反映されるようになっています。
  
  
○教科用図書検定基準(抄)
 
b_1   紙数の都合で全体を掲載することはできませんので、総則
及び各教科共通の条件についてそのごく大要を示します。
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○  総則
  教科書検定においては、教科書が教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童または生徒用図書であることにかんがみ教育基本法に定める教育の目的、方針など並びに学校教育法に定めるその学校の目的及び教育の目標に基づいているかどうかを審査する。
  
○  各教科共通の条件
〔範囲及び程度〕
1.学習指導要領に示す事項を不足なく取り上げ、不必要なものは取り上げていないこと。
2.その学年の児童生徒の心身の発達段階に適応していること。

〔選択・扱い及び組織・分量〕
1. 選択及び扱いには、学習指導要領に照らして不適切なところ、その他児童生徒が学習する上に支障を生ずるおそれのあるところはないこと。
2. 政治や宗教の扱いは公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと。
3. 特定の事項、事象、分野などに偏ることなく、全体として調和がとれていること。
4. 一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするところはないこと。
5. 図書の内容は厳選されており、網羅的、羅列的になっているところはないこと。
6. 全体の分量及びその配分並びに内容の組織及び相互の関連は適切であること。

〔正確性及び表記・表現〕
1.誤りや不正確なところ、相互に矛盾しているところはないこと。
2.児童生徒が理解するのに困難であったり、誤解したりするおそれのある表現はないこと。
3.表記は適切であって、不統一はないこと。

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