資料4‐5 PISA調査、TIMSS調査の結果分析(中間まとめ)(全体状況) 2.質問紙調査の結果分析

 PISAの生徒への質問紙調査では、数学への興味・関心や数学の勉強への動機付けが高い子どもの割合は少ない。

(数学への興味・関心)【生徒質問紙】 (%)
国名 数学についての本を読むのが好きである 数学の授業が楽しみである 数学を勉強しているのは楽しいからである 数学で学ぶ内容に興味がある
日本 12.8 26.0 26.1 32.5
OECD平均 30.8 31.5 38.0 53.1
(数学の勉強への動機付け)【生徒質問紙】 (%)
国名 将来就きたい仕事に役立ちそうだから、数学はがんばる価値がある 将来の仕事の可能性を広げてくれるから、数学は学びがいがある 自分にとって数学が重要な科目なのは、これから勉強したいことに必要だからである これから数学でたくさんのことを学んで、仕事につく時に役立てたい
日本 49.4 42.9 41.4 47.1
OECD平均 75.3 77.9 66.2 70.5

 ※ 数学への興味・関心や動機付けの高い方が得点も高くなる傾向にある。

 PISAの生徒への質問紙調査では、数学に自信のある子どもが少なく、数学への不安が高い子どもが多い。

(数学への自信)【生徒質問紙】 (%)
国名 数学はまったく得意ではない 数学では良い成績をとっている 数学はすぐわかる 数学は得意科目の一つだといつも思う 数学の授業ではどんな難しい問題でも理解できる
日本 52.5 28.2 24.7 26.9 10.1
OECD平均 42.0 56.8 51.0 35.2 32.9
(数学への不安)【生徒質問紙】 (%)
国名 数学の授業についていけないのではないかとよく心配になる 数学の宿題をやるとなるととても気が重くなる 数学の問題をやっているといらいらする 数学の問題を解くとき、手も足も出ないと感じる 数学でひどい成績をとるのではないかと心配になる
日本 68.7 51.5 42.1 35.0 66.0
OECD平均 56.9 29.2 29.0 28.6 59.0

 ※ 数学への不安は得点にあまり影響しない(得点が高い生徒も低い生徒も数学への不安を持っている)。

 PISAの校長や生徒への質問紙調査では、生徒による授業妨害が少ないなど生徒に起因する学級雰囲気は良好である。また、生徒が静まるまで長い時間待たなければならないと回答した割合が少ないなど、生徒が数学の授業を受ける態度、姿勢も良好である。

(生徒に起因する学級雰囲気)【学校質問紙】 (%)
国名 生徒の欠席 生徒による授業妨害 生徒が授業をさぼること 生徒による教師への敬意が欠けていること 生徒がアルコールや違法な薬物を使用すること 生徒が他の生徒を脅したりいじめたりすること
日本 39 13 23 32 1 7
OECD平均 48 40 30 22 10 15

 ※ 「ある程度はある」あるいは「よくある」の回答の合計の割合

(生徒が数学の授業を受ける姿勢)【生徒質問紙】 (%)
国名 生徒は先生の言うことを聞いていない 授業中は騒がしくて、荒れている 先生は、生徒が静まるまで長い時間待たなければならない 生徒は、勉強があまりよくできない 生徒は、授業が始まってもなかなか勉強にとりかからない
日本 19.0 16.7 13.5 24.3 15.3
OECD平均 30.1 35.5 31.2 22.8 28.6

 ※ 「いつもそうだ」あるいは「たいていそうだ」の回答の合計の割合

 PISAの生徒への質問紙調査では、数学の授業で教師が生徒を支援する程度が低く、生徒と教師の関係が良好でない。

(教師の支援)【生徒質問紙】 (%)
国名 先生は生徒一人一人の勉強に関心を持っている 生徒が助けて欲しいときは、先生は助けてくれる 先生は生徒の学習を助けてくれている 先生は、生徒がわかるまで何度でも教えてくれる 先生は、意見を発表する機会を生徒に与えてくれる
日本 48.9 61.5 72.4 49.1 46.0
OECD平均 56.7 64.5 71.3 60.7 57.9

 ※ 「いつもそうだ」あるいは「たいていそうだ」の回答の合計の割合

(生徒と教師の関係)【生徒質問紙】 (%)
国名 生徒はたいていの先生とうまくやっている 多くの先生は、生徒が満足しているかについて関心がある たいていの先生は、こちらがいうべきことをちゃんと聞いている 助けが必要なときは、先生が助けてくれる たいていの先生は、私を公平に扱ってくれる
日本 63.8 44.5 53.3 57.0 66.4
OECD平均 69.7 66.3 63.3 74.5 75.1

 ※ 「全くそうだと思う」あるいは「そうだと思う」の回答の合計の割合

 PISAの生徒への質問紙調査では、保護者の学歴や職業等が得点に与える影響は諸外国に比べ小さい。

(保護者の学歴や職業等が得点に与える影響) (%)
国名 生徒の社会経済文化的背景と数学的リテラシー得点の関連の強さ(得点分散の説明率%)
日本 11.6
OECD平均 20.3

 ※ OECD平均よりも有意に影響が小さい

 TIMSSの児童生徒への質問紙調査では、勉強が楽しいと「強くそう思う」児童生徒は前回より増えているが、「強くそう思う」「そう思う」児童生徒の合計は諸外国の平均より少ない。また、勉強への積極性の強い児童生徒は前回より増えているが、諸外国の平均より少ない。

(勉強への興味・関心)【児童生徒質問紙】 (%)
学校
段階
教科 国名 勉強が楽しいと「強くそう思う」 勉強が楽しいと「そう思う」 勉強が楽しいと「強くそう思う」及び「そう思う」と回答した生徒の割合
小学校 算数 日本 29(16) 36(56) 65(72)
国際平均値 50 28 78
理科 日本 45(38) 36(50) 81(88)
国際平均値 55 27 82
中学校 数学 日本 9(6) 30(33) 39(39)
国際平均値 29 36 65
理科 日本 19(8) 40(42) 59(50)
国際平均値 44 33 77

 ※ ( )内の数字は前回調査のデータ

(勉強への積極性)【生徒質問紙】 (%)
学校
段階
教科 国名 高いレベル 中間層 低いレベル
中学校 数学 日本 17(9) 61(61) 22(29)
国際平均値 55 35 10
理科 日本 17(10) 56(60) 27(30)
国際平均値 57 31 12

 ※ ( )内の数字は前回調査のデータ

 TIMSSの児童生徒への質問紙調査では、勉強に対して自信のある児童生徒は少なく、得意な教科だと思う児童生徒も少ない。

(勉強に対する自信)【児童生徒質問紙】 (%)
学校
段階
教科 国名 高いレベル 中間層 低いレベル
小学校 算数 日本 39 40 21
国際平均値 55 33 11
理科 日本 46 41 13
国際平均値 59 32 9
中学校 数学 日本 17 38 45
国際平均値 40 38 22
理科 日本 20 46 34
国際平均値 48 38 13
(得意な教科)【生徒質問紙】 (%)
学校
段階
教科 国名 「得意な教科ではない」という質問に対し、「全くそう思わない」及び「そう思わない」と回答した生徒の割合
中学校 数学 日本 39(41)
国際平均値 54
理科 日本 49(47)
国際平均値 54

 ※ ( )内の数字は前回調査のデータ

 TIMSSの児童生徒への質問紙調査では、希望の職業につくために良い成績を取ると思う生徒は少ない。

(希望の職業)【生徒質問紙】 (%)
学校
段階
教科 国名 希望の職業につくために良い成績を取ると「強くそう思う」及び「そう思う」と回答した生徒の割合
中学校 数学 日本 47(51)
国際平均値 73
理科 日本 39(42)
国際平均値 66

 ※ ( )内の数字は前回調査のデータ

 TIMSSの児童生徒への質問紙調査では、学校外での一日の時間の過ごし方として、宿題をする時間、家の仕事(手伝い)をする時間が短く、テレビやビデオを見る時間が長い。

(学校外での一日の時間の過ごし方)【生徒質問紙】 (時間/日)
(学校外での一日の時間の過ごし方)【生徒質問紙】 (時間/日)

 ※ 調査対象国中、「宿題をする」時間は最も短く、「テレビやビデオを見る」時間は最も長い。

質問紙調査に対応した今後の改善の方向

  1. 学習意欲の向上を図る
    • 観察・実験、算数・数学的活動など実生活と関連付けた指導の充実
    • 学ぶ意義、自己の進路・希望する職業等との関連を意識させた指導の充実
    • 一定の読書冊数や各種検定への取組など切磋琢磨するための具体的な目標の設定
    • 学習発表会など学習の進捗状況や知識・技能等の獲得が目に見えて実感できるような評価の工夫
  2. 学習習慣・学習規律の確立を図る
    • 学び方や調べ方など学習方法に関するガイダンスの充実
    • 始業前や放課後などを活用した補充・発展的な学習の充実
    • 予習・復習の定着、宿題・課題を適切に与えること、家庭学習の手引きの作成など、家庭学習の支援を充実
    • 学習と、学習以外の文化・スポーツ活動、遊びなどの活動とのメリハリ

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初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --