資料4‐5 PISA調査、TIMSS調査の結果分析(中間まとめ)(全体状況) 1 ペーパーテストの結果分析

 PISAでは、全体的に上位層と下位層との得点のばらつきが広がっており、特に読解力では得点の経年比較で、中位層の生徒が下位層にシフトしている。ただし、二極分化とまでは言えない状況。

グラフ PISA調査(読解力)の習熟度レベル別の生徒の割合

 TIMSSでも、中学校数学では経年比較で上位層から中位層、下位層にシフト。ただし、二極分化とまでは言えない状況。

グラフ TIMSS調査(中学校数学)得点分布別の生徒の割合

読解力

 PISAの読解力について、正答率や無答率を基にして分析すると、全般的に課題があるが、特に、読解プロセスにおいて「テキストの解釈」「熟考・評価」に、出題形式において「自由記述(論述)」に課題がある。

グラフ PISA調査・読解力の読解のプロセス別に見た課題

  • 熟考・評価:テキストに書かれていることと知識・考え方・経験等との結び付けが必要な問題
  • 解釈:書かれた情報がどのような意味を持つかの理解・推論が必要な問題
  • 情報の取り出し:テキストに書かれている情報を正確に取り出すことが必要な問題

グラフ PISA調査・読解力の出題形式別に見た課題

  • 自由記述:答えを導いた考え方や求め方、理由説明など、長めの語句で答える問題
  • 求答:答えが問題のある部分に含まれており、短い語句で又は数値で答える問題
  • 短答:短い語句又は数値で答える問題

下矢印

 読解力について、今後の改善の方向性としては、各教科等を通じて、次の方向での改善が必要。

  1. テキストを理解・評価しながら読む力を高めること
  2. テキストに基づいて自分の考えを書く力を高めること
  3. 様々な文章や資料を読む機会や、自分の意見を述べたり書いたりする機会を充実すること

算数・数学

 PISAの数学的リテラシーでは、今回初めて調査した、数(「量」領域)、統計や確率(「不確実性」領域)では2位グループであり、他の領域に比べて得点が低い。特に、「量」では記述式の問題、「不確実性」では解釈が必要な問題で課題がある。

グラフ PISA調査・数学的リテラシー(「量」領域)の出題形式別に見た課題

  • 自由記述:答えの求め方や考え方を説明する問題
  • 求答:答えが問題のある部分に含まれる問題
  • 短答:答えを求めるのに計算が必要な問題

グラフ PISA調査・数学的リテラシー(「不確実性」領域)の数学的プロセス別に見た課題

  • 再現:簡単な計算、見慣れた公式を使う問題
  • 関連付け:計算や公式に加えて、問題の解釈が必要な問題
  • 熟考:問題の解釈に加えて、結果の一般化や説明などが必要な問題

 TIMSSの数学では、同一問題について前回と比べて低下している。公開問題について経年比較で低下している問題について見ると、基礎的・基本的な計算の技能、数についての感覚などと関連の深い問題に課題。

 小学校算数 問1 (数:分数と等しい小数を見つける)
 正答率 60%(前回65%)

 中学校数学 問3
 (数:整数を分数でわる文章題を解く)
 正答率 62%(前回70%)

下矢印

 算数・数学について、今後の改善の方向性としては、次の方向での改善が必要。

  1. 基礎的・基本的な計算技能の定着や数量・図形などの基本的な意味の理解を確実にすること
  2. 数学的に解釈する力や表現する力の育成を目指した指導を充実すること
  3. 実生活と関連付けた指導の充実を図り、数学について有用性を実感する機会を持たせること

理科・科学

 PISAの科学的リテラシーについて、正答率を基にして分析すると、全般的にOECD平均を上回っているが、科学のプロセスにおいて「科学的証拠と結果の解釈」、出題形式において「論述形式」の低下が認められる。

グラフ PISA調査・科学的リテラシーの科学的プロセス別に見た課題

  • 現象の記述・説明・予測:適切な科学的知識を活用する力が必要な問題
  • 科学的探究の理解:課題の認識、探求に必要な証拠の特定などが必要な問題
  • 科学的証拠と結果の解釈:科学的な事柄を証拠として解釈することが必要な問題

グラフ PISA調査・科学的リテラシーの出題形式別に見た課題

  • 求答形式:答えが問題のある部分に含まれる問題
  • 論述形式:答えの求め方や考え方を説明する問題

 TIMSSの公開問題について国際平均値や同一問題との比較において低い問題について見ると、日常生活と関連付けた設問で課題がある

 小学校理科 問5
 (物理科学:ロウソクの消える様子)
 正答率 51%(国際平均値66%)

 小学校理科 問8
 (物理科学:積み木の重量)
正答率 66%(国際平均値72%、前回76%)

 科学・理科について、今後の改善の方向性としては、次の方向での改善が必要。

  1. 科学的に解釈する力や表現する力の育成を目指した指導を充実すること
  2. 日常生活に見られる自然事象との関連や他教科等との関連を図った指導を充実すること

問題解決能力

 PISAの問題解決能力では、他の分野と同様に得点のばらつきはOECD平均より大きいが、習熟度レベル別の生徒の割合では、上位層の生徒が多く、下位層の生徒が少ない状況。

 平均得点:547点(4位:1位グループ)
 標準偏差:105

グラフ PISA2003調査(問題解決能力)の習熟度レベル別生徒の割合

 ※ 問題解決能力とは、
 「問題の状況が、1.現実のものであり、2.解決の道筋がすぐには明らかではなく、3.1つのリテラシー領域内に限定されない場合に、問題に対処し解決する能力」

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

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