27文科初第705号
平成27年8月25日
各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事
構造改革特別区域法第12条第1項の
認定を受けた各地方公共団体の長
附属学校を置く各国立大学法人学長 殿
文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎
(印影印刷)
平成27年度全国学力・学習状況調査の結果の取扱い及び調査結果の活用について(通知)
平成27年度全国学力・学習状況調査(以下「本調査」という。)の結果については,「平成27年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成26年12月9日文部科学事務次官決定。以下「実施要領」という。)に基づき,平成27年8月25日に公表しました。
本調査の結果の取扱いについては,実施要領に基づき,適切に行われる必要があります。また,本調査の結果は,各教育委員会,学校法人,国立大学法人,学校設置会社及び学校(以下「各教育委員会,学校等」という。)において十分に活用され,教育施策の成果と課題の検証・改善や学校における教育指導の改善等に役立てられることが重要です。
本調査の結果の取扱い及び活用に関する留意事項は下記のとおりですので,各教育委員会,学校等におかれては適切な対応をお願いします。
都道府県教育委員会におかれては域内の市町村教育委員会(指定都市教育委員会を除く。)及び関係する所管の学校に対して,指定都市教育委員会におかれては関係する所管の学校に対して,国立大学法人学長におかれては関係する附属学校に対して,本通知の内容について指導,助言及び周知をお願いします。都道府県知事におかれては関係する域内の私立学校及びそれを設置する学校法人に対して,構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては関係する域内の株式会社立学校及びそれを設置する学校設置会社に対して,本通知の内容について十分周知をお願いします。
記
本調査の結果の取扱いについては,実施要領に基づき,適切に行うこと。
これまでの全国学力・学習状況調査の結果については,「平成19年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成18年6月20日文部科学事務次官決定),「平成20年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成19年11月14日文部科学事務次官決定),「平成21年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成20年12月24日文部科学事務次官決定),「平成22年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成21年12月28日文部科学副大臣決定),「平成24年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成23年12月9日文部科学副大臣決定),「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)に関する実施要領」(平成24年12月7日文部科学副大臣決定),「平成26年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成25年11月29日文部科学事務次官決定)及び「平成27年度全国学力・学習状況調査の実施について(通知)」(平成26年12月9日文部科学事務次官通知)に基づき,引き続き取り扱うこと。
各教育委員会,学校等においては,調査結果を十分活用して,児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し,教育施策の成果と課題を検証し,その改善を図るとともに,そのような取組を通じて,教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立すること,また,学校における教育指導の充実や学習状況の改善に役立てることが重要であること。
なお,文部科学省としては,調査結果を活用した取組を支援するため,別添に示す取組を行っており,各教育委員会,学校等において積極的に御活用いただきたいこと。
(1)教科に関する調査の結果の分析・検証
児童生徒の学力の状況や課題等を的確に把握・検証するため,[1]教科ごとの平均正答数,平均正答率,中央値等の数値データによる分析だけではなく,[2]児童生徒の正答数の分布の形状等から全体的な状況を把握・検証したり,[3]設問別の結果から学習指導要領の領域や評価の観点,問題形式ごとの正答や無解答の状況を分析したり,[4]解答類型別の結果から個々の設問における誤答や無解答の状況を分析したり,[5]これまで7回の調査の結果の状況や地方公共団体における独自の調査の結果等と比較分析したりするなど,それぞれの状況に即し,多面的な分析を行い,指導上の課題等を明らかにすること。
(2)質問紙調査の結果の分析・検証
児童生徒及び学校に対する質問紙調査の結果の分析・検証により,児童生徒の学習意欲・学習環境・生活習慣等や学校の指導方法に関する取組,教育条件の整備の状況等の具体的な状況を把握・検証するとともに,これらの状況と学力との相関関係について分析を行ったり,学力や学習状況等の調査の結果を組み合わせて各教育委員会,学校等における全体的な特徴を把握・分析したりすることなどにより,教育や教育施策の成果,取り組むべき課題等を明らかにすること。
(1)各学校においては,調査結果の分析・検証の結果を踏まえ,指導計画等に適切に反映させるなど,教育指導等の改善に向けて計画的に取り組むこと。その際には,調査対象の学年や教科だけではなく,全学年,全教科等を対象として,学校の教育活動全体を見渡した幅広い観点から取り組むべき課題や,その改善に向けた取組について検討すること。
(2)具体的には,教育指導等の改善に向け次の事項について取り組むことが考えられること。
(ア) 習熟度別指導や少人数指導,発展的な学習,補充的な学習などの個に応じた指導を適切に実施したり,家庭学習の課題を適切に与えたりするなど具体的な指導内容や指導方法等の改善に向けた取組を行うこと。特に,課題が見られた児童生徒に対しては,学習状況の改善や学習意欲の向上につなげていくという観点を十分考慮しながら,それぞれの課題に応じて,補充学習等の教育指導を適切に行うことなどにより,学力の定着に努めること。
(イ) 児童生徒の思考力・判断力・表現力等を効果的に育成するため,基礎的・基本的な知識及び技能の活用を図る学習活動や言語活動,総合的な学習の時間における探究活動を一層充実すること。あわせて,自ら学級やグループで課題を設定し,その解決に向けて話し合い,まとめ,表現するなどの学習活動を計画的に取り入れるよう一層工夫すること。その際,調査結果における学校と児童生徒の回答状況を比較すると,学校が指導を行ったと考えていても,そのように受け取っていない児童生徒が一定割合存在することに留意して指導を行うこと。
(ウ) 保護者や地域等の理解と協力のもとに十分に連携をとりながら,家庭における学習習慣や生活習慣等の改善に向けた取組を行うこと。
(エ) 課題の見られた点を中心に,教職員の指導力の向上,指導内容や指導方法等の改善を図るため,校内研修等を適切に実施すること。また,調査結果の分析・検証の結果については,学校全体で共有し,調査実施学年以外の学年や調査実施教科以外の教科等の指導改善等にも活用すること。
(オ) 小学校と中学校において課題を共有して改善に取り組むなど,十分に連携をとりながら取組を行うこと。
(1)各教育委員会においては,調査結果の分析・検証の結果を踏まえ,それぞれの役割と責任に応じて,改善計画等の作成を行うことなどにより,域内の教育や教育施策の改善に向けて総合的かつ計画的な取組を進めること。
(2)各教育委員会においては,改善計画等に基づき,具体的には,次の事項について取り組むことが考えられること。
(ア)学校における具体的な改善の計画や取組に対し,学校の状況に応じて,必要な指導,助言や支援等を行うこと。その際,特に課題が見られる学校における改善の取組を促すとともに,積極的に支援すること。
(イ)指導内容や指導方法等の改善を推進するため,指導資料や教材の作成,教職員研修の実施や授業研究等への支援,教職員や非常勤講師の配置等への配慮など,教育施策の改善に適切に反映させること。
(ウ)優れた取組を行っている学校等の事例や調査結果の分析・検証手法等の周知に努めるなど,域内における教育指導や家庭における学習習慣・生活習慣等の改善に向けた取組を推進すること。
各教育委員会,学校等においては,上記の取組等を通じて,保護者等への説明責任を適切に果たしつつ,教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することが求められること。そのため,調査結果の分析・検証の結果を踏まえた改善の取組については,域内全体や学校ごとの教育や教育施策に適切に反映させるとともに,教育委員会や域内の学校の教職員等が情報を適切に共有しながら取り組むことが重要であること。
また,調査結果を活用した取組の成果を踏まえ,改善計画等の必要な見直しを行うなど継続的な検証改善サイクルの確立に向けた取組を進めることが重要であること。
「全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査)」のホームページ(文部科学省ウェブサイト)
URL https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/index.htm
「平成27年度全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料」のホームページ(国立教育政策研究所ウェブサイト)
URL http://www.nier.go.jp/15chousakekkahoukoku/index.html
【本件担当】
文部科学省初等中等教育局参事官付学力調査室
初等中等教育局参事官付学力調査室
-- 登録:平成27年08月 --