学校図書館

子どもの読書サポーターズ会議 (第8回) 会議の概要

第8回会議(平成20年7月18日)

配付資料

議事概要

日時

 平成20年7月18日(木曜日)10時~12時

場所

 金融庁14階 共用会議室-1 1414号室(合同庁舎7号館西館)

参加者

  市川 久美子 氏 (財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)読書アドバイザー)
座長 片山 善博 氏 (慶應義塾大学教授(大学院法学研究科)、前鳥取県知事)
  庄司 一幸 氏 (福島県立あさか開成高等学校教諭、読書コミュニティネットワーク代表)
  小川 三和子 氏 (東京都新宿区立津久戸小学校司書教諭)
  齋藤 明彦 氏 (鳥取県自治研修所長、前鳥取県立図書館長)
  小峰 紀雄 氏 (小峰書店社長、読書推進運動協議会理事、日本書籍出版協会理事長)
  木村 滋洸 氏 (社団法人 日本PTA全国協議会専務理事)
  秋田 喜代美 氏 東京大学大学院教育学研究科教授
  浜尾 朱美 氏 キャスター、エッセイスト

議題

  1. これからの学校図書館の活用の在り方等について
  2. その他

配付資料

  • 資料1 第7回「子どもの読書サポーターズ会議」概要
  • 資料2 これからの学校図書館の活用の在り方等について【論点例】(委員意見入り)
  • 資料3 これからの学校図書館の活用の在り方等について(審議経過報告)【骨子案】
  • 資料4 学校図書館スタッフの業務
  • 資料5 学校図書館広報リーフレット

1.開会

2.資料確認・説明

〈これからの学校図書館の活用の在り方等(論点例・審議経過報告)について〉

 前回は、学校の中の学校図書館の役割として、「読書センター」、「学習情報センター」、「心の居場所」など、さらに、地域の中の学校図書館の役割として、ボランティアとの関係や放課後活動の拠点としての可能性などについてご議論頂いた。今回は、これまでの7回にわたる審議全体を通じ、審議経過報告としてのたたき台を資料としてお示ししている。
 審議経過報告については、「はじめに」に続いて大きな4本柱となっている。1つ目の柱は学校図書館の機能・役割ということで、従前言われている「読書センター」「学習情報センター」機能に加え、教員のサポート機能その他付加的な機能等について総覧している。2つ目の柱は、このような機能に関連しての、最近の学校図書館をめぐる様々な動きや状況等について。そういった状況を踏まえ、学校図書館に求められる課題のようなものが3つ目の柱。そして4つ目の柱として、今後の活用高度化に向けた視点と推進方策についての6つの視点を示させていただいている。最後に留意点等として、そういった推進方策を講じていく上でも必要となるマネジメントの課題や、教育委員会による物的・人的支援等々の条件整備の面の部分。あくまでたたき台という形で示しているので、これにとらわれず自由にご審議いただきたい。

《意見交換》
  • 前回、学校図書館と児童クラブ等との連携の可能性という話が出たので、地元の取組について調べてきている。訪れた児童クラブは歴史も古く、かなりの数の児童生徒が、ローテーションでまわしている指導員の元で面倒を見てもらっていた。指導員はニーズによって柔軟に加配も行われているようであり、児童クラブに置いてある本も公共図書館や保護者、指導員から寄付してもらうなど、外部との連携も進んでいた。学年によって児童クラブに来る時間が違うので、先に来た子が騒ぎ出さないように読書をさせるなどの工夫も見られた。ここで学校図書館との連携についてだが、児童クラブに来る前に学校図書館から本を借りてくる子どもも多いとのことだったが、やはり管理上の問題で利用できないようになっていた。他の児童クラブでは、側にある公民館の図書室を利用している場合もあるとのことだったが、一番の問題点として聞かされたのは、児童クラブの本と学校図書館の本が混ざることということで、このような点でも連携が課題だと感じた。また、以前は公共図書館の移動車がまわっていてそれを利用していたが、廃止になり、現在は配本サービスというものを利用しているとのこと。さらに、高校生が行う児童クラブでの読み聞かせ活動も評判で、交流が出来るという意味でもいいとのことだった。
  • 学校サイドに、最近の子ども達はこれからすぐに自己責任の世界に入っていくという話をしている。自己責任の前には当然ながら自己判断があり、判断をするためには情報をきちんと取捨選択できる能力が必要。我々の時代とは違うことが今の子ども達には求められており、その力をつけるための役割を担うものとして学校図書館があるということをどこかに書いて欲しい。また、公共図書館サイドから考えると、学校へのサービスというものに温度差がある。例えば、物流なんかは典型的な部分だが、本当に学校図書館を活用して学校司書がリファレンスをするのであれば、ほぼ毎日に近いぐらいの物流の提供がなされない限り、その実現は難しい。公共図書館にとって、学校図書館へのサービスや連携の主導などは重大な使命。学校図書館との連携は、公共図書館にもメリットがあるということを明記すべき。また、設置者別のような縦割り意識も払拭して頂きたいので、「公共」であるということを強調したい。
     → 鳥取の県立高専の例では、市町村との連携が進んでおり、お互いに物流を提供し合っているということがある。高専に限らず、大学も含めての連携も進んでいるが、これらを牽引すべきなのは、やはり公共図書館。
     → 公共図書館のネットワーク化という視点も盛り込むべき。また、学校図書館の機能として、学び方を学ぶことに加え、生き方を学ぶということも表面化させるべき。加えて、学校図書館の充実とは、人と物の充実に加え、どの程度学校図書館が活用されているのかという意味が含まれているということが重要。他にも、学校図書館に子どもたちが作った本が入るとか、本の購入に際しては子どもの意見が反映されるとか、子どもたちによる本のお薦め情報が付記されているなど、子ども同士がつながる仕組みがあると良い。教員はサポートされるだけというのではなく、参加型としての仕組みを作ること、電子メディアの扱いと学校図書館との関係など、今後5年、10年のための報告書を作成するのであれば、これらも書くことが必要。
  • 学校図書館は奉仕機関であると同時に指導機関でもある。本の読み方には最初から最後までを読む読み方と、必要な情報を取り出すために部分的に読むという2種類の読み方があり、この両方を身につけることが子どもにとっては必要。読む本の幅を広げるということも含め、指導が必要。単に本好きの子どもを増やすということではいけない。また、学び方を学ぶということは重要だが、授業実践の研究など、学ぶ中身についても重要であるということが発信されなければならない。
  • 学校図書館法に規定されている学校図書館の役割が果たされているのかを考えると、そうでもないというのが現状。学校図書館法はかなり広範な役割を求めており、それを専任ではない司書教諭の先生に任せるというのは無理がある。学習指導要領も同様であり、突き詰めれば、やはり学校図書館には司書が必要ということになる。司書を置くないし置くものとするように、学校図書館法の見直しを提言してもいい。文科省が財源措置をする必要はなく、学校図書館には人が要るということを明示するだけでいい。資料にはいいことがたくさん書かれてあるが、誰がやるのかが抜けている。まずは、必要なものを必要ときちんというところから始めないといけない。法律に書けば、拠り所ができて活動が広がる。まずは、こうあるべき論をすればいい。
  • 司書教諭や学校司書がいるところでも外部との連携が進んでいないところはある。縄張り意識などを払拭するための読書行政の中核となるものが必要。
  • 多様な読書が必要と言われるが、学校図書館には多様な読書ができるほどの蔵書がない。また、図書館が本の質を高めたり、出版を促したりするということは間違いない。そういう意味では、本当に学校図書館に多様な本を置くようになれば、本の質も高まり、読書の多様性が保証されるという好循環ができるのではと考えている。
〈学校図書館スタッフの業務について〉

 ボランティアが司書に代替されてしまっていて、司書の配置を遅らせるのではないかという危惧があるなかで、ボランティアでもできること、司書にしか出来ないことを一度整理しておく必要があるということで、仮に、学校図書館に司書教諭と学校司書、ボランティアがいる場合のモデル的な役割分担についてのイメージ案をまとめた。個人の能力によるところもあるが、司書教諭は学校図書館の運営についての総括的な役割と教育課程の編制・展開という役割を担い、学校司書の役割は自治体によって様々なのが現状だが、司書資格のような図書館業務についての専門性をもった学校司書を想定すると、学校司書は専門的業務と事務的業務の両面を担い、さらには教育活動へも参画していく。ボランティアについては、これらの一部を代替し得るような実務面を担う図書館ボランティアと、地域での読書活動を学校に持ち込んでいくといったような読書活動の実演を行う読書ボランティアという2種類に大きく分けられるのではないか。資料にもあるように、それぞれにまたがっている業務が多くあり、制度化の際にはそこを仕切る必要が出てくるというのが課題。

《意見交換》
  • 学校司書のイメージが弱いのでは。正規職員の学校司書は、またがっているような業務はほぼ請け負っている。これでは、学校司書がいなくてもなんとかなるという風にとれる。
  • マネジメントをするトップリーダーがいない。自主的に役割分担しろと言っても無理。そういうところも法律に書けないか。校長でも教頭でも、シニアの教員でもいい。
  • 若くて能力を持った人間が、ボランティアとしてではなく、司書として働けるような仕組みが必要。学校図書館が閉鎖的というのは、ベテランがずっとやっていて硬直化しているというのも一因。
  • 提言をするのであれば、意見だけではなく確かなデータが必要。司書教諭がいることによる成果を検証するなど、評価を行わなければならない。構造的に調査をするべき。
  • 学校の設置者に人事権がないのがそもそもの問題。市町村に当事者意識を持たせるべき。
  • 司書教諭がやるべきことと学校司書がやるべきことはある程度線引きをしておいて、この部分は実情に応じて交流してもいいという整理の仕方は出来ないか。学校図書館が活発になってくると司書教諭では足りなくなる。
  • 専門的知識を必須条件としない学校図書館事務補助職員から専門性をもった常勤司書に人材を入れ替え、併せて、公共図書館と連携をしたことによって貸出し実績が3倍になったという実績がある。専門性を持つことと正規職員であるということは、発言力や使命感につながる。

3.閉会


お問合せ先

総合教育政策局地域学習推進課

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(総合教育政策局地域学習推進課)

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