学校図書館

子どもの読書サポーターズ会議 (第7回) 会議の概要

第7回会議(平成20年6月12日)

配付資料

議事概要

日時

 平成20年6月12日(木曜日)14時~16時

場所

 金融庁14階 共用会議室-1 1414号室(合同庁舎7号館西館)

参加者

  きむら ゆういち 氏 (児童文学作家)
  田辺 陽子 氏 (日本大学準教授、アトランタ・バルセロナオリンピック柔道銀メダリスト)
  市川 久美子 氏 (財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)読書アドバイザー)
座長 片山 善博 氏 (慶應義塾大学教授(大学院法学研究科)、前鳥取県知事)
  小林 路子 氏 (元市川市教育センター指導主事)
  小林 実 氏 (山梨県甲斐市立双葉西小学校校長)
  庄司 一幸 氏 (福島県立あさか開成高等学校教諭、読書コミュニティネットワーク代表)
  小川 三和子 氏 (東京都新宿区立津久戸小学校司書教諭)
  齋藤 明彦 氏 (鳥取県自治研修所長、前鳥取県立図書館長)
  小峰 紀雄 氏 (小峰書店社長、読書推進運動協議会理事、日本書籍出版協会理事長)
  森田 盛行 氏 (社団法人 全国学校図書館協議会理事長)
  木村 滋洸 氏 (社団法人 日本PTA全国協議会専務理事)

議題

  1. これからの学校図書館の活用の在り方等について
  2. その他

配付資料

  • 資料1 第6回「子どもの読書サポーターズ会議」概要
  • 資料2 設置要綱・会議メンバー
  • 資料3 これからの学校図書館の活用の在り方等について【論点例】
  • 資料4 国民読書年に関する決議
  • 資料5 都道府県及び市町村における「子どもの読書活動推進計画」の策定状況に関する調査結果について
  • 参考資料1 「これからの時代に求められる国語力について」(平成16年2月3日文化審議会答申)
  • 参考資料2 子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画[第2次](抄)
  • 参考資料3 言語活動の充実について

1.開会

 笠木委員の退任、森田委員の就任・挨拶について

2.資料確認・説明

〈これからの学校図書館の活用の在り方等について〉

 これまでも学校図書館にはモノとヒトが必要ということできたが、それでは、その主張を裏付けるために、学校図書館にヒトがいれば何ができるのか、学校図書館はどのような発展性をもっているのかについて、改めてご議論をお願いしたい。

《学校の中の学校図書館》
 まずは、学校の中の学校図書館という大きな1点目。学校図書館の役割については、従前、読書センターとしての役割、学習情報センターとしての役割という大きな2本柱という形で、皆様からのご理解をいただいているところです。さらに最近、例えば保健室のように、学校の中で、教室の中で、先生との間の教え教えられる、ひいては評価をされるといった関係とは違って、斜めの関係とでもいう場所、いろいろな人が出入りし、安心感を得る、自分の存在感を得ることができる、そういった多様な場所、心の居場所を整備していく必要があるのではないかという観点からも、学校図書館に期待が集まるようになってきている。
 そういった観点から、3つの大きな柱として、1つは読書センターとしての今後の発展の方向性ということ。今後、どのように充実させていくべきか、そのためにどういった条件整備が必要であるか。既に朝読や読み聞かせ等の取組はかなり定着してきているが、その次に来るものがあるのかどうかというところについても、ご意見をいただきたい。
 2点目の学習情報センターということについては、平成20年度の学習指導要領改訂においても、言語活動の充実が柱としてうたわれたところであり、各教科を通じてさまざまな言語活動をもっと活発にやっていこうという方針がある。そういった中で、学校図書館が今後どんな役割を果たしていくのか。例えば、小川委員の津久戸小学校では、調べる学習室を設けるという形での学校図書館活動の展開なども見させていただいた経緯があるが、そういったものも参考に、これからの学習情報センターとしての発展の方向性についてご議論をいただきたい。
 3点目として、心の居場所としての役割についてはどうか。本来の学校図書館の役割からさらにもう一歩踏み出すものではないかと考えるが、そもそも、そういった機能充実を今後進めていくべきなのかどうかということも含め、ご意見を賜りたい。

《地域の中の学校図書館》
 1点目は学校図書館とボランティアの関係について。背景として、現在、全国の市町村に学校支援地域本部を設け、ボランティア活動の推進、地域のチカラを得ながら学校支援を盛り立てていこうという施策を進めているということがある。そういった中で、学校図書館ボランティアについても、これからもっと入って頂くというのが1つの方向性としてあろうかと思うが、その一方で、学校図書館司書については、財政事情が非常に厳しい中で、常勤が非常勤になり、非常勤がボランティアになるというような事態もあると聞いている。学校図書館司書とボランティアの関係について、先生方のいろいろなお知恵も賜りたい。
 2点目は、学校図書館の機能の更なる拡大ということで、例えば、現在文部科学省が進めている施策の中には、小学校の空き教室などを利用して、放課後教室、児童館の役割のようなものを整備していこうという「放課後子どもプラン」というものがある。少子化時代という流れと共働き家庭が多くなっている中でそういった取組が進んでいるところだが、学校には空き教室だけではなく、学校図書館がある。例えば、放課後を利用して、読書好きな子どもに、読書に親しませる機会を提供していくという方向性もあり、実際にそういう取組を進めている自治体も幾つかあるが、全国的に広がっているわけではないというのが現状。こういったものを今後の新しい学校図書館の役割として、どのように捉え、また推進していくべきかどうかについて、先生方のご意見を賜りたい。

〈意見交換〉
  • 司書教諭と学校司書、ボランティアとの関係について、なにかしらのガイドラインを示すべき。ボランティアが入ったからといって、学校司書が不要だということにはならない。
  • 学校司書については専門性が失われないようにしなければ、誤解されてしまう。
  • ボランティアについては、あまり入りすぎるのは望ましくない。専門性をもった学校司書などが築き上げた土台の上で、参画して頂くことが望ましい。ただ、逆のパターンで、まずボランティアの取組から学校図書館の活用が盛んになり、専門性をもつ学校司書が必要になったという事例もあると聞いている。それぞれの実情に応じて役割を見極めていくことも重要。
  • ボランティアに関しては、様々な問題が生じていると聞く。司書教諭、学校司書がきちんと配置されていない今、この時点でボランティアが入ってくると、学校司書の配置が遅れるのではないかという危惧もある。
  • PTAの立場からすると、今、進められている施策は、以前からPTAが担ってきたもので、問題があるということもあろうが、それぞれ純粋な気持ちで協力しようと取り組んでいることである。学校司書などに専門性が必要なことについて、その重要性が浸透していないのではないか。それを浸透させていくのも司書教諭や学校司書、校長などの仕事である。また、ボランティアを訓練する、教育するということが必要。
  • ボランティアは自分の出来る仕事を出来る時間にというスタンスなので、学校にとってこれが必要だからこれをしてくれというのは難しい。学校司書にはそれを求めることが出来る。
  • 司書教諭や学校司書も重要だが、組織としての学校図書館部が必要。発令者以外にも有資格者は多数いて、組織的に学校図書館を経営することが必要。
  • 学校図書館が活性化してくると、司書教諭と学校司書だけではもたなくなる。それを補うのがボランティア。このボランティアが組織的にしっかりしてくると、学校経営の中にも位置づけられてくる。
  • 学校司書は職員。職員がいてこそのボランティアである。そして、職員には研修が必要。
  • 3者のバランスが重要。ボランティアにもそれなりの能力が求められるので、ライセンスのようなものを設けることは出来ないのか。
    → 一律にこのような能力が必要というものを設けるのは難しいが、博物館の解説ボランティアのように検定といった形をとっているものもある。
  • ボランティアに頼りすぎる状況は危険。海外では、ボランティアが必要なら職員を雇うという考え方の国もある。有償ボランティアのような、学校司書との線引きが難しい形は問題。
    → ボランティアは自由意志に基づいていれば有償でもかまわない。行政がやると公平・平等にしなければいけないが、ボランティアにはそのような責任は伴わないのが利点でもある。
  • 理想は理想としていいが、学校司書の複数配置は難しい。現実的に考えると、読書の重要性を理解してくれる応援団をもつことが有効。リーフレットやポスターはその呼びかけの手段のひとつ。
  • ボランティアを受け入れる際には、その内容を示して募集することが有効。
  • ある自治体の取組で、公共図書館から学校図書館にボランティアを送り込むというものがあった。それは10年以上も続いており、2000人以上の登録者がいるという事例もある。
  • ボランティアに守秘義務にかかるような業務をさせるのは限界がある。ボランティアを職員の代わりにし、安上がりに済まそうという安易な考え方がいけない。言葉を定義づけて意味をはっきりさせる必要がある。都合のいいとこどりだけをされてはいけない。例えば、色々と話題になっている指定管理者制度だが、本来の目的は質の向上。それが、コスト削減にだけ注目が集まっている。
  • お金をつけるつけないは、軽視されているかどうかという問題。必要だと思われているところにはきちんとお金はつく。現場の創意工夫というのは精神論で、理想的な業務を期待しているだけ。ボランティアをどう活用するか以前に、ヒトとモノを学校図書館につけることが必須。
  • 学校図書館には経営マネジメントという観点が足りない。それがあってこそ、家庭の教育力など、外部のチカラを有効に活用できる。
  • 放課後子どもプランについては、枠を作ることで逆に子どもが遊びにくくなったということを感じている。放課後に学校図書館を開放するのもいいが、単に本を読める場所を提供するだけでいいのか。どのように活用していくのかは課題がある。
  • 例えば、山梨県では児童館と学校とは立地的にも近接しており、結びつきやすい。実際に連携した活動もしており、管理的な課題はあるが、このような取組は広げていただきたい。
  • 都会ではなく田舎の話になるが、学校の統廃合が進み、スクールバスによる送迎が広がっている中で、待ち時間をどう過ごすのかという問題もある。そのような中、学校図書館がなにがしかの形で力を提供するということは避けられないのではないか。
  • 発達障害をもった児童生徒の中には、学校図書館にいくと心が落ち着くという子どもが多い。それは、決められた時間帯の中で管理された教室ではないから。その中で、読書の楽しみや喜びを感じられることが重要。それには、一人一人に目を配ることの出来る学校司書が必要。
  • 指導要領で求められるものを達成するには、学校図書館の充実が不可欠。それなのに何故学校図書館にヒトがつかないのか理解できない。スクールカウンセラーや学力推進員など、教育環境がどんどん進んできている中で、学校図書館は遅れている。
  • 学校図書館が遅れるのはその閉鎖性が原因。司書がいても、学級担任と同じ様にここは自分がやっている場所という感じで、他者の意見を受け入れないような状況では変わらない。
  • 学校図書館は授業プラスアルファ的な位置づけだからこそ、ボランティアでいいという議論になるのではないか。教育の基礎であるという位置づけが重要。
  • 作者の立場として、作品をテストで細切れにされるよりも、話の続きを子どもたちに考えさせるような授業が行われたことが嬉しかった。このようなことも、学校図書館と授業とが連動しているからこそ出来たことであると感じている。
  • 学校図書館には教職員のサポートが不可欠だが、教職員へのレファレンスという面もある。そのためには司書や豊富な資料が必要。公共図書館との連携で補える部分もある。
  • 教員中心主義ではいけない。専門家として働ける人が必要。

3.子どもの読書活動推進計画の策定状況について

 3月末現在の市町村の子どもの読書活動推進計画の策定状況について、策定済みが31%と伸びてきているものの、まだまだ全ての市町村でというという状況ではない。計画を作ることの意義などをPRし、都道府県の計画更新も含め、促していきたい。

〈意見交換〉
  • 策定割合が増えたからといって喜んではいけない。重要なのは、作られた計画に沿ってどのように子どもの読書活動が推進されたのかということ。数値目標などをもっと盛り込むべき。

4.閉会


お問合せ先

総合教育政策局地域学習推進課

Adobe Readerのダウンロード(別ウィンドウで開きます。)

PDF形式のファイルを御覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、まずダウンロードして、インストールしてください。

(総合教育政策局地域学習推進課)

-- 登録:平成21年以前 --