在外教育に関する施策の概要

 文部科学省が行っている在外教育に関する施策についてご紹介いたします。

1.在外教育施設の教育環境の改善

⑴ 派遣教師数の改善

〇在外教育施設教員派遣事業等

 文部科学省は、日本人学校等の在外教育施設に対し、国内の教育委員会、国立大学法人、学校法人から推薦いただいた教師(現職派遣教師)、シニア派遣教師及びプレ派遣教師を派遣しています。また、派遣教師に対し赴任・帰国旅費及び在勤手当等、都道府県等に対し教師派遣に係る経費(国内給与相当)を交付しています。

⑵ 教師の研修、教育環境の改善、教育支援

〇校長研究協議会の実施

 現在、世界を4地区(東アジア・大洋州地区/中南米地区/南西アジア中東アフリカ地区/北米・欧州地区)に分けて、日本人学校の校長を対象に日本人学校における教育指導及び運営上の諸問題について研究協議を行い、日本人学校の教育水準の維持向上と円滑な学校運営に資するための研究協議会が行われています。さらに、補習授業校においても派遣を対象とした研究協議会が開催されています。

〇スクールカウンセラーの派遣

 いじめ・不登校等の専門的な教育相談を要する児童生徒、保護者、派遣教師が在籍する在外教育施設に国内の専門家を派遣し、教師に対する指導や児童生徒に対するカウンセリング等を実施しています。

〇在外教育施設教材整備事業補助

 文部科学省では、日本人学校・補習授業校・私立在外教育施設における教育指導の充実に資するため、公益財団法人海外子女教育振興財団が行う在外教育施設教材整備事業に対して、昭和42年度から補助を行っています。在外教育施設教材整備事業では日本国内の指針等を参考に、在外教育施設における一般教材、理科教材及び学校図書館図書等に係る整備について支援しています。

 ※詳しくは海外子女教育振興財団のHP(※外部サイトへリンク)をご覧ください。

〇派遣教師のいる在外教育施設による派遣教師のいない在外教育施設に対する支援

 派遣教師を有しない在外教育施設の円滑な教育活動の実施のため、派遣教師を有する在外教育施設が、未派遣施設に対して助言等の支援を実施する仕組みを構築しています。また、このうち特定指導(未派遣施設における教育の水準の向上や直面する課題の解決及び派遣施設の先進的な知見の導入等を図るための指導、助言等であり、かつ、派遣教師の資質の向上に資することが期待されるものをいう。)に派遣教師が指導教員として参加する際の旅費を支給しています。

〇補習授業校現地採用講師研修会への教師派遣

 派遣教師のいない補習授業校における現地採用講師を対象に、教師として求められる学習指導の内容・方法等の基礎的・基本的事項について研修を行っており、文部科学省は派遣教師が指導講師として研修会へ参加する場合の旅費を負担しています。

〇補習授業校指導資料集(小学校国語/算数、中学校国語/数学)の作成

 令和2年度から実施されている小学校学習指導要領および令和3年度から実施されている中学校学習指導要領や、それに伴い改訂される教科書の内容を踏まえた小学校国語/算数および中学校国語/数学の指導資料集案(指導の流れ、ワークシート例、展開/板書例 等)の作成を、全国海外子女教育国際理解教育研究協議会に委託し作成しています

 ※詳しくは「補習授業校向け資料」をご覧ください。

⑶ 安全管理体制の整備

 在外教育施設の安全対策等のため、文部科学省は、外務省と連携をとりつつ、在外教育施設における治安状況に関する情報収集につとめ、状況に応じ、在外公館を通じて注意喚起を図ることとしています。
 また、在外教育施設の緊急時の迅速な安否確認のためのホットラインとして、在外教育施設安否確認システムを整備するほか、派遣教師への防犯手当の支給、派遣教師への事前研修等での学校安全指導の周知徹底、平成10年より随時作成した在外教育施設派遣教師安全対策資料(危機管理編、事例集編等)の配布等の取組も行っています。

2.「選ばれる在外教育施設づくり」に向けた特色化・多様化支援

〇在外教育施設重点支援プラン

 令和4年度より委託事業として、特色ある研究開発による教育の高度化を図り、児童生徒の学びを保障する教育の質の向上や多様化・特色化の推進を図るための優れた教育プログラムの開発支援等を行っています。

 ※過去に海外子女教育振興財団に委託し実施した「在外教育施設の高度グローバル人材育成拠点事業」(平成27年~令和3年)については、「日本人学校・補習授業校応援サイト:AG5(※外部サイトへリンク)」をご覧ください。

〇在外教育アドバイザーの設置

 在外教育施設の教育活動の改善、安定的な学校経営を推進するとともに、在外教育施設の適切な運営体制の構築に資するため、在外教育施設における経験と知見を有する校長経験者・事務長経験者、その他有識者等による在外教育アドバイザーを設置し、各学校の学校運営委員長・校長・事務長等を対象に専門的知見が必要な各種相談体制を整備しています。

3.在外教育施設を活用したグローバル教師の育成

〇トビタテ!教師プロジェクト

 平成29年より、在外教育施設の機能強化を図り、教師派遣の「派遣前」「派遣中」そして「帰国後」の魅力を高め、戦略的にグローバル教師を育成する「トビタテ!教師プロジェクト~在外教育施設を活用した戦略的なグローバル教師の育成~」を行っています。

 ※詳しくは「トビタテ!教師プロジェクトについて」をご覧ください。
 

〇帰国教師ネットワーク構築事業

 日本人学校等からの帰国教師の派遣経験を国内に積極的に還元・共有し、再び優秀な教師が派遣される好循環を目指し、国内の教師に対して魅力発信を行うとともに、グローバル教師育成強化のための帰国教師間のネットワークを構築する事業を行っています。

 ※詳しくは「帰国教師等向け情報」をご覧ください。
 

〇在外教育施設における教育実習の実施促進

 平成30年12月に、教育職員免許法施行規則の一部を改正し、文部科学大臣が、小学校、中学校又は高等学校と同等の教育課程を有するものとして認定した在外教育施設による教育実習が可能となりました。

 ※詳しくは「在外教育施設における教育実習について」をご覧ください。

4.その他、海外で学ぶ児童生徒への支援

〇在外日本人児童生徒への教科書の無償給与

 文部科学省では、海外における学習活動に支障が生じないよう、昭和42年度から、海外に在留する日本人学齢児童生徒に対し、国内で最も多く使用されている義務教育教科書を無償給与しています。また、これから海外に出国する日本人児童生徒の出国直後の教育に支障のないよう、昭和47年度から、公益財団法人海外子女教育振興財団を通じて必要な義務教育教科書を出国前に給与しています。

 ※詳しくは「13. 在外日本人子女等への教科書の無償給与」及び海外子女教育振興財団のHP(※外部サイトへリンク)をご覧ください。
 

〇通信教育事業補助

 文部科学省では、公益財団法人海外子女教育振興財団が帰国後の学校教育への適応等に備えて基礎学力の維持向上を図るために実施している通信教育の一部に対し、昭和47年度から補助を行っています。

 ※詳しくは海外子女教育振興財団のHP(※外部サイトへリンク)をご覧ください。