平成30年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(松山市)

平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 市教育委員会の担当指導主事3名、日本語支援員24名で年に2回に研修会を行った。そのうち1回は、外部講師を招いた。
  • 日本語支援員は、児童生徒の日本語や日本の生活習慣の習熟度を学校が判断し、支援員の配置が必要な場合には市教委へ配置要請をし、市教委において配置の要否を判断する。配置が認められた場合には、学校が地域等から日本語支援員となる人材を確保し、年間560時間を限度として、児童生徒の習熟度や学校行事等を勘案しながら、フレキシブルに活用する。支援員の身分は、有償ボランティアであり、謝礼(報酬)は市教委が支援実績に応じて直接本人に支払う方法となっている。

2.具体の取組内容

  • <3>8月に、学校生活支援員(日本語)を対象に研修会を開催し、その中で、日本語能力を知るための手立ての一つとして、日本語能力測定方法等の活用の仕方を紹介した。外国人や帰国子女の日本語能力の実態把握の方法や日本語能力を伸ばすための指導方法について、各校の実態を紹介し、情報交換を行った。
  • <4>平成30年度、本市には、小学校1校に日本語加配教員1名を配置し、(愛媛県による人事配置)10名の児童に対し、「特別の教育課程」の編成し、週に16時間、取り出し指導を行った。
  • <5><6>
     授業においては、児童生徒に寄り添う形で授業補助するほか、行事等では、他の児童生徒との集団生活が円滑に行われるよう、行動面を含めて支援を行った。日本語支援員は、原則として一人の児童生徒に対して1名の支援員を配置したが、同じ学年で母語が同じ児童生徒である場合には、複数の児童生徒に一人の支援員を配置するなど、効率的かつ効果的な運用を行った。
  • <9>松山市のホームページ内で日本語支援員の配置を含む、学校生活支援員事業の内容の紹介や活動の成果について掲載した。

3.成果と課題

  • <3>日本語能力測定方法等で一人一人の児童生徒についての日本語能力の実態を的確に把握することで、その後の具体的な支援に役立てることができた。また、他校の取組や支援の方法を聞くことで、自校での支援について振り返ることができた。
     学校(支援員)によっては、日本語能力測定等で得られた児童生徒の実態や課題を児童にかかわる校内の関係者で共有したり、実際の児童生徒の指導に活かしたりすることが不十分なケースが見られた。担当の日本語支援員の力量を上げるための研修を、よりいっそう充実させていきたい
  • <4>児童生徒の日本語能力の実態に応じて、組織的、継続的に指導を行うことができた。日本語指導に堪能な教員と日本語支援員が連携しながら、指導、支援を行うことで、児童生徒の実態に応じた質の高い指導を行うことができた。
     「個別の指導計画」や「日本語指導計画」等の作成と有効な活用、日本語能力の向上に加えて、在籍学級での学習活動に参加できる能力の育成を目指す。児童生徒の日本語能力の実態に応じて、取り出し指導で学習する内容や入り込み指導へ移行についての検討を行う。
  • <5><6>
     日本語支援員は、教員の補助として、これらの児童生徒に授業においては学習補助として付き添い、学校生活全般では集団生活が送れるような情報提供や会話の補完などの支援を行った。それらの支援を行うことで、これらの児童生徒の不安を軽減させることができ、児童生徒が安心して学校生活を送ることができた。また、学習内容についても、より理解を深めることができた。母語が分かる支援員は、児童生徒への学習支援や生活支援以外に、児童生徒の保護者に対しての支援も行っている。例えば、学校からの配布文書の翻訳や学校行事の際の通訳の役目も担っている。
     対象の外国人児童生徒と日々接する中で、母語は分からなくても、様々な手段を活用して、ある程度のコミュニケーションをとることができた。しかし、どうしても細かなニュアンスが伝わらないことがあり、そのことで児童生徒、支援員のお互いが苦労する部分があった。母語が理解できなくても日本語の指導を行うことは可能であるので、支援員としての適材の確保に努めるとともに、より一層の研修の充実を図っていきたいと考える。本来は、母語が分かる支援員の増員を図りたいところではあるが、これまでの英語や中国語といった言語の他、タガログ語、ポルトガル語など、様々な言語を母語として外国人児童生徒が転入してくるケースが増えてきているため、母語が分かる支援員の確保が困難な場合がある。適切な人材確保のため、国際交流センターや日本語支援を行うボランティア団体等とも、情報交換や連携を図っていく必要がある。
  • <9>ホームページで公表することにより、活動成果について、広く知らせることができた。また、日本語指導が必要な児童生徒の保護者に対しても、本市の取り組みを知らせる機会となった。
     活動の内容の公表内容や方法については、支援が必要な子どもが特定されないよう、配慮しながら検討していく必要がある。

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