平成30年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(横須賀市)

平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 教育委員会担当指導主事1名
  • 国際教育コーディネーター1名
  • 日本語指導員28名(うち教員免許保持者15名)
    (11言語対応…英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、広東語、韓国・朝鮮語、ロシア語、ベンガル語、タガログ語、ネパール語、マレー語)
  • 学校生活適応支援員10名(内教員免許保持者0名)
    (5言語対応…英語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、中国語)
  • 国際教室5教室(小学校3校・中学校2校)

2.具体の取組内容

(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化について
  • 指導主事及び国際教育コーディネーターにより、拠点校となる国際教室設置校で実施している「特別の教育課程」の「個別指導計画」の作成や、それに基づく実践及び評価等に関する研修を、日本語指導員向けに実施。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施について
  • 国際教育コーディネーターによるアセスメント
    • 新1年生及び編・転入学児童生徒に対しアセスメントを行い、日本語指導の指導時間や指導内容を決定。
    • 日本語指導終了時期を見極めるため、DLAを使った中間アセスメント及び年度終了でのアセスメントを実施。
  • 国際教室担当教員・日本語指導員によるアセスメント
    • 国際教育コーディネーターが国際教室設置校及び、日本語指導員派遣校を訪問し、DLAのテスター研修を実施。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施について
  • 4月 国際教室設置校に「特別の教育課程」実施要項を送付
     各校で「実施計画」「個別の指導計画の作成」 
  • 5月 第1回 国際教室担当者連絡会 「実施計画」を市教育委員会に提出
  • 9月 第2回国際教室担当者連絡会日本語指導員と合同開催(教材教具の情報交換)
  • 10月 前期評価及び指導計画の見直し
  • 2月 第3回国際教室担当者連絡会 「特別の教育課程」実施の成果と課題の確認
  • 3月 年度末最終版の「実施計画」を市教育委員会に提出
(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣について
  • 日本語指導を必要とする外国につながりのある児童生徒に初歩的な日本語の力を付けさせるなど、一人一人のニーズに応じた指導支援を行うため、市内の小中学校に、「日本語指導員」を派遣。
  • 日本語の力が全くないままで小中学校に入学する児童生徒に対して、学校生活への適応をねらいとした、「学校生活適応支援員」を原則週3日、1カ月間派遣。その後、日本語指導員に支援を引き継ぐ。
(10)成果の普及について
  • 地域支援者と日本語指導の実践についての情報交換会の実施。

3.成果と課題

(2)「拠点校の配置等による指導体制のモデル化」について

(成果)

  • 国際教室設置校で実施している「特別の教育課程」の「個別指導計画」の作成及びそれに基づいた指導実践について日本語指導員が研修し、日本語指導員が国際教室担当教員と同じ視点で指導・評価をする考えを持つなど、資質の向上につなげることができた。
  • 国際教室担当教員と日本語指導員との合同研修を実施。それぞれの役割の確認や教材教具の共有などができ、顔の見える連携の一助とすることができた。

(課題)

  • 各教室が指導体制を確立できるよう、情報共有や担当教員の資質向上のため、連絡会や日本語指導員との合同研修、担当指導主事や国際教室コーディネーターが定期訪問して指導助言を継続するなど、連携の強化や指導体制の確立を支援していく必要がある。
(3)「日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施」について

(成果)

  • 日本語指導開始に先立ち、国際教育コーディネーターが対象児童生徒の日本語や算数の習得状況を把握し、学校生活適応支援員、日本語指導員の指導時間や指導内容を決めることに生かすことができた。また、その結果を市独自の支援シートである、オレンジファイルに保存して学校、保護者、日本語指導員が情報を共有することができた。
  • 年度途中や学年末に、国際教育コーディネーターが日本語指導対象児童生徒のいる学校を訪問し、「J.Coss日本語理解テスト」「絵画語彙発達検査」「読み書きスクリーニング検査」を実施し、指導終了の判断に役立てるとともに、日本語指導終了後、在籍学級で必要な支援について学校に指導助言を行うことができた。
  • 国際教育コーディネーターが国際教室設置校を訪問し、DLAのテスター研修を実施し、指導している児童生徒の力の評価方法を研修することができた。

(課題)

  • 各校からのアセスメントの依頼に対し、スピード感を持って対応できるよう、転編入時のアセスメントを行える指導員を増やす必要がある。
  • DLAに関しては、評価の精度を上げるために、日本語指導員、国際教室担当教員の全体研修の中で、研修を継続して実施する必要がある。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施について

(成果)

  • 「個別の指導計画」を作成することによって、見通しを持った、個に応じた支援を実施することができた。
  • 評価をその後の指導に生かしたり、個人面談に利用することができた。
  • 個別の指導計画を作成することによって、情報共有がスムーズになった。

(課題)

  • 個別の指導計画の質的向上をめざし研修を継続する必要がある。
(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣について

(成果)

  • 児童生徒の日本語習得状況に応じて、支援員を派遣することができた。
  • 母語対応できる指導者の派遣によって、児童生徒の心理的な安心感が見られた。

(課題)

  • 各学校に配布する「国際教育コーディネーター、日本語指導員、学校生活適応支援員派遣事業ガイド」において、「学校管理職の役割・学級担任の役割・日本語指導員等の役割」を明確にする必要がある。
  • 日本語指導員の資質向上が必要である。
(10)成果の普及について

(成果)

  • 学校と地域支援者との日本語指導の実践を共有し、それぞれの役割を確認することができた。

(課題)

  • 定期的に情報交換会を持ち、協力体制を検討する必要がある。

4.その他(今後の取組予定等)

  • 日本語指導員と国際教室担当教員の合同研修を実施し、指導法、教材等の情報共有をし、資質向上と連携の強化に努める。
  • 各校に「日本語指導に関するガイド」を配布し、学校、学級担任、日本語指導員、それぞれの役割を明確にし、支援の充実を図る。
  • 日本語指導員、国際教室担当教員にDLAのテスター研修を継続的に実施し、その精度を上げる。
  • 市独自の進路相談の機会の設定を検討する。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035