【構成員】
日本語指導を必要とする児童生徒が在籍する小学校7校、中学校1校を拠点校として位置付けた上で「特別の教育課程」による日本語指導と個別の支援計画に基づいた支援による指導体制構築に向けて実践を行った。
日本語指導が必要な外国籍等児童生徒が在籍する小・中学校においては、日本語指導を必要とする児童生徒が在籍する学校において「日本語指導による特別の教育課程」を編成し、日本語指導を行うにあたり、当該校教職員(主に指導を行う教員としては、学級担任や特別支援学級担当が多い)及び本市外国人子女等教育相談員等との支援体制や役割、指導内容、日時を明確にして効果的な支援を行えるようにした。内容としては、ひらがなの読み書きの指導、日常会話指導、教育相談等を中心として指導を行った。指導の日時については、週に一回1時間程度から月に一回1時間程度など学校や児童生徒の実態に応じて指導を行った。
日本語指導を必要とする外国籍及び帰国児童生徒の日常会話指導や生活適応指導、教育相談のために、該当児童生徒の母語がわかる外国人子女等教育相談員4名を、各学校の要望に応じて派遣した。外国人子女等教育相談員は、中国語・英語1名、中国語2名、ポルトガル語1名を、小学校7校、中学校1校に派遣し、小学生11名、中学生1名に支援を行った。
本市外国人子女等教育相談員を派遣した学校や外国人子女等教育相談員から情報を収集し、日本語指導を必要とする児童生徒への効果のあった実践事例や日本語指導・教育相談の実際、受け入れの際の実際などを集約し、各学校において共有できるようにする予定である。
(2)拠点校を設置することで日本語指導を必要とする児童生徒に対する校内の支援体制の確立、指導内容や指導方法等の蓄積を図ることができた。
(4)各学校が作成した指導計画に基づき、管理職を含めた関係教職員が情報を共有し、担当教員や外国人子女等教育相談員等が日本語指導等を行った。児童生徒一人一人に対し、個に応じた必要な指導や教材等について、適宜改善を図るなどしながら指導にあたった。
(6)児童生徒は、母語を介して、自分の気持ちを聞いて理解してくれる外国人子女等教育相談員の訪問を楽しみにしており、教育相談員が児童生徒の不安や悩みの解消、日本語学習への動機付けなどに大きく貢献した。さらに外国人子女等教育相談員が、保護者に対しても母語による情報提供や助言を行ったことで、信頼関係を構築することにもつながった。
(10)各学校における実践例を提供・共有することにより、日本語指導を必要とする児童生徒が在籍する学校の支援内容を検討する際の参考とすることができた。外国人子女等教育相談員自身が日本語指導を必要とする児童生徒支援のため体制について理解しており、各学校の管理職や教育委員会担当者と情報交換を行い、学校と児童生徒の実態に応じた、よりよい支援につなげることができた。
外国人子女等教育相談員、保護者、学校、教育委員会担当者等が日本語指導を必要とする児童生徒の課題を共有し、連携しながら支援することができた。特に、外国人子女等教育相談員が母語によって支援することにより、日本語指導を必要とする児童生徒だけでなく、保護者や学級担任の不安解消と相互理解につなげることができた。
しかし、家庭環境に恵まれない場合もあり、保護者に対しての協力依頼や相談を、今後も外国語を通じて行う必要がある。本市では、外国籍等児童生徒の転入の増加、多国籍化傾向にあることから、今後、外国人子女等教育相談員の増員、学校への派遣回数の拡大等も含めて見直しを図る必要がある。また多国籍化に伴い、それぞれの母語を話し、教育相談を行う事の出来る外国人子女等教育相談員の確保が難しい現状がある。そのため、特に外国人子女等教育相談員を派遣できない状況(中国語、ポルトガル語、英語以外の言語)の中での効果的な支援として、ICTを活用した意思疎通・相互理解、日本人教員が行う日本語指導、受け入れ初期の段階における校内体制の在り方等について、外国人子女等教育相談員派遣校の実績や関係機関の協力を得ながら、実態や環境に応じた支援と情報提供を行えるようにしていく必要がある。
そのためにも外国人子女等教育相談員による支援内容・方法と外国人子女等教育相談員を活用した校内支援体制の効果的な在り方を共有することは非常に重要であると考える。効果的な支援の在り方や支援ツール、日本語指導を必要とする児童生徒や保護者が抱える不安やその対処法などを今後も蓄積し、共有化できるようにしたい。
電話番号:03-6734-2035