平成30年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(名古屋市)

平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

運営協議会の構成員
  • 「教育委員会」指導主事、「日本語教育相談センター」日本語学習支援コーディネーター、「初期日本語集中教室」初期日本語集中教室企画指導員
連絡協議会の構成員
  • 「教育委員会」指導主事、「日本語教育相談センター」日本語学習支援コーディネーター、「初期日本語集中教室」初期日本語集中教室企画指導員・初期日本語集中教室指導員、母語学習協力員

2.具体の取組内容

  • (1)運営協議会、連絡協議会において、日本語指導が必要な児童生徒のための支援システムの効果的な運用方法を検討したり、各部署の情報を共有したりした。
  • (2)日本語指導が必要な児童生徒が多く在籍する学校に、日本語教育適応学級担当教員を109名、日本語指導講師31名を配置した。「初期日本語集中教室」を2教室開設し、学校生活に必要な初歩的・基本的な日本語を指導した。「日本語通級指導教室」を16教室設置し、教科学習に必要な日本語を指導した。
  • (4)「特別の教育課程」の編成方法や内容および書式について、協議・検討した。
  • (5)「日本語通級指導教室」を16教室設置し、教科学習に必要な日本語を指導した。名古屋国際センターと共催で外国人の中学生と保護者向けに進路ガイダンスを行った。
  • (6)日本語指導が必要な児童生徒が特に多く在籍する学校34校に、母語学習協力員38人を配置した。
  • (10)日本語教育相談センターが特別の教育課程(例)や教材集を蓄積し、学校からの相談に対応できるようにした。
  • (11)『日本語教育相談センター』に「日本語学習支援コーディネーター(6人)」を配置し、日本語指導が必要な児童生徒の在籍校、『初期日本語集中教室』、『日本語通級指導教室』、「母語学習協力員」配置校などの関係部署の間の連絡調整を行った。

3.成果と課題

  • (1)日本語指導が必要な児童生徒のための支援について、運営協議会や連絡協議会において検討や協議を行うことで、共通理解を深めることができ、組織的な支援体制を構築することができた。
  • (2)教員の配置によって、日本語指導が必要な児童生徒が在籍する学校において取り出しや入り込みによる指導を行うことができた。これによって、日本語指導が必要な児童生徒の在籍校での早期適応の一助を担うことができた。
  • (4)各学校で「特別の教育課程」を編成し、取り出し指導を行う学校が増えてきた。5月に「特別の教育課程 日本語指導計画」の作成及び提出、3月に指導成果を提出させることで、指導成果を数値で把握することができた。
  • (5)日本語の初期指導が終了した児童生徒、遠距離のため初期通級教室に通えない児童生徒の受け皿となっている。保護者・児童生徒に母語で説明・相談できるようにすることで、適切な進路指導ができた。
  • (6)今年度は8名、来年度は2名、日本語指導が必要な児童生徒が多く在籍している学校への母語学習協力員の配置拡充する予定であるが、対応言語の中でフィリピノ語の人材が不足している。また、日本語指導が必要な児童生徒の散在化と多言語化いった状況に対応するためには人的配置に加え、自動翻訳機の導入を目指し、予算要求していく予定である。
  • (10)日本語指導のスタンダードや教材を提供することにより、日本語指導が必要な児童生徒が少ないため人的配置が難しい学校でも、それを活用しながら日本語指導に取り組むことができた。 
  • (11)「日本語教育相談センター」のコンサルタントが、日本語指導の必要な児童生徒の在籍校からの要請に応じて翻訳、通訳派遣を行い、学校と児童生徒や保護者とのコミュニケーションを円滑にするための一助を担うことができた。

4.その他(今後の取組予定等)

 本市の日本語指導が必要な児童生徒数は引き続き年々増加しており、日本語指導講師や母語学習協力員など人的な支援を必要とする学校数も増加の一途である。こうした現状の中、母語学習協力員の増員など、人的配置をはじめとした支援のシステムは年々充実してきている。
 また、「特別の教育課程 日本語指導計画」を各校が作成し、取り出し指導が充実してきた。
 以上、人的配置と指導の質的向上に伴って、児童生徒の日本語能力の向上とともに、児童生徒の心の安定により学校生活への適応が図られている。これは、文部科学省が実施する「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かい支援事業」による財政的支援によるところが大きい。今後も、より効果的な支援ができるよう、これまでの取り組みに対する成果と課題を検証し、一層の事業の充実を図っていきたい。

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