平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題
1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

※ 日本語指導協力者連絡協議会構成員…日本語指導協力者(13名),教育委員会担当指導主事
派遣対象校日本語指導担当教諭(管理職)
※ 30年度日本語指導協力員登録者(13名)
…対応可能言語(英語,中国語,スペイン語,ロシア語,ネパール語,ウルドゥ語)
…教員免許を有する支援員7名
2.具体の取組内容
(1)運営協議会・連絡協議会の実施
- 4月:日本語指導研修会(参加対象者:拠点校担当者,日本語指導協力者)
- 日本語指導初期指導の効果的な実施方法,拠点校運営体制について
- 5月:日本語指導協力者派遣事業対象校連絡協議会
(参加対象者:日本語指導協力者,協力者派遣校担当者)
- 新年度事業実施体制について,協力者の派遣について(派遣校,派遣回数等)
- 特別な教育課程実施及び個別の指導計画の作成について
- 8月:日本語指導推進事業運営協議会
(参加者:市教委,日本語指導協力者,国際交流協会担当者,新潟市役所国際課担当者)
- 新潟市の日本語指導が必要な児童生徒の実態について情報共有
- 日本語指導推進事業運営体制の検討
- 3月:日本語指導協力者派遣事業運営協議会(参加対象者:市教委,日本語指導協力者)
- 事業実施による課題と成果の検討,日本語指導の支援の在り方について情報共有
- 初期受入時の対応マニュアルの検討 ・新年度事業実施体制について
(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化
- 市内の帰国外国人児童生徒数の実態に応じ,拠点校を設置し指導体制の整備を行った。
- 散在地域に対応するため,日本語指導協力者を各地区担当支援心とし,拠点的機能をより充実し,個に応じた指導を行えるよう体制を整備した。
【組織図】

(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
- 4月~5月:測定方法についての周知理解
(参加対象者:拠点校指導者,日本語指導協力者,協力者派遣校担当者)
- 5月~2月:日本語能力測定方法の活用(各学校)
- 3月:効果的な活用方法や教材化について検討。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
- 4月:「特別の教育課程」の編成と日本語指導の実施及び個別の指導計画作成について説明会
(参加対象:日本語指導協力者,協力者派遣校担当者,拠点校担当者)
- 5月~7月:個別の指導計画の作成(各学校)
- 9月~2月:個別の指導計画に基づく指導実践
- 3月:達成目標の評価(各学校), 指導実践の共有
(5)学力保障・進路指導
- 10月:国際交流協会との連絡会
(参加者:市教委担当者,国際交流協会担当者,学習指導担当者,ボランティア)
- 受験にむけての学習指導の在り方
- 受験対象生徒への指導の在り方について
- 随時:受験を希望する海外帰国外国人生徒への対応
- 高等学校担当者,学校,他課と連携し,受験までの対応について支援を行った。
(6)日本語指導ができる,又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣
- 編入学時に初期日本語指導が必要な児童生徒に対して支援員(日本語指導協力者)を派遣する。特に小学校低学年の児童に対して,生活への適応や授業への参加を支援するために,必要に応じて母語が分かる支援員を派遣した。
- 日本語使用能力に応じて派遣回数を調整し,日本語指導協力者を派遣した。
(7)小学校入学前の幼児や保護者を対象としたプレスクール
- 4月:在籍調査を行い,日本語指導を必要とする幼児の実態を把握
- 5月~9月:第1期日本語指導 幼稚園での生活への適応
保護者,日本語指導協力者,幼稚園担当者による小学校入学に向けた支援について検討
- 10月~2月:第2期日本語指導 小学校入学を見据えた指導
- 11月:次年度入学予定幼児の把握
(9)高等学校における教育・支援
- 4月:在籍調査をもとに,日本語指導を必要とする生徒の実態把握
- 5月~:教員免許を保有し,受験指導が可能な日本指導協力者の派遣
~10月:途中から対象生徒の状況にあわせ,実施時期の調整
(10)成果の普及
- HPおよび,教育委員会広報紙において,日本語指導の取組と成果の発信
3.成果と課題
(1)運営協議会・連絡協議会の実施
- 新潟市としての日本語指導推進事業の課題や取組方針について共通理解の上で指導を行うことができた。
- 児童生徒の実態に応じた派遣方法を工夫することが効果的な指導につながることが確認できた。
- 他課と連携し,実態を共有したことにより,通訳の派遣等新たな取組が可能になった。
(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化
- 拠点校化することで,複数の職員で,組織的に指導に当たることができ,校内の体制づくりにつながった。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
- 日本語能力測定方法(DLA)は,児童生徒の日本語能力についての実態把握が容易で,個に応じた効果的な指導・支援が可能となった。
- 日本語能力測定方法(DLA)の実施には,実施のためにある程度まとまった時間を要したり,ある程度の日本語能力が必要であったりする。本市で派遣している学校の児童生徒は,日本語能力がまだ向上していない場合が多いため,実施が難しい場合があった。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
- 特別の教育課程を編成し,個別の指導計画を作成することについて共通理解を図り,確実な実施を促した。各校が意識して計画的に日本語指導を教育活動に位置づけることができた。
- 特別の教育課程のもと,どのような指導に効果があったかを具体的な事例を挙げて交流したことで,各校のよい取組を共有することができた。
- 特別の教育課程について,担当者だけでなく,校内で周知し,組織的に指導を進めていけるよう働きかけていくことが必要である。
(5)学力保障・進路指導
- 受験に関係する生徒の実態と普段の学習への取組について情報交換をすることを通して,学校と関係機関とが連携して指導に当たることができた。
- 高等学校担当者が英語担当だったため,母語での対話が可能になり,的確な対応につながった。
- 関係他課と連携することで,生徒に合った支援をすることができた。
- 高校を受験することだけでなく,高校に入った後に学習についていけるための学力保障が大きな課題である。
(6)日本語指導ができる,又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣
- 派遣回数基準をもとに,日本語指導が必要な児童生徒の在籍している学校全てに派遣することができた。
- 編入学時に母語が分かる支援員を派遣し,集中して指導を行うことで,早く日本での生活に適応できた。
- 派遣した学校からの評価は高く,次年度継続派遣の希望が大半である。
- 日本語能力の向上だけでなく,生活への適応力の向上,学ぶ意欲の向上などにもつながった。
- 派遣基準を終えても,学習言語の習得にまで至らず支援を要する実態,教室での学習に参加できない実態があり,継続指導を希望する学校が多い。
- 可能な限り,母語が分かる日本語指導協力員を派遣したが,母語の多様化の実態もあり,全ての希望には添えなかった。
(7)小学校入学前の幼児や保護者を対象としたプレスクール
- 今年度は対象園児が少人数であったため,個に応じた支援を手厚くすることができ,学校生活への適応を促す支援をすることができた。
- 次年度は今のところ在籍の予定がない。実態を把握に努め,丁寧に対応していく。
(9)高等学校における教育・支援
- 教科に特有な日本語指導を行うことで,初期の日本語指導と異なり学力面への支援に集中できた。
- 進学就職等キャリア教育の促進に結び付けることができた。
- 現在日本語指導が必要な生徒が在籍している高校の特性に合わせた支援の在り方を検討していくことが必要である。
(10)成果の普及
- HPを活用することで,学校だけでなく,市民に成果を発信できた。
- 広報紙により周知することで,日本語指導を実施していない学校にも事業の詳細を含め,成果を発信でき,外国人帰国児童生徒受入の際に,各校の対応が円滑に行われるようになった。
- 他機関との連携がより深まった。
- 対象児童生徒が現在在籍していない学校・教職員への周知を積み重ねることが必要である。
4.その他(今後の取組予定等)
(1)運営協議会・連絡協議会の実施
- 持続可能な体制整備のため,他課と連携し,今後も運営協議会を継続していく。
(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化
- 拠点校設置等については,新潟市は散在地区が多いという特性上,多人数在籍する学校が変動する場合がある。実態把握を確実に行い,より効果的な配置・派遣につなげていく。
(6)日本語指導ができる,又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣
- 協力者の研修を充実し,対象児童生徒の発達段階に応じた支援ができるようにしていく。
(7)小学校入学前の幼児や保護者を対象としたプレスクール
- 今年度の取組をモデルケースとし,次に対象園児が在籍した際の支援のガイドラインとする。
総合教育政策局国際教育課
電話番号:03-6734-2035