平成30年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(朝来市)

平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

運営協議会

 教育委員会、拠点校及び域内外国人児童生徒在籍校、市長部局担当部署、ボランティア団体等

連絡協議会

 教育委員会、域内外国人児童生徒在籍校管理職、学校の担当者等・支援員

2.具体の取組内容

(1)運営協議会・連絡協議会の実施 平成30年6月29日(金曜日)
  • <1>帰国・外国人児童生徒の受入にあたり、日本語指導及び生活支援について、関係機関が集う運営協議会
  • <2>市内の小中学校に通う帰国・外国人児童生徒の支援について母語が分かる支援員や担当者同士の情報交換のとして連絡協議会 (各校で3学期に開催)
(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化
  • <1>拠点校による外国人児童生徒支援のノウハウの他校への情報提供や支援
  • <2>コーディネーター等の配置
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • <1>日本語能力測定についての説明 
  • <2>該当児童生徒の在籍校での実施 1学期中
  • <3>測定結果をもとにした日本語指導の計画を作成
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • <1>該当児童生徒の実態把握や「個別の指導計画」の作成について協議
  • <2>「個別の指導計画」の見直しや改善についての協議
(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣
  • <1>該当校に児童生徒の母語が分かる支援員を派遣(2時間×1日×16回程度)
  • <2>日本語指導の支援
(11)成果の普及
  • <1>校長会、教頭会等で取組の内容や成果を共有

3.成果と課題

(1)運営協議会・連絡協議会の実施 

【成果】

  • 情報を共有する機会を持つことで課題が明らかになり、学校、関係機関、行政それぞれの立場で課題の解決に向けて共通理解を図ることができた。
  • 各校の支援体制や該当児童生徒の様子等の情報交換を通じて、具体的な支援方法を明確にすることができた。

【課題】

  • 学校と運営協議会の連携だけでなく、部局やボランティア団体等関係機関との連携について整理し、協力体制を整える必要がある。
(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化

【成果】

  • 就学先の学校の支援体制について情報提供を行い、スムーズな就学につなげることができた。
  • 拠点校での地域ボランティアとの連携を発展させ、他校でも日本語指導に地域ボランティアを活用することができた。

【課題】

  • 該当児童生徒が在籍しない学校では、拠点校が認知されにくい。当該児童生徒在籍校に勤務した経験のある教員を3年以内に市内全校へ配置し、どの学校でも指導体制が整えられるようにしたい。
  • 地域ボランティアの人材確保や登録制度、有償制度等について検討が必要。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

【成果】

  • それぞれについての日本語能力測定の結果から苦手な部分を明確にし、日本語指導に係る教材や指導方法等、効果的な日本語指導に役立てることができた。

【課題】

  • 多くの教員が日本語能力測定方法を活用できるような研修が必要である。
  • 該当児童生徒が在籍しない学校の教職員にとっては課題として捉えにくい面があり理解も進みにくい。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施

【成果】

  • 学校間での情報交換を行うことで、「特別の教育課程」や「個別の指導計画」による日本語指導について共通理解を深めることができた。
  • 担任や指導者が該当児童生徒の目標を明確にし、実態に基づいた指導を行うことができ、日本語力の向上につなぐことができた。
  • 「個別の指導計画」による指導について見直すことにで、より効果的な指導方法へ改善することができた。

【課題】

  • 該当の学校では、担当者が中心となって指導を行っているが、他の公務もある中で負担が大きい。
  • 該当児童生徒が在籍しない学校の職員にとっては、課題として捉えにくい面があり理解も進みにくい。
(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

【成果】

  • 母語が分かる支援員を派遣することで児童生徒が安心して学校生活を送ることができた。
  • 日本語の細かなニュアンスの違いを理解できる支援員が配置でき、保護者支援を含め、スムーズな支援ができた。
  • 就学に関する面談時に支援員が同席し、母国での学習状況や保護者の希望等について円滑に話し合いをすることができた。
  • 地域のボランティアの積極的な協力によって、充実した日本語指導ができた。

【課題】

  • 支援者の派遣回数に制限があったため、必要な支援が出来にくい面があった。
  • 年度途中に来日した生徒への支援については、年度当初の計画では派遣体制がとれず、対応に追われることがあった。
  • 母語が分かる支援員について、多文化及び多言語を理解できる人材を確保したい。
(11)成果の普及

【成果】

  • 該当児童生徒が在籍しない学校についても取組を共有することができた。

【課題】

  • 情報を共有するだけでなく、取組の改善や実践の定着、普及につなげたい。
  • 該当児童生徒が在籍しない学校でも、当事者意識を持てる場としたい。

4.その他(今後の取組予定等)

  • ここ数年外国からの緊急来日が増えている。地域性もあり必ずしも母語が分かる支援員が常時確保できるとは限らない。近隣の日本語教室からの情報を得るなど情報交換を密にし、多文化及び多言語を理解できる支援員を確保する必要性がある。
  • 学校だけでなく、地域住民が異文化を受け入れるための素地づくりの必要性を感じている。
  • 地域ボランティアの有効な支援体制を確立していく必要性がある。

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