平成30年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(泉南市)

平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

(1)拠点校の設置等による指導体制のモデル化

<1>巡回指導

  • 【実施内容】巡回し日本語指導担当と連携して指導
  • 【メンバー】(拠点校)日本語指導加配教員・2名

<2>日本語指導連携会議(毎月)

  • 【実施内容】個別の指導計画に基づいた指導実践の共有
  • 【メンバー】(拠点校)日本語指導加配教員・2名、(実施校)日本語指導担当

<3>日本語指導連絡会(2回)

  • 【実施内容】日本語指導の取組み交流、DLA学習会
  • 【メンバー】日本語指導加配教員・2名、日本語指導担当・12名
(2)日本語指導ができる児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

<1>日本語指導員等配置(通訳者4名配置)……授業内容の通訳による支援(1日4時間×週4日×35週)

  • 【対象言語】スペイン語、中国語

<2>渡日児童生徒サポート……・懇談会等での通訳(150時間)

  • 【対象言語】スペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国・朝鮮語、ベトナム語、フィリピノ語、英語

2.具体の取組内容

(1)拠点校の設置等による指導体制のモデル化(【国】必須実施項目)

<1>拠点校の設置と日本語指導の実施

  • 日本語指導加配教員配置校を「拠点校」として、日本語指導が必要な児童生徒等に対して「特別の教育課程」による日本語指導を実施。

<2>全小中学校での日本語指導担当者の設置

  • 全小中学校に日本語指導担当を設置し、日本語指導が必要な児童生徒が転入してきた時に「特別の教育課程」による指導を行う体制を整備。

<3>拠点校以外の学校での日本語指導の実施

  • 日本語指導が必要な外国籍児童の転入があった2校において「特別の教育課程」による日本語指導を実施
  • 拠点校の日本語指導加配教員がコーディネーターとして2校を週1回ずつ巡回し、各校の日本語指導担当と連携して指導を行った。

<4>日本語指導体制確立のための連携会議(月1回)

  • 拠点校の日本語指導加配教員、教育委員会日本語指導担当、青少年センター日本語指導担当による「日本語指導連携会議」を月1回実施し、拠点校と教育委員会の連携を図った。
  • 拠点校の日本語指導加配教員が2校を巡回した日(月1回)に、日本語指導加配教員、日本語指導担当による「日本語指導連携会議」を実施し、担当者との連携を図った。可能な日には学級担任や教育委員会日本語指導担当も参加した。

<5>日本語指導連絡会(年2回)

  • 日本語指導加配教員2人、日本語指導担当12人、教育委員会日本語指導担当による連絡会を開催した。
(2)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施(【府】必須実施項目)

<1>日本語能力測定方法(DLA)の実施

  • 日本語指導が必要な児童生徒に対して「日本語能力測定方法(DLA)」を実施し、児童生徒の日本語能力を把握し、「特別の教育課程」による日本語指導に生かした。
(3)「特別の教育課程」による日本語指導の実施(【国】必須実施項目)

<1>「特別の教育課程」実施計画書の提出(4月)

<2>「日本語指導連携会議」にて個別の指導計画に基づいた指導実践の共有(毎月)

<3>「個別の指導計画」の見直し、指導の改善(8月)

<4>達成目標の評価(2月)

(4)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣(【府】必須実施項目)

<1>日本語指導員等配置事業

  • 語学補助員として通訳者を4人配置し、対象児童生徒19名に対して授業内容の通訳による支援を行った。

<2>渡日児童生徒サポート事業

  • 日本語通訳が必要な児童生徒とその家庭に対して、家庭訪問や個人懇談等に通訳者を派遣し、児童生徒の学習状況や進路選択について保護者と共通理解を図った。

(5)成果の普及(【国】必須実施項目)

 「日本語指導連絡会」にて、各校の日本語指導の取組みを交流した。

3.成果と課題

(1)拠点校の設置等による指導体制のモデル化(【国】必須実施項目)

  • 【成果】全小中学校に日本語指導担当を配置したことで、これまで外国籍児童生徒の受け入れを経験したことがなかった学校においても、日本語指導を行うことができた。拠点校の日本語指導加配教員による巡回指導を実施したことで、拠点校での日本語指導のノウハウを活用した日本語指導を実施することができた。
  • 【課題】全ての小中学校に外国にルーツがある児童生徒が在籍しているが、その児童生徒の日本語能力や学力について、改めて実態を把握し、日本語指導の必要性について再検証していく必要がある。

(2)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施(【府】必須実施項目)

  • 【成果】児童生徒の日本語能力を正確に把握することで、個々の児童生徒の課題を明らかにし、一人ひとりの児童生徒に応じた指導につなげることができた。「特別の教育課程」による日本語指導を実施している児童生徒のDLA診断シートの総合得点を、全員2ポイント以上、上昇させることができた。
  • 【課題】「日本語能力測定方法(DLA)」による日本語能力の把握だけでは、子どもや保護者と何を目標にして日本語能力を高めていくかについて共通認識を図ることが難しい。来年度はJSL評価参照枠「個別の指導計画」のための学習目標項目例などを活用して、どのようにして日本語能力をつけるのか、子どもや保護者とより具体的に目標設定ができるようにしていく。

(3)「特別の教育課程」による日本語指導の実施(【国】必須実施項目)

  • 【成果】個別の指導計画について、計画・実施・見直し・評価を確実に実行することによって、対象児童生徒の日本語能力を把握し、向上につなげることができた。

(4)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣(【府】必須実施項目)

  • 【成果】通訳者を配置し、児童生徒の疑問を教職員が把握することで、個別の指導方法を検討し、児童生徒の日本語能力を含む学力の向上につなげることができた。
  • 【課題】通訳を必要とする言語が増加しているが、その言語の通訳者が近隣市町に居住しておらず、児童生徒に十分な支援ができないことが課題である。

(5)成果の普及(【国】必須実施項目)

  • 【成果】「日本語指導連絡会」での取組み交流により、日本語指導が必要な児童生徒がどこでつまずき、どのような手立てが有効であるかについて、共有することができた。
  • 【課題】実践の概要と成果について、広く普及する方法を検討する必要がある。

4.その他(今後の取組予定等)

 以下の内容について、来年度も継続して実施していく。

  • 教職員の配置…日本語指導加配教員配置校2校を「拠点校」、全小中学校に日本語指導担当を設置
     日本語指導加配教員による「巡回指導」
  • 「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 日本語指導員等配置事業(通訳者4人)…授業内容の通訳による支援(1日4時間×週4日×35週)
  • 渡日児童生徒サポート事業(通訳者派遣)…懇談会等での通訳(150時間)
  • 日本語指導体制確立のための連携会議…日本語指導連携会議(月1回)、日本語指導連絡会(年2回)

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総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035