平成30年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(箕面市)
平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題
1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

2.具体の取組内容
(1)拠点校の設置等による指導体制のモデル化
- 豊川南小学校を拠点校として設置
- 日本語指導加配教員による巡回指導を実施
- DLAを活用して、児童生徒の日本語能力を把握し、日本語指導に活かすための実践研究を実施
- 実践研究を通して得られた成果の各校への発信
(2)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
- DLAの実施・結果分析による実践研究
実施回数:32回
- DLA研究会(DLAの様子をふまえた指導内容等の研究)
実施回数:2回
(3)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
- 日本語指導加配教員による、「特別の教育課程」による日本語指導として、以下の内容を実施
- 対象:12名(豊川南小学校…9名 巡回指導校…第四中学校2名 豊川北小学校1名)
- 実施時間:週平均23時間
- 内容:
- 日常生活や教科学習に必要な日本語の指導
- 対象児童全員にDLAを実施
- 個別の指導計画の作成
- 児童生徒の学習の様子を校内で情報共有
- 学級担任との連携
- 日本語指導加配教員以外の教員による、「特別の教育課程」による日本語指導として、以下の内容を実施
- 対象:3名(第四中学校・・・2名 萱野北小学校・・・1名)
- 実施時間:週平均一人当たり1時間
- 内容:
- 日常生活や教科学習に必要な日本語の指導
- 指導主事が対象児童全員にDLAを実施
- 個別の指導計画の作成
- 児童生徒の学級担任等との連携
(4)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣
- 日本語の理解が困難な児童生徒に対して、日本語指導支援員を派遣
- 対象児童生徒:9名
- 日本語指導支援員:14名
- 対応言語:アラビア語、英語、ポルトガル語、インドネシア語、ハンガリー語
- 指導形態:授業への入り込みでの通訳及び日本語指導(6名)
- 放課後の日本語指導(3名)
(5)成果の普及
- 「日本語指導地区別研究協議会」
- 場所:豊川南小学校
- 内容:
- 日本語指導加配教員による日本語教室での授業公開
- 箕面市及び豊川南小学校での日本語指導の取組みについて発表
- 各市での取組みや課題について研究協議
- 教材共有
- 「外国にルーツのある児童生徒についての学習会」
- 講師:真嶋潤子(大阪大学大学院言語文化研究科日本語・日本文化専攻 教授)
- 内容:
- DLAおよびJSLについて説明
- DLAを活用した日本語指導について事例発表
- 拠点校である豊川南小学校での日本語指導の取組みについて紹介
- 大阪府のホームページにおいて本市の日本語指導実践事例の公開
http://www.pref.osaka.lg.jp/shochugakko/kikoku/
→日本語指導実践事例(4)日本語指導実践事例(5)
(6)協議会の実施・参加
- 「箕面市日本語指導協議会」の実施
- 実施回数:年3回
- 構成員:
- 日本語指導加配教員、第四中学校日本語指導担当教員、市教委指導主事、箕面市在日外国人教育研究会、箕面市国際交流協会、
- 内容:
- 箕面市の日本語指導の現状と課題について協議
- 各関係機関等の取組みについて情報共有
- 国・府・他市からの情報を共有
- 「豊中市日本語指導担当者連絡会」への参加
- 実施日:1月30日(水曜日)
- 場所:豊中市立桜井谷小学校
- 参加者:日本語指導加配教員、日本語指導担当教員、指導主事(豊中市・箕面市・池田市)
- 内容:各市の取組みについて情報交換
3.成果と課題
(1)拠点校の設置等による指導体制のモデル化
【成果】
- DLAを活用して、児童生徒の日本語能力を把握しながら、「書く→交流する」「多読」を重視した指導を実践研究し、児童生徒の日本語能力を向上させることができた。
- 本年度より、本市の日本語指導の拠点として豊川南小学校を位置づけることができた。
- 箕面市内各校への巡回による日本語指導の体制をつくることができた。
【課題】
- 市の日本語指導支援員派遣期間終了後の児童生徒への、日本語指導支援体制づくり。
- 日本語指導加配教員が在籍する豊川南小学校以外の学校での、日本語指導支援体制づくり。
(2)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
【成果】
- DLAを定期的に実施することにより児童生徒の日本語能力を測り、前回実施の結果と比較することによって、日本語指導の成果と課題をより的確に把握することができた。
- 個々の児童生徒の日本語能力を具体的指標をもとに、数値化できたことにより、通訳派遣等日本語指導支援員の必要性や派遣時間数、頻度を判断する材料の一助となった。
- 対象児童生徒に関わる教職員どうしでDLAで得られた情報を共有することによって、一貫した指導の方向性を見出すことができた。
【課題】
- DLAを実施できる教員の育成。
- DLAの実施において、児童生徒の日本語能力を正確に把握するため、実施者の発問の仕方や必要に応じた支援の方法の確立。
(3)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
【成果】
- 「特別の教育課程」による日本語指導を実施した児童の日本語能力を向上させることができた。
- 時間割を作成し、日本語指導加配教員が対象児童生徒に関わることができた。
- 日本語指導加配教員による巡回指導をスタートし、日本語指導加配教員による「特別の教育課程」による日本語指導を2校で実施することができた。
- 巡回指導校において、「日本語指導の活動記録書」を作成し、毎時間の指導の内容や子どもの様子を学校と情報共有することができた。
【課題】
- 日本語指導を必要とする児童生徒が各校に少数点在しているため、日本語指導加配教員が対象児童生徒のいるすべての学校を巡回することが困難である。
- 日本語指導加配教員による日本語指導の質の維持、ノウハウの引き継ぎの手立てに工夫が必要である。
(4)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣
【成果】
- 本事業を実施している児童生徒の日本語能力向上について成果目標を達成することができた。
- 滞日1年未満の児童生徒=「導入会話」で正答50%以上達成
- 滞日1年以上2年未満の児童生徒=「話す」平均1.3ステージ上昇
- 滞日2年以上の児童生徒=「話す」平均1.1ステージ上昇、「読む」平均1.1ステージ以上上昇
- サバイバル日本語の獲得が必要な児童生徒に対して、母語を使って日本語学習に取り組める機会を確保することで、日常生活に必要な言語の習得のための支援ができた。
- 児童生徒にとって、学校に母語話者がいることで学校生活における安心感につながった。日本語指導支援員が日本語では表現できない悩みや不安を聞き取り、担任等と情報共有をすることで、スムーズに学校生活に馴染めるように支援したり、児童生徒が抱える問題に対して素早く対応したりすることができた。
【課題】
- 児童生徒の言語や、日本語学習状況等によっては、日本語指導支援員の派遣期間や時間数を考慮する必要があることや、派遣できない時に、学校体制でいかに支援していくかが課題である。
- 日本語指導のノウハウを持った日本語指導支援員の確保が難しい。
(5)成果の普及
【成果】
- 他市に向けて箕面市の取組みの実践交流をすることで、豊能地区での情報共有が進み、成果の普及につながった。その上でさらなる連携を行うための素地をつくることができた。
- 市内の全ての学校に向けて箕面市の日本語指導の取組みやDLAおよびJSL評価参照枠について周知することができた。
【課題】
- 日本語指導が必要な児童生徒は少数点在しており、短期間での転出入が比較的多いため、全市的に普及していくことが課題である。
(6)協議会の実施・参加
【成果】
- 本市の日本語指導加配教員等が他校や他市、他機関と情報交換をすることで連携が深まった。
【課題】
- 日本語指導加配教員が巡回指導できていない学校における効果的な日本語指導の実施方法や、支援体制の確立。
- 日本語指導加配教員が配置されていない学校での日本語指導の充実。
4.その他(今後の取組予定等)
- 豊能地区で日本語指導に関する情報交流ができる協議会を立ち上げる。
- 箕面市日本語指導協議会の構成員を広げる。
- 日本語指導加配教員による巡回指導校を増やす。
総合教育政策局国際教育課
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