平成30年度「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(湖南市)

平成30年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

 事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

2.具体の取組内容

<3>日本語能力測定方法の活用
  • 各校で日本語能力測定(DLA)が実施できた事例について、市内担当者会で情報を交流し、測定における課題や、測定結果のその後の活用方法等について協議し、活用についての方向性を模索した。
<4>「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施
  • 年3回開催している日本語指導担当者会で、「特別の教育課程」についての情報交換を行うとともに、さくら教室(日本語初期指導教室)の室長より、通級児の状況やカリキュラムや指導の仕方等について情報提供してもらい、各校の「特別の教育課程」による指導の参考にっするとともに、 「個別の指導計画」の作成や小学校から中学校への引き継ぎ方等について協議し、共通理解した。
<6>児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 3名の母語支援員(ポルトガル語)の派遣
    • 2名×週(1日~5日)×37週×4時間
    • 1名×週4日×37週×(8時間2日+4時間2日)
    • 派遣先 4小学校、2中学校へ派遣
    • 緊急対応として上記6校の他へも派遣
  • 母語支援員の業務内容
    • 児童生徒への授業中の個別支援(日本語指導、生活適応指導)
    • 家庭訪問や個別懇談時の通訳
    • 保護者との連携(担任と保護者との電話連絡時等においての通訳)
    • 学校から配布する各種文書および成績表等の翻訳
<9>成果の普及
  • 日本語指導担当者会において、各校の取り組みの成果を発表し各校へ普及した。また、校長会等でも成果を紹介し、教育実践の充実を図った。

3.成果と課題

<3>日本語能力測定方法の活用

【課題】

  • 日本語能力測定方法が十分に周知されたとは言えないため、継続した研修が今後も必要であるが、    実施時間が一人約1時間かかるため、時間の確保が難しい。
<4>「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

【課題】

  • 「特別の教育課程」による日本語指導を導入するにあたり、各校で作成したものを資料として情報交換しながら、さらに児童生徒にあった教育課程を作成していけるようにする。
<6>児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

【成果】

  • 外国人児童生徒の学力保障
    • 外国人児童生徒は、集団での学習ではなかなか学習内容を定着させることが難しく、さらに言葉の壁も高いため、母語支援員が個の特性を踏まえながら丁寧に対応することで学習内容の理解が進んだ。
    • 日本語の読み書きを習得させることができても、学習用語等の意味を理解させることは難しい。その際に母語支援員による母語での説明は大変有効であり、「わかった」という児童生徒の思いが次の学習に向かう意欲につながった。
  • 児童生徒の心の安定
    • 日本語が理解できない中での学校生活は大変不安である。しかし、母語支援員がいることで母語による会話を通して心の安定感が保たれ、日本の学校生活に適応することができた。
    • どの児童生徒にとっても、母語支援員の存在は大変大きい。
  • 学校と保護者の良好な関係づくり
    • 家庭訪問や個別懇談時に、家庭での様子や学校での様子を通訳していただくことにより、情報を正確に伝えることができるとともに、担任と保護者のお互いの想いを理解し合うことができた。
    • 保護者の中には児童生徒以上に日本語の習得率が低い家庭もある。学校からの配布文書の翻訳や通訳による連絡は、保護者にとって心強いものとなっている。

【課題】

  • 本市は、今年度、小学校163名、中学校66名の、日本語指導が必要な外国人児童生徒(日本国籍の児童生徒も含む)が在籍しており、母語支援員の派遣を学校は心待ちにしている。児童生徒の在籍率から考えると、現在の配置状況が必ずしも十分とは言えない。生徒指導等、緊急な事案に対する対応などは困難である。
<9> 成果の普及

【課題】

  • 各校の取組や児童生徒への支援に差があり、それを埋めるための工夫がさらに必要であると考える。担当者の情報交換を、担当者会だけに限らず、普段から連絡を取り合うなどして、教育の質の確保に取り組んでいきたい。

4.その他(今後の取組予定等)

  • 日本語初期指導教室(さくら教室)との連携
    • 本市は、市独自に平成19年9月から、日本語初期指導教室(さくら教室)を開設して、入国後間もない児童生徒が日本での学校生活をスムーズにスタートできるよう、基本的な生活習慣や初歩的な日本語を学習したり、日本の文化を学んだりする機会を提供している。さくら教室でのカリキュラムや教材および学習環境をさらに整備するとともに、市内各学校への情報提供に努める。
  • 中学校における進路保障の充実
    • 4中学校が合同で行っている交流会(進路ガイダンス、仲間づくり活動)の内容をさらに充実させる。
    • 交流会における外部講師(身近な先輩、通訳をしている人など)の充実を図る。
  • 日本語指導担当者会での学校間連携
    • 年3回開催している日本語指導担当者会において、各校の状況や取組の情報交換をすることで共通理解を図るとともに、事項に取り入れられる実践については情報提供を積極的に行う。特に、3回目(2月開催)の日本語指導担当者会においては、協議内容を提示の上、グループ別協議をとおして深まりのある日本語指導担当者会にしていきたい。

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