平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(姫路市)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制

2.具体の取組内容 

1)運営協議会・連絡協議会の実施

○連絡協議会
      ●第1回姫路市帰国・外国人児童生徒等受入促進事業連絡協議会 令和元年5月28日(火曜日)開催
【参加者】 大学教員1名 各校担当者等41名 支援員10名 指導主事等7名
  観光交流局観光文化部文化国際課課長1名 姫路市文化国際交流財団国際交流担当3名
【内容】 ・事業説明
  ・演習 「DLA〈はじめの一歩〉の演習とJSLカリキュラムの授業作りについて」拠点校教員より
  ・講演「教育サポートレポート」支援員より

 

●第2回姫路市帰国・外国人児童生徒等受入促進事業連絡協議会 令和元年6月28日(金曜日)開催
【参加者】 大学教員1名 各校担当者等47名 支援員2名 指導主事等5名
【内容】 ・授業公開 4年 JSL算数科 「小数」
  ・事後研修会及び指導助言

 

●第3回姫路市帰国・外国人児童生徒等受入促進事業連絡協議会 令和2年1月28日(火曜日)開催
【参加者】 大学教員1名 各校担当者等70名 支援員7名 指導主事等9名
【内容】  ・授業公開 5年 JSL算数科 「変わり方」
  ・事後研修会及び指導助言

 

(2)拠点校の設置等による指導体制の構築 (※必須実施項目)

○今年度より姫路市立城東小学校を中心とする指導体制がスタート

日本語指導が必要な児童が多数在籍する城東小学校にて「特別の教育課程」による日本語指導の指導体制モデル(日本語指導におけるRPDCAサイクル)やJSLカリキュラムに基づいた授業づくり(取り出し指導や在籍学級での指導)を確立するための研究を行った。同じく日本語指導が必要な児童生徒が多数在籍する他6校とともに、7校による連絡会を実施し、指導体制の情報共有を行った。また、城東小学校を中心にその他の市内の小・中・義務教育学校に指導体制のモデルを示した。

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施 (※必須実施項目)

1  「特別の教育課程」編成にかかる説明会の実施

平成31年4月4日(木曜日)に「特別の教育課程」編成連絡会を開催し、日本語指導の必要な児童生徒のための「特別の教育課程」編成について、年間の流れ等を詳しく説明し、「特別の教育課程」の編成、個別の指導計画を作成することを依頼した。また、令和元年5月28日(火曜日) 第1回姫路市帰国・外国人児童生徒等受入促進事業連絡協議会にて、取り出し指導を行う場合には、「特別の教育課程」を編成し、個別の指導計画を作成することが必要であることを説明し、依頼した。

2  4月~6月「特別の教育課程編成・実施計画」の作成・提出(学校より)

3  4月~3月「特別の教育課程」による日本語指導の実施(各校)

4  5月、7月、12~2月 市教委による訪問指導時に対象児童生徒の状況や取り出し指導の実態を把握

5  2月 今年度の「特別の教育課程編成・実施報告」及び来年度の「特別の教育課程編成・実施計画」の 提出(学校より)
 

(6)児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

○バイリンガル支援員(スタディサポーター)

      バイリンガル支援員(スタディサポーター)32名(のべ54名)の派遣
      平成31年度予算 派遣回数(1,524回)

ア  学校での当該児童生徒に対する学習支援・生活支援・心のケア
教員と保護者等とのコミュニケーションの促進
その他当該児童生徒への教育支援
学校の受入れ体制づくりへの支援(今年度より実施要領に追加)

 

○バイリンガル支援員(通訳)

      バイリンガル支援員(通訳)23名の派遣
      平成31年度予算 派遣回数(234回)

ア  学校への派遣(学校行事等の通訳)
校区への派遣(家庭訪問等の通訳)
その他必要と認められるもの

 

○バイリンガル支援員(就学促進員)

平成18年度以降実施している就学状況調査の手法を踏襲し、学校や関係機関等と連携し、外国人の子供の就学状況調査を行い、必要に応じて不就学の生徒及び保護者に対して就学をすすめるための活動を行う。本年度は該当者がいなかった。

(7)小学校入学前の幼児や保護者を対象としたプレスクール【重点実施項目】

○市内幼稚園や保育所、こども園等への外国人幼児や保護者についての日本語状況調査
  • 姫路市帰国・外国人児童生徒等受入促進事業連絡協議会の講師でもある大学教員と連携し、市内の幼稚園等に外国人幼児や保護者の日本語習得状況や受入れ体制について調査を行った。内容については在籍する外国人幼児の人数や、新1年生に入学予定の人数、また受入れの際に困ったことや保護者からよく質問されること等、教員側が抱える問題点を調査した。
  • 次年度、小学校に入学予定の子どもがいる外国人保護者に対しては、ベトナム語、中国語、タガログ語、英語と4か国語に翻訳したアンケートを依頼し、小学校入学に関する不安や日本語が分からない時の対応、分かりやすい説明のされ方等、調査をした。
○幼稚園への母語支援員の派遣
  • 小学校に入学予定の幼児について、保護者と話をしたいがコミュニケーションがうまく取れないとの依頼があり、支援員を派遣した。

(12)成果の普及(必須実施項目)

○8月:人権教育課通信『道』にて連絡協議会の取組(日本語指導について)を掲載した。

(市内全小・中・義務教育・高等・特別支援学校)

○3月:市のホームページに実践の概要と成果の発信。

 

3.成果と課題

(1)運営協議会・連絡協議会の実施

  • 外国人児童生徒等担当者の事業内容の把握が進んだ。
  • 日本語指導についての知識、実践力が向上した。
  • 関係機関との連携や支援員との交流、情報共有が進んだ。
  • 担当者同士の情報共有や連携体制の構築ができた。

(2)拠点校の設置等による指導体制の構築 (※必須実施項目)

  • 取り出し指導や在籍学級での指導方法を市内への周知することができた。
  • 多数在籍校の課題を共有することができた。
  • 担当者同士の連携が進んだ。
  • 管理職による意見交流が進み。各校の取り組みの把握や共通理解が深まった。

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施 (※必須実施項目)

  • 早い時期の担当者会実施により円滑な計画、実施へとつながった。
  • 外国人児童生徒等の実態把握についての必要性を理解することができた。
  • 日本語指導担当者がいない学校での体制づくりが課題である。
  • 日本語指導ができる教員の養成、人材確保が課題である。

(6)児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

  • 渡日まもない児童生徒への派遣は、心の安定や学習支援において大変効果的であった。
  • 学校、保護者、担任、周りの児童と支援員がかけはしとなり連携が深まった。
  • 母語ができる支援員の派遣は、保護者にとっても安心でき、心の安定につながった。
  • 連絡協議会での講師や取組の発表など支援員からの情報を支援に生かすことができた。
  • 多言語化や受入れ数の増加に伴う支援員の人材確保が大きな課題である。

(7)小学校入学前の幼児や保護者を対象としたプレスクール【重点実施項目】

  • 日本語状況調査によって、保育園や幼稚園が抱える外国人への支援の課題が明確になった。
  • 調査結果を分析することで、効果的な支援方法について検討することができた。
  • 調査を通して、市教委担当者と園所担当者が情報共有でき、支援員の派遣につながった。
  • 今後は、園所とさらに連携しながら、市教委として支援できる内容について検討していく。

(12)成果の普及(必須実施項目)

  • 毎月発行している人権教育課通信『道』にて、市内の多くの学校に日本語指導の取り組みを広めることができた。
  • 実践している様々な取組をできるだけ多くの学校と情報共有し、支援体制や日本語指導の充実につなげたい。

表

4.その他(今後の取組予定等)

  • 母語支援員の人材確保。
  • 日本語指導ができる教員の育成。
  • 管理職へ受入れ体制づくりの必要性の周知徹底。
  • 翻訳機等の効果的な使用方法について検討。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035