平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(岡崎市)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

○教育委員会

  • 外国人児童生徒教育担当指導主事1名、語学相談員(常勤9名、臨時3名)

○日本語初期指導教室(プレクラス)

  • 室長1名、日本語教育講師2名

○校長会・教務主任研修会

  • 各学校長・教務主任

○外国人児童生徒教育担当者会・研修会(協議会)

  • 外国人児童生徒教育部・・・部長1名、副部長2名、外国人児童生徒教育指導員2名
  • 日本語指導を必要とする外国人児童生徒が在籍する学校の外国人児童生徒担当者及び日本語教育担当教員

○市内小中学校

  • 外国人児童生徒教育指導員が日本語指導を行っている学校を訪問し、授業の指導、協議会を行う。
     

2.具体の取組内容 

(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化 (必須実施項目)

令和元年年5月1日現在、外国籍児童生徒は769名在籍していた。このうち日本語教育を必要とする児童生徒が475名、日本国籍で日本語指導を必要とする児童生徒が73名、合計548名であった。
日本語指導を必要とする児童生徒が在籍し、日本語教育講師の派遣を希望する学校に、指導の補助として派遣し、日本語教育を推進した。日本語指導を必要とする児童生徒が在籍し、日本語教育講師の派遣を希望する学校に、指導の補助として派遣し、日本語教育を推進した。
令和元年度は、ポルトガル語41校、フィリピノ語31校、中国語24校に、3か国語の日本語教育講師を派遣し、日本語指導を行った。
また、5月13日に、中学生を対象とした日本語初期教室を開設した。来日して間もない日本語が全く分からない生徒(海外に在留した後に帰国した生徒、外国人生徒)を一定期間集中的に指導し、円滑に日本の中学校に適応できるように支援した。期間は、約3か月とし、その間に、日本語(文字、語彙、基本文型、会話)、算数・数学(個に応じて)、基本的な学校生活について指導・支援を行った。

(3) 日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施 (必須実施項目)

4月24日に開催した第1回外国人児童生徒教育担当者会・研修会において、外国人児童生徒教育指導員がDLAのこと、個別の指導計画の作成、活用について講義を行い、日本語能力測定方法等の活用の促進を図った。
また、7月31日に開催した第2回外国人児童生徒教育担当者会・研修会では、参加者が持参した個別の指導計画を基に、グループ協議を実施し、活用を促進するための意識向上を図った。各学校で、日本語能力測定を行った場合は、個別の指導計画に記載するようにした。

(4) 「特別の教育課程」による日本語指導の実施 (必須実施項目)

4月24日に開催した第1回外国人児童生徒教育担当者会・研修会において、「特別の教育課程」の編成と実施について説明を行い、以下の通り実施した。
 

・4月 「特別の教育課程」の概要説明
・7月 「個別の指導計画」実施状況の確認
    「個別の指導計画」の2学期末評価と3学期の目標設定
・8月 「特別の教育課程」による日本語指導について指導実践の交流
・12月 「個別の指導計画」の2学期末評価と3学期の目標設定
・2月 「特別の教育課程による」日本語指導の成果と課題の交流
・3月 「特別の教育課程」実施報告一覧を市教委に提出
    「個別の指導計画」の3学期末評価

 

(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

令和元年度の支援員は、ポルトガル語4名、タガログ語3名、中国語2名の計9名である。
支援員については、日本語指導を必要とする児童生徒が在籍し、派遣を希望する学校に派遣し、日本語指導や翻訳、生活適応相談を行った。
1回の訪問は午前3時間、または午後2時間とし、派遣校1校について週1回の訪問を基本とした。日本語指導が必要な児童生徒が多い学校には、2回~3回(隔週派遣を含む)派遣した。
年度途中の転入や編入してきた日本語指導の初期対応が必要な児童生徒については、学校からの要請に応じて、支援員(臨時)を派遣した。令和元年度の支援員(臨時)は、中国語、ベトナム語、ポルトガル語各1名であった。

(12)成果の普及(必須実施項目)

7月31日に実施した第2回外国人児童生徒教育担当者会・研修会において、各学校の個別の指導計画を持ち寄り、その活用方法等についてグループ協議を行った。
また、2月7日に実施した第3回外国人児童生徒教育担当者会・研修会においては、各学校の担当者が実践の成果と課題をレポートにまとめて持ち寄り、グループ毎で実践発表及び協議を行った。各学校のレポートについては、担当者が各学校へ持ち帰り、ファイリングすることにより、参考資料として、次年度以降の日本語指導に活用できるようにしている。
 

3.成果と課題

(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化 (必須実施項目)

希望する学校すべてに日本語教育講師を派遣したことで、外国人児童生徒教育担当者や日本語教育担当教員による日本語指導、書類(保護者への案内等)の翻訳、生活適応相談等を計画的に進めることができた。また、日本語教育講師が必要に応じて母語を使用したことで、児童生徒の日本語能力が向上したり、落ち着いた生活を支援するための支援をしたりすることができた。さらに、通訳を介することで担任と児童生徒、日本語を理解できない保護者とのコミュニケーションが円滑になった。
近年年度途中にも編転入する児童生徒が増加している。そのため、日本語教育講師一人当たりに対する児童生徒の割合がますます高くなっている。日本語教育を必要とする児童生徒の母語を話すことができ、日本語指導をすることができる日本語教育講師の人材確保を進めていきたい。
また、本年度中学生を対象とした日本語初期指導教室において成果が見られた。今後、は対象の年齢を拡充し、日本語教育を必要とする児童生徒へ対応の充実を図っていきたい。

(3) 日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施 (必須実施項目)

担当者会、研修会を行ったことで、外国人児童生徒教育担当者をはじめ、日本語教育に携わる者が、日本語能力測定を活用して児童生徒の実態や日本語教育の成果を把握し、児童生徒に合った指導に生かせることを理解できた。2月時点の調査では小学校6校、中学校3校が実施した。
外国人児童生徒担当者会・研修会を通して、日本語能力測定方法について研修を重ねることができた。活用することが定着した学校もあるが、十分とはいえない。各学校の事情により、日本語教育に携わる教員は、年度毎に代わることが多い。そのため、毎年、の日本語能力測定方法について研修を継続し、多くの教員が測定できるようにしていく必要がある。

(4) 「特別の教育課程」による日本語指導の実施 (必須実施項目)

各学校において「特別の教育課程」「個別の指導計画」を作成したことで、一人一人の児童生徒に対して、個別に指導の目標を明確にし、指導体制を整えることができた。「個別の指導計画」については、4年目を迎え、研修会での蓄積もあり、担当者が変わっても、作成できるようになってきた。
日本語指導が必要な児童生徒の実態を十分に把握し、一人一人の実態に応じた「特別の教育課程」を編成していく必要がある。各学校で、十分に対応していけるよう研修を積み重ねていきたい。

(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

支援員(日本語教育講師)を学校に派遣したことで、各学校での日本語指導の補助、保護者等への書類の翻訳、保護者会等での通訳、日本の文化・生活に適応するための相談をすることができた。本市の日本語教育講師は、児童生徒の母語が分かり、日本語指導ができる。計画的に派遣日程を設定することで、学校での指導も計画的に進めることができ、児童生徒の日本語能力の向上に大きな役割を果たすことができている。
日本語指導を必要とする児童生徒が増加し、多くの学校から支援員の派遣要請があった。今後も日本語指導が必要な児童生徒が増加する可能性もある。今年度も、母語をポルトガル語とする児童生徒の、年度途中の転入、編入が多くあった。そのため、支援員(臨時)の派遣を要請する学校が多くあった。支援員については、増員の必要がある。しかし、母語もよくできて、日本語の読み書きもよくできるという方は、あまりいないのが現状である。適切な人材の確保が課題である。

(12)成果の普及(必須実施項目)

外国人児童生徒教育担当者会・研修会において、日本語指導の成果や課題等について、各学校の担当者間で、情報交換する場を設定した。参加者から「日本語教室の運営の仕方、担任との連携など、他の学校の担当者に助言をいただくことができた」「指導の形態や使用する教材の情報交換をすることができた」「他校で使用している自作の教材を送ってもらい、自校で活用することができている」などの声があった。成果の普及を図ることができたと考える。
成果の普及のため、協議会での報告やレポートで情報交換を行ってきた。今後の指導に生きる研修を模索していく。また、市が派遣する支援員から、外国人児童生徒教育担当者に、日頃の指導を見ていて思うことなども話してもらう機会も設けた。指導者と支援員との連携を強くしていく必要がある。

表

4.その他(今後の取組予定等)

本年度からスタートした中学生対象のプレクラスの指導が効果的であった。実際に在籍校の教員から、「プレクラスで学習した日本語を使って学級の子供と楽しそうに会話することができるようになり、安心した様子が見られる」などという多くの声が届いている
外国人児童の小学校への編入も年々増加しており、日本語が分からずコミュニケーションが取れなかったり、学校生活の様子が分からなかったりして、学校生活を送ることに不安を抱いている子供が多くいる。そこで、日本語初期指導教室の対象を小学校4年生以上とし、これらの子供たちが、日本語初期指導教室の学習を通して、日本語の基礎を身に付け、安心して学校生活が送れるようにしていきたいと考えている。
 

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