平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(横須賀市)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

○教育委員会担当指導主事1名
○国際教育コーディネーター1名
○日本語指導員26名(うち教員免許保持者15名)
(11言語対応…英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、広東語、韓国・朝鮮語、ロシア語、ベンガル語、タガログ語、ネパール語、マレー語)
○学校生活適応支援員7名(内教員免許保持者0名)
(5言語対応…英語、スペイン語、タガログ語、中国語)
○国際教室6教室(小学校4校・中学校2校)
 

2.具体の取組内容 

(2)拠点校の設置等による指導体制のモデル化について

○日本語指導の拠点となる国際教室設置校(小学校4校、中学校2校)では、特別の教育課程を編成し支援を行うとともに、散在地域には学校生活適応支援員または日本語指導員を派遣し、個に応じた支援を実施する。

(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施について

○国際教育コーディネーターによるアセスメント
 

・新1年生及び編・転入学児童生徒に対しアセスメントを行い、日本語指導の指導時間や指導内容を決定。
・日本語指導終了時期を見極めるため、DLAを使った中間アセスメント及び年度終了でのアセスメントを実施。


○日本語指導員によるアセスメント

・国際教育コーディネーターが、日本語指導員向けにテスター研修を実施。

 

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施について

○4月
  国際教室設置校に「特別の教育課程」実施要項を送付
  各校で「実施計画」「個別の指導計画の作成」
○5月
  第1回 国際教室担当者連絡会 「実施計画」を市教育委員会に提出
○10月
  前期評価及び指導計画の見直し
○2月
   第2回国際教室担当者連絡会 「特別の教育課程」実施の成果と課題の確認
○3月
  年度末最終版の「実施計画」を市教育委員会に提出

(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣について

○日本語指導を必要とする外国につながりのある児童生徒に初歩的な日本語の力を付けさせるなど、一人一人のニーズに応じた指導支援を行うため、市内の小中学校に、「日本語指導員」を派遣。
○日本語の力が全くないままで小中学校に入学する児童生徒に対して、学校生活への適応をねらいとした、「学校生活適応支援員」を原則週3日、1カ月間派遣。その後、日本語指導員に支援を引き継ぐ。

(12)成果の普及 について

○ボランティアの学習支援団体と日本語指導の実践についての情報交換会の実施。
 

3.成果と課題

(2)「拠点校の配置等による指導体制のモデル化」について

(成果)

○国際教室担当教員と日本語指導員との合同研修を実施し、指導法についての協議をすることができた。また、それぞれの役割を再確認することができ、今後の連携強化につながった。

(課題)

○各教室が指導体制を確立できるよう、担当指導主事や国際教室コーディネーターが定期訪問して指導助言を継続する必要がある。

(3)「日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施」について

(成果)

○日本語指導開始に先立ち、国際教育コーディネーターが対象児童生徒の日本語や算数の習得状況をアセスメントし、指導時間や指導内容を決めることに生かすことができた。また、その結果を市独自の支援シートである、オレンジファイルに保存して学校、保護者、日本語指導員が情報を共有することができた。
○国際教育コーディネーターが日本語指導対象児童生徒のいる学校を訪問し、日本語習得状況を見るアセスメントを実施し、指導終了の判断に役立てるとともに、日本語指導終了後、在籍学級で必要な支援について学校に指導助言を行うことができた。

(課題)

○日本語指導員によるアセスメントの精度を上げるため、引き続きの研修が必要である。

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施について

(成果)

○「個別の指導計画」を作成することによって、見通しを持った個に応じた支援を実施することができた。

(課題)

○本市独自の個別支援ファイルと特別の教育課程の個別の指導計画の様式が共存しており、内容の精選、見直しが必要である。
○個別の指導計画の質的向上をめざし研修を継続する。

(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣について

(成果)

○児童生徒の日本語習得状況に応じて、学校生活適応支援員もしくは日本語指導員を派遣し、対象児童生徒の実態やペースに合わせ学校生活への適応や日本語能力の向上を支援することができた。
○母語対応できる指導者の派遣によって、児童生徒の心理的な安心感が見られた。
○日本語が全く分からないままに入学をした児童生徒に対して、学校生活適応支援員を配置し、学校への適応を支援することができた。(今年度12名…英語7名 中国語1名 スペイン語3名 タガログ語1名)その後日本語指導員に支援をつなぐことによって、ある程度適応が進んだ状態から日本語指導を始めることができ、対象児童生徒の日本語習得へのモチベーションアップにもつながった。

(課題)

○年度当初に「国際教育コーディネーター」「日本語指導員」「学校生活適応支援員」の役割を明確にする必要がある。
○日本語指導員の資質向上が必要である。

(12)成果の普及について

(成果)

○ボランティアの学習支援団体の取組状況を視察し、それぞれの役割を確認することができた。

(課題)

○地域支援者と定期的に情報交換会を持ち、どのような形で協力体制が構築できるかを検討する必要がある。

表

4.その他(今後の取組予定等)

○各校に「日本語指導に関するガイド」を配布し、学校、学級担任、日本語指導員、それぞれの役割を明確にし、支援の充実を図る。
○新小学校1年生とその保護者を対象とした、プレスクールを実施する。
○市独自の進路相談の機会の設定を検討する。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035