平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(神戸市)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制

○運営協議会

  • 神戸市学校園への日本語指導事業の内容協議、運営、連携。

○各事業連絡協議会

  • 日本語指導支援センター校(小学校7校)、小学校JSL教室(小学校7校)、中学校JSL教室(中学校1校)及び多文化共生教育推進校に関わる情報共有、指導・支援の在り方協議。

○「特別の教育課程」連絡協議会

  • 「特別の教育課程」実施校との連絡協議、情報交換。「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント」(以下「DLA」という。) 研修の実施。

○子ども多文化共生サポーター

  • 新渡日3年未満の児童生徒が在籍する小中学校に母語と日本語が話せる支援員を派遣し、児童生徒の教員等とのコミュニケーションの円滑化を促すとともに、生活適応や学習支援、心の安定を図る等、学校への早期適応を促進する。

○母語支援員

  • 日本語指導支援センター校を開設する(放課後)小学校7校に母語支援員を派遣し、生活言語の習得、日本文化についての理解、生活適応、母語・母文化保持の支援を行う。

○日本語指導支援員

  • JSL教室を開設する小学校7校、中学校1校に日本語指導支援員を派遣し、生活言語から学習言語の習得を目指し、教科学習へとつなぐ支援を行う。特に中学校においては、高校進学を目指した指導を行う。
     

2.具体の取組内容 

1 運営協議会・連絡協議会の実施

○運営協議会
・第1回運営協議会 平成31年4月26日(金曜日)
・第2回運営協議会 令和元年6月7日(金曜日)
・第3回運営協議会 令和2年2月7日(金曜日)
○各事業連絡協議会
・日本語指導者連絡協議会(日本語指導基礎講座同日8月1日に開催)
○「特別の教育課程」連絡協議会
・第1回連絡協議会  平成31年4月26日(金曜日)
・第2回連絡協議会 令和元年8月1日(木曜日)
・実施校視察・・・実施校小学校13校 現地での相談に対応
・第3回連絡協議会 令和2年2月7日(金曜日)

2 拠点校等の設置や拠点的機能の整備(必須実施項目)

○中学校JSL教室を神戸生田中学校に開設
○小学校JSL教室7校を拠点校として日本語指導教室を開設

3 日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

○8月1日(木曜日)日本語指導基礎講座(1日研修)
○8月21日(水曜日)県教委主催のDLA研修(1日研修)
○2月 7日(金曜日)第3回連絡協議会において、 DLAの実践と効果の報告

4 「特別の教育課程」による日本語指導の実施

・第1回 平成31年4月26日(金曜日)
・第2回  令和元年8月1日(木曜日)
・実施校については訪問・助言 *次年度へ向け実施予定校調査1月調査
○日本語指導基礎講座
      ・令和元年8月1日(木曜日)教育地域連携センター
          ・教員対象の1日研修
      ・令和元年8月21日(水曜日)県民会館
          ・教員対象の1日研修

5 学力保障・進路指導

○就学支援ガイダンス 令和元年7月20日(土曜日)
○学校と外国人児童生徒支援団体との情報交換会 令和元年6月7日(金曜日)
○小学校JSL教室
○中学校JSL教室

  6 日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

○子ども多文化共生サポーター
○小学校JSL教室
○中学校JSL教室
○日本語指導支援センター校

7 小学校前入学前の幼児や保護者を対象としたプレスクール

・NPO団体実施現状把握
・全市就学前調査、幼小連携授業との実施の検証(継続)

8 共生社会における共に学び成長する授業の在り方に関する調査研究の実施

〇多文化共生推進校事業の推進
・第1回連絡会 令和元年6月14日(金曜日)
・多文化共生推進校研究発表会(長田南小)令和元年10月10日(木曜日)
・第3回連絡会 令和元年11月14日(木曜日)多文化共生:講演会
・第4回連絡会 令和2年2月20日(木曜日)

9 親子日本語教室の実施

・小学校JSL教室発表会
・日本語指導支援センター校親子料理教室

10 ICTを活用した教育・支援

・通訳機を導入している学校の使用実態を把握。その利便性を重視し、検証。

 

3.成果と課題

1 運営協議会・連絡協議会の実施

〇児童生徒の情報を共有することで、支援の体制作りやニーズを集約。
〇「特別の教育課程」の実践やそれに伴う相談などニーズに合わせた対応。
〇日本語指導の実践や課題を共有。最新の情報を取り入れた研修会の開催や人的交流が可能。
〇NPO団体や日本語指導ボランティアと情報共有、連携強化。
〇日本語指導のできる人材を確保する機会。
〇DLAを活用している学校担当者や「日本語指導 指導者養成研修」参加者を講師とした研修等を行うことで、日本語能力測定の意義や方法についての共通理解の促進。

2 拠点校等の設置や拠点的機能の整備

〇小学校JSL教室・中学校JSL教室の機能の拡充と市内全域への周知
〇児童生徒の日本語能力の把握

3 日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

〇日本語指導担当教員のスキルアップ
〇的確な学習支援や指導への手立ての把握
〇日本語指導が必要な児童生徒への認識、日本語指導の重要性の理解。
〇DLA活用者の育成・理解の促進。

4 「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

・講師を招いて研修することで、JSLカリキュラムを活用した日本語指導のあり方やDLAについて、理解を深めた。
・外国人児童生徒の理解についてスキルを高めた。
●日本語指導を必要とする児童生徒の増加に伴う指導支援員や教員スキルの不足。
●日本語指導支援員の養成と日本語指導ができる教員の養成が急務の課題。

5 学力保障・進路指導

・中学校で受け入れた際、高校進学の為の教科の為の日本語指導が大きな課題。
・小学校における学習言語習得の成果は大きいが、多くの学校においてDLAに基づいた日本語指導。がなされていないのが大きな課題。日本語指導担当教員の拡充、スキル向上と共に、支援者の確保にも課題がある。中学校JSL教室を拡充する必要性がある。

6 日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

・新渡日の日本語指導を要する児童生徒には、母語が分かるサポーターの派遣が有効。
(母語が分かる支援員を配置することでカウンセリング機能も発揮され、落ち着いた学校生活に結び付けることが出来る。)
・日本語指導を要する児童生徒の母語が多様化してきており、それに対応して支援員の人材確保が課題。
・小学校JSL教室設置校以外の校において、日本語指導ができる体制が多くの学校にはないことが大きな課題。
・中央区、長田区では、要日本語児童数が急増(中央区は中国・長田区はベトナム)保護者が
母語しか話せないことによる学校と家庭間の意思の疎通が十分図れないことで起きる問題に
対応する必要がある。

7 小学校入学前の幼児や保護者を対象としたプレスクール

・「就学前プレスクール事業」について実践を幅広く紹介し、実施希望を募る。啓発は必須。
・広報に力を入れ、実践を幅広く紹介し、確かな就学につなぐ。引き続き幼小連携事業に位置づける

8 共生社会における共に学び成長する授業の在り方に関する調査研究の実施

・現在の研究校は固定化されており、研究を推進している。また研究発表校においても順番に 回っている。外国人が集住している学校にも積極的に参加できるように、事業の見直しを行い、多文化共生推進校を集い共生教育を推進する。

9 親子日本語教室の実施

・保護者が働いている為、時間の設定が難しいが、児童生徒の学びが保護者に広がり、保護者の学びの広がりが、安心したコミュニティーの場所づくりにつながる必要がある。(来年度へ向けて検証)

<推進イメージ>
・活動参観を実施→親子交流活動→母語と日本語教室開催

10 ICTを活用した教育・支援

・令和2年度の神戸市電子黒板導入にむけ、日本語学習コンテンツの活用方法の開発
・「翻訳機」100台を配布。保護者、学校間のコミュニケーションツールとしての利便性を検証。

表

4.その他(今後の取組予定等)

「神戸市における総合的日本語指導体制」を整備

  • 帰国・外国人児童生徒のための日本語能力の把握と日本語指導を行う体制づくり。
  • 支援を要する児童の在籍数や地域の特性等から、小中学JSL教室について効果を検証。
  • 母語を介した生活言語の習得支援から、学習言語レベルでの日本語指導への接続を見据えた系統的な日本語指導支援システムの構築。
  • 関係機関と連携し、日本語による日本語指導のできる人材の確保に努める。
  • 日本語指導ガイドブック等の作成を受け散在地域における日本指導の充実に努める。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035