平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(鈴鹿市)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

○運営協議会

教育委員会事務局内に鈴鹿市日本語教育支援システム構築プロジェクト会議を設置した。構成員は、教育長、次長、参事、関係各課課長、外国人児童生徒在籍校校長代表、日本語教育担当者代表、指導助言者(大学教授)となっている。

○連絡協議会

外国人児童生徒等の在籍が多い学校を中心とした、日本語教育担当者ネットワーク会議を設置した。構成員は市内の小学校10校、中学校6校の日本語教育担当者となっている。
 

2.具体の取組内容 

①日本語教育支援システム構築のため日本語教育プロジェクト会議を設置し、日本語教育の推進に係る運営管理を行った。年2回開催し、5月には日本語教育の推進にむけた計画、2月には取組の検証を行った。日本語教育担当者ネットワーク会議を年6回実施した。4つのグループにごとに研修テーマを設定し研修を行った。その成果を多文化共生実践EXPOで市内に発信した。

②教育委員会事務局に日本語教育コーディネーター配置し、市内の支援システム構築、日本語指導体制づくりを行った。

③外国人児童生徒等が在籍するすべての小中学校においてJSLバンドスケールを活用し、日本語の力を測定した。それぞれの個の実態に合わせた個別の指導計画も作成し、学習評価も行った。

④市内40校のうち19校に日本語教育担当者を設置した。特別の教育課程を編成し、取り出しによる日本指導を行った。

⑤9月7日(土)に近隣の高等学校として連携して、市内の外国人生徒とその保護者を対象に進路ガイダンスを行った。保護者も含め44人の参加があった。

⑥来日間もない児童生徒のために、タガログ語・英語、中国語のバイリンガルの就学促進員を委嘱し、児童生徒への適応支援を行った。また、JSL児童生徒等の在籍が少なく国際化対応加配教員が配置できなかった学校においても、教員免許を有する日本語指導講師を配置し、取り出しによる日本語指導を行った。

⑦12月14日(土)、1月18日(土)に外国人幼児と保護者を対象に就学ガイダンス及びプレスクールを開催し就学支援を行った。幼児・保護者36人の参加があった。

⑧ネット環境が利用できる学校で、タブレットを活用した日本語指導を行った。また、就学支援教 室「コトノハ」でもタブレットを活用した指導を行った。

⑨1月27日(月)に多文化共生教育実践EXPOを開催し、日本語教育担当者の研修グループを中心に、小学校・中学校16校が日本語指導の実践・多文化共生の取組の報告を行った。67人の参加があった。

⑩7月25日(木)に日本語教育研修会を開催し、国際教室設置校からの実践報告をもとに研修を行った。59人の参加があった。また、日本語指導講師の連絡会を年3回行い、指導内容や指導教材等の交流を行った。
 

3.成果と課題

①5月の第1回日本語教育プロジェクト会議で、本年度の重点取組を確認し取り組んだことを第2回の会議で検証し、次年度につなげる体制作りが確立してきた。 日本語教育担当者ネットワーク会議のグループ研修は、意義のあるものになった。次年度も継続していく必要がある。

②今年度は、外国人生徒が少数在籍する中学校での日本語指導体制づくりを支援してきた。各校にいる日本語教育担当者が中心となって日本語指導体制をつくっていけるよう今後も支援をしていく必要がある。

③教員、担当者等は毎年異動がある。そのため、毎年継続的にバンドスケールによる測定の目的、方法等の研修を行い、職員間で年度初めに共通理解を図る必要がある。

④「特別の教育課程」による日本語指導の実施が6年目となり、校内で個別の指導計画を活用した日本語指導支援体制が整ってきている学校もある。研修会等を通して先進事例を紹介し、取組を広めていく必要がある。

⑤進路ガイダンスの実施により近隣の高等学校と協働することができた。参加した保護者、生徒が日本の高等学校等のシステムについて理解することができ、進学するためにすべきことを実感することができた。また、高校や大学に進学した先輩の話を聞くなどしたキャリア教育を視点においた実践を中学校でも進めていく必要がある。

⑥子どもや保護者が日本での学校生活に不安を抱えている時、子どもの気もちを母語で聞くたり、保護者の思いを受け止めたりすることで、登校を促すことができた。多様な地域からの編入が続いており、多言語での対応が求められてきている。人材確保が必要であり、そのために近隣の学校関係、諸団体とも情報共有を進めていく必要がある。

⑦日本の学校に初めて入学させる保護者にとって、相談もでき安心して就学できる情報を提供できた。 外国人入学予定者が多い2校を会場として開催した。さらに参加者を募るために、各学校への広報の充実を図る必要がある。

⑧視覚的支援が有効である外国人児童生徒へのICT活用を進めていく必要がある。

⑨各校の実践や、日本語教育ネットワーク会議で行った実践を交流できたことは成果であった。しかし、限られた時間であるので、取組の内容が十分伝えられなかった反省もあった。さまざまな研修会の機会を捉えて発信していく必要がある。

⑩毎年日本語教育研修会を開催している。日本語教育担当者だけでなく在籍学級担任などの幅広い人に受講をしてもらい、日本語教育の校内支援体制を構築していく必要がある。

表

4.その他(今後の取組予定等)

  • 「特別の教育課程」による日本語指導を充実させるためにも、JSLバンドスケールによる日本語能力の把握をさらに進めるとともに、個別の指導計画を活用した支援体制を充実させ、個に応じた支援を行っていく。
  • 多様な背景をもつ外国人児童生徒等が増加してきているため、一人ひとりの日本語能力に応じた教材や活動を考えながら、学力保障につながる日本語指導について実践研究をする必要がある。
  • 今年度実施した日本語担当者のグループ研修をさらに継続をしていく。また、ネットワーク会議の参加校以外にも研修への参加を呼びかけたり、夏季研修講座や多文化共生教育実践EXPOなどの参加を呼びかけたりして、実践例を学ぶ機会を設け、自校の日本語教育の参考となるような研修を企画していく。
  • 児童生徒の多国籍化が進み、多くの言語による支援が必要となってきている。また、分散して在籍する傾向にあり、きめ細かな日本語指導や支援のためには人的支援が必要であるため、少数言語の母語支援員の派遣をしていく。また、多言語翻訳機や多言語通訳タブレットなど、ICT機器の活用もしていく。

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