平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(三重県)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制

2.具体の取組内容 

(2) 拠点校の配置等による指導体制のモデル化

  •  「就学を支援する外国人児童生徒受入促進事業」補助事業 対象7市への支援
  •  7月16日 外国人児童生徒教育検討会議

(4) 「特別の教育課程」による日本語指導の実施

外国人児童生徒教育検討会議において、県内の実践報告等を行い、報告内容をもとに、それぞれの学校、市町での課題や取組等についてグループ協議を行った。

<発表> 「いっぽからひろがり つながる 松阪市の外国人児童生徒教育」
        松阪市教育委員会 学校支援課 指導主事 西山直希
        松阪市子ども支援研究センター 指導主事 中谷優一

<協議> 「特別の教育課程」による日本語指導等、外国人児童生徒教育について

(6) 日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

  •  外国人児童生徒巡回相談員の派遣(13名)を市町の要望等に応じ派遣(ポルトガル語対応7名、スペイン語対応2名、タガログ語対応3名)
  •  令和元年度、17市町に2,839回派遣(令和2年2月末日)

(10) ICTを活用した教育・支援

  •  多言語翻訳ソフト「VoiceBiz」を活用した外国人生徒及び保護者への進路相談等の実施

(11) 高校生等に対する包括的な教育・支援

  •  日本語指導が必要な外国人生徒への学習支援を行う「外国人生徒支援専門員」(ポルトガル語、スペイン語)を県立高等学校へ配置
  •  生徒の日本語力等に関する情報の中学校から高等学校への引継ぎの実施
  •  日本の学校制度や働き方について理解を深める外国人生徒を対象とした進学や就職に関するセミナー及び企業見学会の実施
  •  外国人生徒の就職支援等を行う「外国人生徒キャリアサポーター」(1名)を県立高等学校へ配置

(12) 成果の普及

  •  「三重県教育研究指定校等成果報告書」を作成し、市町等教育委員会及び研究指定校等に配付
  •  令和2年7月に外国人児童生徒教育検討会議(兼外国人児童生徒教育推進会議)において実践交流を行う予定
  •  外国人高校生を対象とした進学・就職セミナー等の事業報告書を作成し、「キャリア教育フォーラム」で、県内小中高等学校の教員及び事業所からの出席者へ取組を紹介
  •  「三重県キャリア教育支援協議会連絡会議」を開催し、キャリア教育推進の産官学関係機関との情報共有

(13) その他

外国人児童生徒教育専門員(ポルトガル語対応1名)の配置

  •  ポルトガル語のよる電話等による相談
  •  学校からの文書の翻訳や通訳の依頼への対

3.成果と課題

(2) 拠点校の配置等による指導体制のモデル化

  •  補助事業による財政的支援及び外国人児童生徒教育検討会議における県内の実践報告を行うことで、集住市においては、受入体制、指導体制の充実が図られた。
  •  入管法改正もあり、今後、日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍数及び在籍地域の増加が考えられる。そのため、現在行われている県内集住市における指導体制のモデルを今後も普及していく必要がある。また、合わせて、日本語指導を行う外国人児童生徒巡回相談員等を増員し、日本語指導及び適応指導の支援を強化する必要がある。

(4) 「特別の教育課程」による日本語指導の実施

  •  外国人児童生徒教育検討会議において、県内の具体的な実践事例の情報を共有することにより、現在支援が必要な児童生徒が在籍しない市町においても、「特別の教育課程」による日本語指導等の理解を図るとともに、今後取り組んでいくモデル提示の機会となった。
  •  在籍児童生徒数が多い学校が、支援が必要な児童生徒全てを対象として取り組んでいくためにはどのようにしたらよいか、といった課題等への対応を考えていく必要がある。

(6) 日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

  •  年3回、日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍数調査を行うことで、市町の状況に応じた派遣を行うことができた。これまでに日本語指導が必要な外国人児童生徒が在籍していない学校においても、外国人児童生徒巡回相談員を派遣することで、学校の受入体制整備を進めることができた。
  •  巡回相談員の派遣による人的支援には限界があり、今後は巡回相談員の効果的、効率的な派遣計画を行うとともに、ICT機器を活用した学習支援についても検討していく必要がある。

(10) ICTを活用した教育・支援

  •  通訳を手配することができなかった時や、手配が難しい言語について、活用できた。
  •  進路相談等、複雑な内容や長文を伝える際に、正確な情報を伝えることが難しい。伝え方を工夫するなど、使用者のスキルを上げる必要がある。

(11) 高校生等に対する包括的な教育・支援

  •  セミナーで、外国人の卒業生や職業人から働き方や大学での学習、日本語学習の重要性を伝えたことで、参加した生徒や保護者は、親近感を持って、主体的に話を聞くことができた。今後、さらに増加する外国人生徒及び保護者へ、学校からの情報を正しく伝え、理解を得るためには、外国語が話せる支援員の増員が必要である。
  •  外国人支援のノウハウを持つNPO法人と連携したことで、今後の外国人生徒支援についてのネットワークを構築することができた。次年度は、すべての学校で、外国人生徒支援が充実するよう、日本語指導や就学・進学に係る支援方法等の情報交換を行う必要がある。
  •  外国人キャリアサポーターによる就職支援により、日本語指導が必要な生徒の進路実現につながった。また、他の就職支援員(職場定着サポーター)との情報交換会で、外国人生徒の就職支援情報を共有したことで、次年度以降、就職支援員が配置されている学校で、外国人生徒の就職支援をさらに推進する。

(12)成果の普及

  •  県内の実践を報告書にまとめ、周知することで、外国人児童生徒等の在籍の有無に関わらず、外国人児童生徒等の受入・「特別の教育課程」における指導方法や進路支援情報等、具体的な取組内容の周知が進み、それぞれの市町や県立高等学校に応じた取組の参考とすることができた。
  •  県内において日本語指導が必要な外国人児童生徒は増加傾向にあることに加え、集住化、散在化へ対応の必要性が考えられる。そのため、報告書の配付だけでは、十分とは言えず、今年度のように、外国人児童生徒教育の推進を図っている市の実践を交流する場を設定し、より具体的な実践例を提示することにより、県内の外国人児童生徒教育の推進に生かしていくことが必要となる。

(13) その他

  •  進学について保護者からの相談内容のものもあり、関係機関とも連絡を取りながら対応することにより、保護者の不安感を和らげることができた。また、文書翻訳では、市町からの要望に応じて、関係文書作成の支援を行うことができた。
  •  地域・学校にも相談できず、悩んでいる児童生徒や保護者がいると捉え、今後も広く児童生徒教育専門員による電話相談等の周知を図り、外国人児童生徒及び保護者への支援の充実を図る必要がある。

表

4.その他(今後の取組予定等)

  • 入管法改正に伴い、今後外国人児童生徒の在籍数や在籍地域の増加も考えられる。そのため、どの地域においても個に応じた支援がでるよう、受入体制や「特別の教育課程」における日本語指導の県内の事例を普及し、外国人児童生徒教育の推進を図る手立てを考えていく。
  • 外国人児童生徒巡回相談員を増員し、各市町への支援の充実を図る。

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