平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(厚木市)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制

2.具体の取組内容 

(1)運営協議会・連絡協議会の実施

  • ○教育委員会及び国際教室担当者連絡協議会(外国籍児童・生徒等指導推進部会)

      第1回
      〔対象〕国際教室設置校の担当
      〔内容〕
        (講義)・特別の教育課程編成、個別支援計画の必要性 ・中学校区連携の意義 等
        (協議)・DLAの実施、国際教室の運営・指導について(中学校区グループで実施)

      第2回
      〔対象〕国際教室設置校及び国際教室未設置校のうち日本語指導協力者の派遣のある学校
      〔内容〕
        (講演)外国籍児童・生徒への効果的な支援について〔講師〕Me-net事務局長
        (演習)ICT活用について
        (協議)指導上の課題と今後の指導について

      第3回 10月から11月に各中学校区で授業参観及び指導・支援に関する協議を実施

  • ○教育委員会と日本語指導協力者の連絡会

        (講義)国際教室担当者との連携 (協議)指導の成果及び課題と今後の指導について

(2)拠点校の設置等による指導体制の構築

  • ○国際教室の設置のない学校における日本語指導を必要とする児童・生徒等に対して、充実した「特別の教育課程」の編成が可能となるよう、国際教室設置校のうち中学校を「拠点的機能」を備えた学校とし、連携体制の中で相互に支援しあえる体制作りについての取組を進めた。

具体の取組内容

(1)に記載の 「第3回国際教室担当者連絡協議会」において、中学校区の学校間における連携関係構築に向け、相互の授業見学や事後の研究協議、講師を招聘して指導助言を受けるなどの取組を実施し、より効果的な指導・支援の方向について研究した。

(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

  • ○対話型アセスメントDLA等の日本語能力測定方法に関する、連絡協議会等における説明及び協議

      4月(国際教室担当者)
        日本語能力測定方法等の意義と進め方について説明
      7月(国際教室担当及び非設置校のうち日本語指導協力者の派遣を受けている学校の担当)
        日本語能力測定の活用状況についての情報共有及び課題に対する協議
      3月 各校からの活動報告書により、本年度の実施状況の報告と測定結果等による評価の振り返り

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施

  • ○連絡協議会等における説明及び協議

      4月(国際教室担当者)
        「特別の教育課程」の編成と実施についての説明
      7月(国際教室担当及び非設置校のうち日本語指導協力者の派遣を受けている学校の担当)4月:
        個別の指導計画に基づいた指導実践の確認
      3月 各校から個別の指導に対する評価・報告
 

(6)日本語指導ができる、または児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

  • ○「日本語指導協力者」の派遣

      ・教育課程内の時間内における個別指導にあたる支援員。
      ・指導内容は、日本語の基礎的な読み書き、日本語の会話の指導、生活適応指導、家庭との連絡等
      ・本年度は転入時の通訳や新入学児童・生徒説明会での介助など臨時の派遣にも対応した。
        ※11言語26人(英・中国・タガログ・ベトナム・韓国・・ポルトガル・スペイン・ウルドゥ・シンハラ・タミル・ヒンディー)
        小学校15校 中学校8校 計23校 へ派遣 対象約200人、累計5,800時間

  • ○「日本語指導教室支援員」の派遣

      ・授業日及び長期休業中の教育課程外の時間に、補習学習を実施する支援員。
      ・学習内容は、日本語の基礎的な読み書き、教科学習の補習、生活適応指導、教育相談等
        ※小学校5校で設置 週1回 1時間程度 各校3人派遣 通室児童数 約80人

(8)共生社会における共に学び成長する授業の在り方に関する調査研究の実施

  • ○国際教室での指導・支援について、教育相談コーディネーターを中心とした校内支援体制によって、通常の学級における支援の充実を図ることと、通常の学級と国際教室間の情報連携を密に取り合うよう努めた。

具体の取組内容_2

(10)ICTを活用した教育・支援

  • ○ICTを指導に活用するための研修の実施(連絡協議会において)

      4月:ICTの活用に関する情報提供
      7月:ICTを活用した指導実践研修(講師:高橋清樹様から取組事例等の紹介)

(12)成果の普及

  • ○小中校長会や主催研修会等における実践報告
  • ○8月に実施した「インクルーシブ教育フォーラム」において取組内容等の報告
  • ○中学校区ごとの地区別推進部会(連絡協議会)で他地区の情報等について共有

3.成果と課題

(1)運営協議会・連絡協議会の実施

〔成果〕
  • 特別の教育課程の編成や中学校と連携した支援体制の必要性などを共通認識できた。
  • 指導・支援上の課題等や成功している取組等について担当者間で協議できた。
  • 日本語の指導を受けている児童・生徒の状況と、指導の成果及び課題を把握することができた。
  • 日本語指導協力者(支援員)から見た課題(児童・生徒が必要としている支援の格差(日本語基礎/教科学習、学校の担当者との連携や指導方針等の共有)を聞くことができたと同時に、日本語指導協力者とともに、望ましい支援の在り方について協議することを通して、支援に対する考え方の共有が図れた。
〔課題〕
  • 多様な支援レベルへの対応策
  • 日本語指導協力者(支援員)と担当居押印、保護者との連携体制の構築

(2)拠点校の設置等による指導体制の構築

〔成果〕
  • 中学校区における国際教室設置校間の連携の強化と日本語指導力の向上が図れた。
  • 実際の指導場面の見学を通して、効果的な支援策や指導方法についてより具体的な協議ができた。
  • 国際教室非設置校への情報提供や中学校区での連携体制の構築を進めることができた。
  • 国際教室非設置校における日本語指導の必要な児童・生徒への支援の充実が図れた。
〔課題〕
  • 学校主導による日本語指導協力者との連携強化

(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

〔成果〕
  • 個の日本語能力の把握が一層充実した支援策の策定につながることや測定方法の活用の必要性に関する理解が深まった。
〔課題〕
  • 対話型アセスメントDLAを、在籍する日本語の支援が必要な児童・生徒一人一人に実施する時間・場面の確保

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施

〔成果〕
  • 個に応じた指導の展開と教科学習への円滑な接続が図れた。
〔課題〕
  • 客観的指標(日本語能力の判定等)に基づく指導計画の作成
  • 新任担当者への支援
  • 小・中の連携
  • 短期間の取り出し指導を行う児童・生徒への対応

(6)日本語指導ができる、又は児童生徒等の母語が分かる支援員の派遣

〔成果〕
  • 充実した日本語/教科学習の支援や学校生活への適応支援ができた。
〔課題〕
  • 多様化する言語、増加する対象児童・生徒数に対応するための支援員の確保
  • 支援員の指導力(日本語指導、教科学習補助、教育相談)の向上と学校の担当者との連携
  • 二極化する児童・生徒の実態(日本語のサバイバルレベルからの支援と学級での学習に向けた支援)に効率的に対応できる体制の構築

(8)共生社会における共に学び成長する授業の在り方に関する調査研究の実施

〔成果〕
  • インクルーシブ教育の理念について、障がいのある児童・生徒だけでなく、外国につながる児童・生徒も含めた考え方について教員の理解が進んだ。
〔課題〕
  • 担当のコーディネート力、他の教員による具体的な関与の仕方に関する研修

(10)ICTを活用した教育・支援

〔成果〕
  • ICTの活用の効果について理解が深まり、活用に向けた意欲が高まった。
〔課題〕
  • アプリケーションや機器の整備

(12) 成果の普及

〔成果〕
  • 中学校区を軸に相互に報告しあうことで、自校の取組を振り返り、取組の充実について考えることができた。
〔課題〕
  • 国際教室非設置校の教員も、外国につながる児童・生徒の支援や、そのことを通した共生社会の実現について自分事として考えること。

表

4.その他(今後の取組予定等)

  • 多言語化、支援レベルの多様化、支援を要する児童・生徒の人数の増加等に対応するための学校の支援体制、日本語指導協力者の確保及び教員・支援員双方の指導力向上と連携
  • 国際教室間の連携及び国際教室が設置されていない学校における支援の在り方の研究
  • 共生社会における共に学び成長する取組に関する研究

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035