平成31年度「帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(大泉町)

平成31年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制

2.具体の取組内容 

(2)拠点校の設置等による指導体制の構築

町内の全小中学校(小学校4校・中学校3校)に、日本語学級を設置し、17名の日本語学級担当教諭を配置している。

1 日本語指導助手の配置

全校に、母語支援(ポルトガル語・スペイン語)のできる日本語指導助手(小学校に8名、中学校に3名)を配置し、日本語学級担当教諭(県特配教員)と連携しながら、日本語指導、各教科等の学習指導、学校生活への適応指導を行う。

2 外国人子女教育コーディネーターによる指導・助言

教育委員会に、外国人子女教育コーディネーター(1名)を配置し、以下の指導・助言等を行う。

  • 各学校巡回時の指導方法の助言や情報提供。
  • 各校での取組の状況を把握し、実態に応じた研修の提案。
  • 多言語サロン(学校に入る前の初期指導の場所)の運営。

3 「多言語サロン」の設置

編入児童生徒が円滑に学校適応できるよう、「多言語サロン」を設置。

  • 毎週火曜日・土曜日に開講
  • 外国人子女教育コーディネーター(1名)・日本語指導助手(4名)が担当
  • 初期日本語指導や学校生活に係る情報提供
  • 「個別の指導計画」(様式1)の作成

4 日本語学級担当者会議の設置

各学校の日本語学級担当教諭(17名)による日本語学級担当者会議を設置し、各校の指導体制や取組、個別の指導計画について共通理解・情報交換を行う。

5 日本語教育研究班研修の実施

町教育研究所において、各学校日本語学級担当者代表1名を研修員とし日本語教育研究班研修(年間10回)を行う。

〔研修内容〕

  • 個別の指導計画の作成・活用(特に様式2)
  • DLA・JSLカリキュラム研修

6 保護者支援事業の実施

保護者が、公立学校や日本の教育制度について正しく理解できるよう情報提供の場を設置する。

    ・ 外国籍児童就学説明会
        令和2年度就学予定外国籍児童の保護者を対象に、就学時健診前(9月)に日本語・ポルトガル語での説明会の開催
    ・ ポルトガル語による進路説明会
        中学生とその保護者を対象に、中学校の生活の仕方及び高校入試制度について、ポルトガル語で行う説明会の開催(6月・10月)。

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施

1 「特別の教育課程」による指導体制の整備

日本語教育研究班がリードをとり、DLAを活用しながら、個々の日本語能力を把握したうえで指導目標を設定し、「個別の指導計画」を作成し指導を行う。

  • 在籍児童生徒については、各学校の日本語学級担当者が作成。
  • 新たに編入する予定の児童生徒については、多言語サロンにおける指導や聞き取りをもとに様式1を教育委員会が作成し、学校へ送付。

2 「特別の教育課程」による日本語指導充実のための研修の実施

  • 個別の指導計画に基づく指導を行うための研修(10回)
  • 大泉町としての「個別の指導計画」の作成や活用方法について検討と指導実践の蓄積・共有
     研修1 「特別の教育課程」の編成についての共通理解
       「日本語指導計画」及びDLAを活用した日本語能力の把握について
     研修2 「個別の指導計画」の作成・活用について
     研修3  「個別の指導計画」を活用した指導実践の共有
     研修4 日本語学級における指導の課題とその改善について
     研修5 「個別の指導計画」を活用した指導実践の共有
     研修6 「個別の指導計画」を活用した指導実践の共有
     研修7 (県) 外国人児童生徒等に対する日本語指導研究協議会
     研修8 すみだ国際学習センター 視察
     研修9 外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者養成研修報告
       「個別の指導計画」様式の確認と後期指導の書き方について
     研修10 「個別の指導計画の活用について」
       講師:文部科学省日本語教育アドバイザー
  次年度に向けた展望

(12)成果の普及

1 校務支援システムにおける成果の周知

校務支援システムの掲示板を活用して取組の成果を周知で、町全体の動向や施策などの情報の発信。

2 県主催「外国人児童生徒等に対する日本語指導研究協議会」の実施

大泉町立西中学校において、群馬県主催「外国人児童生徒等に対する日本語指導研究協議会」を実施し、2授業(日本語学習・1年理科)を公開

3.成果と課題

(2)拠点校の設置等による指導体制の構築

  • 日本語指導助手による母語による支援を充実させることで、安心して学校生活を送ることができている。また、電話や面談での通訳、家庭への通知の翻訳等ができ、保護者への正確な情報提供が可能となり、学校の取組への理解の手助けとなっている。
  • 外国人子女教育コーディネーターが各校を巡回し、指導助言を行うことで、それぞれの学校の指導の充実を図ることができた。
  • 「多言語サロン」において、編入予定の児童生徒を一定期間受け入れることで、基礎日本語の学習を行ったり、公立学校での学習や生活について事前に理解したりすることができ、ゆるやかな適応を目指すことができた。また、保護者へも就学に向けた情報を提供することができた。
  • ・日本語学級担当者会議において、町内の学校における外国人子女等の受入や日本語学級での指導について共通理解し、各学校の指導の充実を図ることができた。
  • 日本語教育研究班による研修を行うことで、各学校の取組や課題を共有し、その改善を図るとともに、日本語学級担当者のスキルアップにつながった。
  • 保護者対象の説明会を継続的に行うことで、子どもの進路について長期的な視点で学校と関わったり、経済的な準備を行おうとする保護者が増えてきている。
  • 転入・編入・転出・退学・帰国、及び外国人学校との行き来も激しくなっている実態が顕著であり、転編入前や転編入直後の丁寧なみとりや指導がますます重要になってきている。
  • 町全体の特徴や動向、課題を教職員が理解し、指導に生かしていくことが必要になっている。
  • 日本の学校の入学時期や、卒業後の進路情報等は、継続して家庭に伝えていく必要がある。

(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施

  • 大泉町としての「個別の指導計画」形式が共通理解のもと明確化されたため、全町同時進行で作成し、活用し始めることができた。
  • 児童生徒の日本語能力の状況や身に付けさせるべき力が明確となり、指導の重点化を図ることにつながった。また、指導上の課題が具体的となり、次年度への引継ぎが円滑に行われる傾向が出てきている。
  • 学級担任、日本語学級担当、日本語指導助手の情報共有が必須となり、個別指導の質の向上につながりつつある。
  • 個別の実態把握の仕方や教材等の焦点化を図るための指導者のスキルを身に付けることが必要である。
  • 「個別の指導計画」に基づく指導方法の工夫・改善、蓄積された教材や指導資料の整理・活用を通し、指導力の向上を図る必要がある。

(12)成果の普及

  • 日本語指導が必要な児童生徒への支援体制及び個別の指導計画作成について、全教職員が知ることにより、担任と日本語学級担当・日本語指導助手との情報共有や連携についての理解が深まり、情報交換をする機会が増えている。
  • 日本語学級での取組が、町全体としての取組となったため、どの学級でもどの学校でも共通する成果や課題が出てきて、それに対して組織として対応することができた。共同体という意識があり特に研修員の情報交換・共有は密となった。
  • 県主催の「外国人児童生徒等に対する日本語指導研究協議会」で提案されたDLAの活用、特に個別の実態把握の仕方(話す・書く・読む・聴くの実施について)やAUの使い方について提示できた。
  • 今年度提示された新しい試みは、提案時の一過性の物とせず、児童生徒の実態に合わせて工夫改善を重ねて継続されていて、指導者のモチベーションの高さにもつながっている。
  • 研修員以外の日本語学級担当教諭へ正確で迅速な情報提供が求められる。そのためには、全員参加の日本語学級担当者会議を年間計画の中に位置づける。
  • 全教職員が大泉町の動向を把握し、多様性のある実態を生かした指導を行っていくためには、情報を発信させていくことが必要となる。全体研修会などの場を生かした周知の仕方を工夫していく。

表

4.その他(今後の取組予定等)

  • 「特別の教育課程」による日本語指導を継続して実施していく。
  • DLA研修を実施し、個別の実態把握に役立て、細かな支援につなげるようにしていく。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035