大学教員及び姫路市教育委員会指導主事・姫路市内各学校の日本語指導担当教員・支援員等で構成する連絡協議会を3回開催した。
[1]第1回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会 平成29年5月30日開催
[2]連絡協議会にかかる東小研修会 平成29年8月24日開催(姫路市立東小学校)
[3]第2回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会 平成29年10月23日開催
[4]第3回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会 平成30年2月13日開催
[1]日本語能力の測定方法としてDLAの他に、平成28年度の中央研修で報告のあった大阪府門真市立砂子小学校の取組の中で紹介されていた「日本語能力評価(JSL評価参照枠から抜粋)」を参考にして、姫路市版を作成した。こちらでの能力測定も可能とした。
[2]これまで中央研修で学んできた教員が在籍している2校でDLAを本格的に実施した。
[3]個別の指導計画(様式2)に日本語能力を年度の初めと終わりに記入する欄を設け、2回実施することとした。
[1]「特別の教育課程」編成にかかる説明会の実施
平成29年4月13日に「特別の教育課程」編成連絡会を開催し、日本語指導の必要な児童生徒のための「特別の教育課程」編成について、年間の流れ等を詳しく説明し、「特別の教育課程」を編成し、個別の指導計画を作成することを依頼した。また、平成29年5月30日 第1回姫路市帰国・外国人児童生徒受入促進事業連絡協議会にて、取り出し指導を行う場合には、「特別の教育課程」を編成し、個別の指導計画を作成することが必要であることを説明し、依頼した。
[2]4月~3月「特別の教育課程」による日本語指導の実施(各校)
[3]4月~6月「特別の教育課程編成・実施計画」の作成・提出(学校より)
[4]5月、7月、12~2月 市教委による訪問にて取り出し指導や対象児童生徒の様子を把握
[5]今年度の「特別の教育課程編成・実施報告」及び来年度の「特別の教育課程編成・実施計画」の提出(学校より)
[1]バイリンガル支援員(スタディサポーター29(のべ51)名・通訳21名)の派遣
日本語指導が必要な児童生徒の在籍する幼・小・中・特別支援学校等に、母語と日本語が話せるバイリンガル支援員(スタディサポーター)・バイリンガル支援員(通訳)を配置・派遣し、日本語指導の補助や学校との連絡調整を行った。コミュニケーションの円滑化を図ることにより、児童生徒及び保護者の心の安定を図った。
[2]バイリンガル支援員(就学促進員)の派遣
平成18年度以降実施している就学状況調査の手法を踏襲し、学校や関係機関等と連携し、外国人の子供の就学状況調査を行った。不就学の生徒がいる件が1件あったが、父親と日本語が通じたため、バイリンガル支援員(就学促進員)の派遣はなかった。
3月:市のウェブサイトに実践の概要と成果の発信を行った。
(成果)
[1]第1回連絡協議会では、本市における日本語指導が必要な児童生徒の受入体制及び日本語能力測定方法(DLA)の概要及び活用方法について説明を行った。また、今年度は「特別の教育課程」の編成と個別の指導計画の作成方法についても説明した。次に前年度の日本語指導研究推進校の日本語指導担当教師によるDLAの演習をしていただいた。さらに、大学教員から、日本語指導の要素を取り入れた在籍学級での学習支援について講義をしていただいた。在籍学級での学習支援を行うにあたり、「教科の目標」とは別に「日本語の目標」を設定することの必要性等を話していただいた。今年度初めて日本語指導担当になった教員や日本語指導が必要な児童生徒の担任になった教員も多く、参加者の感想には「本市における支援体制や支援員の活用方法について理解することができた。」「DLAを活用し、児童の実態をより正確に理解し、指導へとつなげたい。」「担任に任せるだけでなく、校内の連携体制作りが大切であることが分かった。」「支援員との連携をもっと密にし、今後指導していく上で参考になった。」などがあり、指導・支援のポイント等数多く得ることができた協議会となった。
[2]連絡協議会にかかる研修として、夏休み中に第2回連絡協議会の公開授業の学習指導案の検討を行った。「指導案検討の段階で研修できたことは有意義であった。」という感想が多くあった。
[3]第2回連絡協議会では、在籍学級で小学3年生のJSL算数科「何倍でしょう」の授業公開を行った。公開授業には多くの参観者があり、授業後の参加者の感想に「日本語指導の必要な児童が分かる授業は、すべての児童が分かる授業である。」や「重要となる語句が強調されており、児童の頭に残ると思う。持ち帰って授業に生かしていきたいと思う。」などがあり、これからの参観者の授業実践に役立つ公開授業となった。
[4]第3回連絡協議会では、取り出し教室で小学2年生のJSL国語科「同じところ、ちがうところ」の授業公開を行った。公開授業には取り出しの児童一人に対して多くの参観者がある中であったが、児童はよくがんばっていた。授業後の参観者の感想には、「この授業を見ることで、短い言葉で伝えることが大切であることがよくわかった。」や「指導の積み重ねがよくわかる授業であった。」などがあり、取り出し指導だけでなく、在籍学級での授業実践にも役立つ公開授業となった。
(課題)
学校内での受入及び研修体制をより充実させ、日本語指導担当や担任のみならず、学校全体で日本語指導が必要な児童生徒に関わり、情報を共有する体制づくりが必要である。また、協議会等で各校担当者等の定期的な意見交換が不可欠であり、日本語指導が必要な児童生徒を長年受け入れている学校の取組を聞いたり、各校における悩みや課題を共有したりする機会を継続的に設定していきたい。さらに公開授業も取り入れながら、学校間での効果的な学習教材や指導・支援方法等の情報を共有できるような連携を視野にいれ今後も年3回程度の実施していきたい。今年度は、講師を4回招聘し、公開授業後、「在籍学級における教科指導型日本語指導」についてお話をしていただいたが、参加者からは、「もっとお話が聞きたい。」という感想が多かった。今年度もこれまで日本語指導を必要とする児童生徒が在籍していなかった学校に対象児童生徒が編入してきたケースが6校もあり、来年度も新1年生として入学してくることが分かっている学校が数校ある。そのため、初めて日本語指導担当になる教員や日本語指導が必要な児童生徒の担任になる教員も多いことが予想される。来年度も、講師を3回程度招聘し、研修を進めることで、姫路市内の帰国・外国人児童生徒等への教育の充実を図っていきたい。
また、初期指導など特別な日本語指導が必要な児童生徒には目が行きがちであるが、生活言語には不自由しないが家庭での言語が母語である等の理由で学習言語が身についていない児童生徒を把握する必要性がある。そして、その児童生徒に対する在籍学級での日本語と教科の統合学習の方法の1つである教科指導型日本語指導について、広く研修していく必要がある。
(成果)
[1]「日本語能力評価(JSL評価参照枠から抜粋)」姫路市版を利用することにより、DLAが実施できない学校でも、日本語能力の評価を行うことができた。
[2]日本語能力の測定により、児童生徒の課題をはっきりさせ、指導することでできることが増えてきた。
[3]日本語能力を2度測定することにより、児童生徒の伸びを見ることができる場合があった。(特に滞日期間が長い場合)
(課題)
(成果)
(課題)
(成果)
(課題)
(成果)
ウェブサイトで公表することにより、地域のみでなく全国に成果を発信できた。
(課題)
よりよい発信の方法を考える必要がある。
就学前の幼児・保護者に対しての就学支援ガイダンスを行う。
電話番号:03-6734-2035