昨年に引き続き、第1回外国人児童生徒教育担当者会・研修会(4月)において、「日本語能力測定方法」について学習会を実施し、日本語能力測定法等の活用の促進を図った。
また、8月の第2回外国人児童生徒教育担当者会・研修会においては、「DLA実践者養成のための講師育成研修」に参加した教員による報告、および個別の指導計画の作成と活用についてのグループ協議を実施し、活用を促進するための意識の向上を図った。各校において日本語能力測定を実施した場合は、個別の指導計画に記載することとした。
4月に開催した第1回外国人児童生徒教育担当者会・研修会において、「特別の教育課程」の編成と実施について説明を行い、以下の通り実施した。
平成29年度の支援員は、ポルトガル語4名、中国語2名、フィリピノ語3名、計9名である。支援員については、日本語指導を必要とする外国人児童生徒が在籍し、派遣を希望する学校に派遣し、日本語指導や翻訳、生活適応相談を行った。1回の訪問は午前3時間、または午後2時間とし、派遣校1校について週1回の訪問を基本とし、日本語指導が必要な児童生徒の人数が多い学校には、2回~3回とした。また、日本語指導の初期対応が必要な転入・編入児童生徒に対しては、学校の要望に応じて臨時の支援員を派遣した。平成29年度の臨時の支援員は、ベトナム語、ポルトガル語でそれぞれ1名ずつの登録があった。
本市においては、「(6)児童生徒の母語が分かる支援員」は、「(5)日本語指導ができる支援員」を兼ねている。本市支援員は、日本語教育講師として、各校での日本語指導に加え、入学式や保護者会等での通訳を行ったり、日本での生活に適応できるように求めに応じて児童生徒や保護者の生活相談を行ったりした。
8月に実施した第2回外国人児童生徒教育担当者会・研修会において、各校の個別の指導計画を持ち寄り、その活用方法等についてグループ協議を行った。
また、2月に実施した第3回外国人児童生徒教育担当者会・研修会においては、各校の実践の成果と課題をレポートにまとめて持ち寄り、グループで実践発表及び協議を行った。各校の日本語指導の取組とその成果と課題のレポートについては、次年度の日本語指導の参考となるよう、担当者が各校へ持ち帰り、ファイリングすることとした。
研修会を通して、日本語能力測定を活用することが、きめ細かな日本語指導につながることを日本語教育の担当者が理解することができた。日本語能力測定を実施した学校は、昨年度小学校5校であったが、今年度は、小学校9校、中学校2校が実施した。
研修会を通して、各校の外国人児童生徒教育担当者や日本語指導担当者に日本語能力測定方法について研修を重ねることで、活用する学校が増加したが、まだ十分ではない。実際のところ、日本語教育を担当する教員等は、学校の都合によって、年度毎に交代することが多い。そのため、毎年、日本語能力測定方法について研修を継続していき、多くの教員が測定できるようにしていかなければならない。また、測定結果を分析して指導に活用する方法についての研修も必要である。
各校において「特別の教育課程」「個別の指導計画」を作成したことで、個別の児童生徒に対して、指導の目標を明確にして、指導する体制を整えることができた。「個別の指導計画」については、昨年度の研修会において十分に研修を行っており、どの学校もスムーズに作成することができた。
「特別の教育課程」による日本語指導の実施は、日本語指導が必要な児童生徒の状況を十分に把握することが前提である。また、児童生徒の日本語能力の向上に伴って、修正が必要となることもあるが、各校で十分な対応ができているか、網羅的に把握はできていない。
支援員(日本語教育講師)を学校に派遣したことで、日本語指導の補助、保護者等への書類の翻訳、日本の文化・生活に適応するための相談をすることができた。本市の日本語教育講師は、児童生徒の母語が分かり、日本語指導ができるため、計画的に派遣日程を設定することで、児童生徒の日本語能力の向上に大きな役割を果たしている。
平成29年度は、フィリピノ語と中国語の日本語教育講師を1名ずつ増員することで、派遣する回数を増やすことができた。しかしながら、今後も日本語指導が必要な児童生徒は増加することが見込まれ、今年度の増員で十分とは言えない状況である。実際に、今年度は、ポルトガル語を母語とする児童生徒の増加が大きく、年度途中から派遣を要請する学校がいくつかあり、隔週派遣となった学校もある。日本語教育講師の増員が必要だと考えるが、人材確保の難しさもある。
(5)の支援員は(6)を兼ねる。外国から編入した直後であったり、日本語で十分に自らの思いを話すことができなかったりする児童生徒にとって、母語で会話ができる支援員の存在は、非常に大きなものである。学校からは、児童生徒が精神的に安定し、穏やかに学校生活を送ることにつながったとの報告があった。また、児童生徒ばかりでなく、異国での生活に不安を抱えている保護者にとっても、母語で相談にのることができる支援員の存在は大きい。保護者対応として、懇談会での通訳や連絡物・通知表の翻訳にも、支援員が活躍した。
支援員の派遣を必要とする学校に、十分に支援員を派遣することができていない。支援員の増員や臨時的な語学相談員の確保が必要である。各校の日本語教育が必要な児童生徒の在籍状況や現場の困り感を確実に把握しながら、支援員増員のための予算を確保する必要がある。
外国人児童生徒教育担当者会・研修会において、日本語指導の成果や課題等について、各校の担当者同士で話す場を設定したことで、参加した担当者からは「日本語教室の運営の仕方について、他校の担当者からアドバイスをもらえた」「指導形態や使用教材等の情報交換を行えたことは今後につながる」などの声があり、成果の普及が図られたと考える。
成果の普及のため、レポートや報告等での情報交換を行ってきたが、実際の指導場面を参観して協議を行うような研修会を実施して、成果の普及につなげることも考えたい。
ポルトガル語の児童生徒が増加傾向にあり、今後は、ポルトガル語の支援員の増員を考えることが必要となる。また、編入する児童生徒の多国籍化もあり、様々な言語の支援員を確保していけるとよい。
しかしながら、人材確保が難しい状況があるので、翻訳アプリ等ICTを有効に活用しながら日本語指導を行う方法を研究することも視野に入れる必要がある。
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