[1]外国人児童生徒教育担当者連絡会において、個別の指導計画に評価を記入したものを提出させ、研修会当日に個人情報を抜いたものを資料として配付した。支援員の指導のもと、具体的な評価方法や日本語能力を考慮した後期の指導計画を立てることができた。昨年度作成した新しい高校入試制度に対応した「進路の手引き」のポルトガル語、スペイン語、中国語、英語の翻訳版を作成し、ウェブサイトにアップし、各中学校にも送付したところ、自校の進路説明会において外国籍生徒のいる中学校19校のうち12校が活用していた。人的支援の増加を含め、本市の外国人児童生徒教育体制を見直す必要がある。
[3]2回の語彙調査をもとに、就学前と入学直後に日本語能力を把握することで、新年度が始まる前に、取り出し指導の時間割の編成や支援員の巡回予定の参考にすることができた。
今後は、すべての学校でDLAは実施できていない現状をふまえ、研修会等を実施し、各校でDLAが完全実施できる体制づくりが必要である。
[4]外国人児童生徒教育担当者連絡会において、「特別の教育課程」編成による「個別の指導計画」 の作成についての研修を行ったことで、指導者自身が自分の指導を振り返ることにつながった。また、児童生徒の日本語の力を客観的に把握することや前期の評価をもとに4技能のバランスを考慮して後期の指導計画を立てることの重要性について理解を深めることができた。今後は、「個別の指導計画」にもとづいた授業研究など、実践に即した研修が必要である。また、日本語の力を正確に把握するためのDLAについての研修を継続していく必要がある。
[5]巡回指導により、対象児童生徒全員の「特別の教育課程」を編成・実施することができた。しかし、日本語指導以外の業務が多いので、相談員の増員が必要である。
[6]児童生徒への母語支援や保護者対応における通訳派遣や相談コーナーへの相談など、支援体制が機能した。しかし、外国人児童生徒が増加しているので、母語支援の増員が必要である。
[7]新しい高校入試制度の周知を図るとともに、保護者や現役高校生や社会人の講演を聞くことで、将来への希望をもたせることができた。今後は、多言語化への対応や小学生への積極的な参加呼びかけによる情報提供をしていく必要がある。
[8]バイリンガル支援員が保護者対応や翻訳業務、母語支援者がプレクラスという役割分担により、初期支援に集中して取り組むことができた。また、毎日午前中4時間を初期支援の時間に設定したことで、該当児童の取り出し指導の時間が明確になり、学習リズムが安定し、児童は安心して学校生活を送ることができた。今後は、外国人居住地区の分散化により、初期支援が必要な外国人児童生徒を受け入れる学校の増加を踏まえ、母語支援ができる支援員やプレクラス設置校の増加が必要になる。30年度予算で、初期支援校を設置するための支援員が2名望増員されたので、来日間もない外国人生徒を集中して支援する仕組みを30年度よりスタートさせる。初期支援校での生活適応支援や初期日本語指導など、早急に整備していきたい。小学校の初期支援校についても設置できるように予算要求をしていく必要がある。
[9]ウェブサイトに様々な情報を公開することにより、各地から連絡が入り、地域のみでなく全国に発信できた。情報提供を積極的に行うことで、他市町の外国人児童生徒教育の充実にもつながったと思われる。また、「個別の指導計画」については、どの教員も記入例を参考にして書くことによって、内容の充実が図られた。また、市の支援員や指導員の訪問により、年度の途中でも、担当教員の指導方法について振り返りを行うことができ、その後の指導に役立てることができた。今後は、保健・給食関係や安全関係など、数多くの翻訳文書を学校教育課だけで背負うのではなく、保健給食課や関係課でも翻訳をしてもらうような取り組みを市全体として行ってもらえるように訴えていきたい。
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