平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(横須賀市)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 教育委員会担当指導主事1名
  • 日本語指導員18名
  • 学校生活適応支援員 8名
  • 国際教育に係る翻訳・通訳3名
  • 国際教育コーディネーター1名

2.具体の取組内容

(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • 各学校からの日本語指導員派遣依頼に基づいて、国際教育コーディネーターが対象児童生徒の日本語能力のアセスメントを行った。その結果に基づいて、学校生活適応支援員または日本語指導員の配置及び指導時間 ・指導内容を決定した。
    (「日本語力」LCスケール、J.COSS日本語理解力テスト、絵画語彙発達検査 をアセスメントで使用)
  • 日本語指導終了を見極めるために、指導終了が近いと思われる児童生徒に対して、国際教育コーディネーターが10月に中間アセスメント・年度末に終了アセスメントを行った。
  • 担当指導主事、国際教育コーディネーターの指導の下、指導中の児童生徒に対し、国際教室担当教員に対してDLAテスター研修を行った。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施
  • 年度当初に開催した国際教室担当者連絡会に、国際教育コーディネーターと担当指導主事が参加し、「特別の教育課程編成・実施計画」及び「個別の指導計画」「評価」に関する研修を実施した。
  • 年度末に開催した国際教室担当者会にて、「個別の指導計画」の作成についての成果と課題を確認した。
(5)本語指導ができる支援員の派遣

<日本語指導員の役割>

  • [1]日本語指導 [2]国際理解教育への協力
  • [3]学級担任及び受け入れ担当教諭との連携 [4]教材の作成
  • [5]指導計画の作成と提出 [6]指導記録の提出
  • [7]面談等の通訳、週のお知らせ等の翻訳 [8]緊急時の対応

<国際教育コーディネーターの役割>

  • [1]各校での支援体制、支援プログラム作成のための指導助言
  • [2]学校と外部支援者との連携づくりにかかわる指導助言
  • [3]転入時ガイダンス
  • [4]保護者からの相談対応
  • [5]外部機関へのつなぎ
(6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 日本語指導員派遣に際し、できるだけ母語対応できる指導員を派遣した。(11言語対応)
  • 日本語の力が全くないままで小中学校に入学する児童生徒に対して、学校生活への適応をねらいとした、「学校生活適応支援員」を派遣した。

 <学校生活適応支援員の役割>

  • [1]児童の身辺処理に関すること。
  • [2]他の児童や教師等との関わりに関すること。
  • [3]児童の授業参加に関すること。
  • [4]児童の危険な行動の防止等安全に関すること。
  • [5]その他、児童の学校生活において必要な事項に関すること。
(9)成果の普及
  • 日本語指導員研修、国際教室担当者連絡会にて、それぞれの指導・授業実践、指導計画の作成、評価方法等の振り返りをそれぞれ行うことができた。
  • 市の国際交流協会主催の研修で「学校における日本語指導の実態」について教育委員会より情報提供し、今後の連携についても意見交換をすることができた。

3.成果と課題

(3)について

(成果)

  • 日本語指導対象児童生徒の日本語力を客観的に把握することができた。
  • 実際に日本語指導をしている担当教員がDLAのテスター研修を行い、自分自身の指導・支援を見直すことができた。

(課題)

  • DLAに関しては、実施者によって評価の偏りがあるため、継続した研修が必要である。
(4)について

(成果)

  • 国際教室設置校に於いて、担当教諭が中心となり、特別の教育課程編成・実施計画並びに個別の指導計画を作成し、その成果と課題を確認することができた。

(課題)

  • 個別の指導計画作成と評価の実践を積み、より良い支援を提供できるようにする必要がある。
(5)について

(成果)

  • 国際教室コーディネーターによる学校訪問を通して、学校全体の支援体制や日本語指導員に対して指導助言をし、体制づくりや指導の質的向上に結び付いた。
  • 日本語指導を通して、日本語の基礎学習はもちろんのこと、教科用語の導入や復習を行うことで、多くのケースで対象児童生徒が、在籍学級の授業に前向きに取り組めるようになった。
  • 児童生徒指導の課題解決のために、国際教育コーディネーターや日本語指導員が学校と保護者の間に入り、適切に支援をすることができた。

(課題)

  • 学校側が、日本語指導員に支援をまかせっきりになってしまい、日本語指導が長期化したり、派遣の目的が日本語習得でなく、当該学年の学習内容の習得に及ぶなど、本来の目的とずれてしまったりしているケースがある。
  • 日本語指導対象者の国籍が多岐にわたり、必ずしも母語対応の指導員が派遣できていない。
(6)について

(成果)

  • 児童生徒の心理的な安心感や、学校への適応に大きな効果が見られた。
  • 学習内容を母語で説明することにより、学習内容の理解や授業へのモチベーションにつながった。
  • 通訳に入ることによって、学校と保護者間の相互理解が進み、学校と保護者が一体となって児童生徒の問題解決に取り組むことができた。

(課題)

  • 指導言語に偏りがあり、母語指導員を派遣できないことが多い。
  • 子どもや保護者の課題が多岐にわたり、解決が難しい事案が多い。

4.その他(今後の取組予定等)

  • 日本語指導員と国際教室担当教員での合同研修を実施し、授業・指導内容等の情報共有をする。
  • 学校、学級担任、日本語指導員、それぞれの役割を明確にし、支援の充実を図る。
  • 日本語指導員、国際教室担当教員にDLAのテスター研修を継続的に実施し、その精度を上げる。
  • 市独自の進路相談の機会の設定を検討する。
  • 地域支援者と日本語指導の実践についての情報交換会を持ち、それぞれの成果・課題を確認する。また、どのような協力体制を構築できるかについて協議する。

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総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035