平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(北九州市)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

北九州市帰国・外国人児童生徒教育推進協議会
  • 協議会事務局…教育委員会事務局
    • (指導第一課長・指導第一課教育振興担当課長・指導第一課指導主事)
    • 帰国・外国人児童生徒教育センター校
    • (会長1名・副会長4名はセンター校の校長)
    • (幹事1名・副幹事5名はセンター校の専任教員)
  • 運営委員会…事務局に北九州市内小・中学校の教諭37名が運営委員として加わって構成される
帰国・外国人児童生徒教育連絡協議会
  • 協議会事務局
  • 日本語指導対象児童生徒の担任

2.具体の取組内容

(1)運営協議会・連絡協議会の実施
  • 帰国・外国人児童生徒教育推進協議会の開催
    • 6月22日(木曜日)ウェルとばた 協議会事務局・日本語指導対象児童生徒の担任
    • 「北九州市の帰国・外国人児童生徒教育について」「日本語指導について」
    • 校種別の情報交換会
  • ふれあい国際交流教室運営委員会の開催
    • 7月26日(金曜日)あやめが丘小学校 協議会事務局・運営委員
    • 「ふれあい国際交流教室」(8月24日開催)の打合せ
  • センター校会議
    • 第1回(4月28日 菊陵中学校)推進協議会組織づくり、年間計画作成等
    • 第2回(6月28日 浅川中学校)連絡協議会の成果と課題、
      • ふれあい国際交流教室の実施計画の審議等
    • 第3回(11月7日 小倉中央小学校)ふれあい国際交流教室の成果と課題、
      • JSL授業研究の中間報告等
    • 第4回(1月31日 光貞小学校)年間のまとめ、次年度の活動計画等
(2)拠点校等の設置や拠点的機能の整備
  • 小学校3校:小倉中央小・あやめが丘小・光貞小(各小学校に専任教員1名配置)
  • 中学校2校:菊陵中(専任教員2名)・浅川中(専任教員1名)
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • 独立行政法人教員支援機構「外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者養成研修」
    • 6月20日(火曜日)~23(金曜日)専任教員1名が受講
    • 研修後、日本語能力測定方法DLAについて、専任会議で研修
  • 各センター校で日本語能力を測定
    • 9月から10月に研究授業対象児童生徒を中心に測定
  • JSLカリキュラムに基づく授業公開・協議
    • 10月から12月に各センター校で専任教員による研究授業・協議会を実施
(4)「特別の教育課程」による日本語指導
  • 個別の指導計画の作成
  • 帰国・外国人児童生徒個人票の作成
  • 専任会議及び合同会議での指導状況の情報共有
(5)日本語指導ができる支援員の派遣
  • センター校及び居住区の学校への支援員の派遣(センター校5校、訪問校12校に派遣)
  • 中国語、韓国語、フィリピノ語、インドネシア語の支援員7名を委嘱・派遣
(6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 就学時や学期の個人懇談会等で、通訳を実施。(要望がある際にできるだけ対応)

3.成果と課題

(1)運営協議会・連絡協議会の開催

成果

  • センター校会議を年間4回開くことにより、北九州市帰国・外国人児童生徒教育推進協議会の事業を計画的に進めることができた。
  • 連絡協議会で日本語指導対象児童生徒の担任が集まって情報を交換することにより、担任の持つ不安や悩みを共有するだけでなく、それぞれが工夫していることを紹介しあう場になった。また、中学生の進路について情報提供ができた。

課題

  • 教員不足や業務軽減が成されていく中、今後もこの運営協議会の組織体系を維持し、連絡協議会の開催を確実に実施すること。
(2)拠点校等の設置や拠点的機能の整備

成果

  • 今年度は日本語指導を受けた児童生徒数が延べ78名となったが、センター校においても居住区の各学校においても、日本語指導及び進路指導をきめ細かく行うことができた。

課題

  • 北九州市は日本語指導対象児童生徒が市内の広域にわたって在籍しており、センター校への通学が無理な場合、初期指導は専任教員または日本語指導員が訪問して行うことになっている。センター校以外で訪問指導を必要とする児童生徒が今年度も増加し、専任教員が各校へ指導に行くことが非常に多くなった。指導員の増員は予算的に厳しいため、雇用体系の見直し等を行い、指導体制の充実に努めていく必要がある。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

成果

  • 授業前に対象児童生徒の日本語能力を把握することができたため、その結果をもとに授業の中でどのような支援が必要であるかが明確になった。
  • ・DLAを活用することにより、4領域の中でどの力が不足しているのかが分かり、それを補うための手立てを工夫することができた。

課題

  • 日本語能力測定をするための時間確保。
  • ・細かい観点がたくさんあり、測定者によって評価の度合いが違ってくる。今後はさらに正確に測定するための専門的な事前研修が、専任教員、また当該学級担任に対しても必要である。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導

成果

  • 「個別の指導計画」の作成による、効果的な日本語指導の追及
  • ・専任会議及び合同会議での指導状況の共通理解を基に、専任教員と日本語指導員の連携による日本語指導及び教科学習支援の実施

課題

  • 「個別の指導計画」の活用の充実。
(5)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

成果

  • 保護者が外国人の場合、母語が分かる支援員が懇談会に入ることで、担任と保護者の話を円滑に進めることができた。

課題

  • 本市も様々な国からの編入児童生徒が増加している。通訳業務等の協力について、今後も北九州国際交流協会と更なる連携をしていく必要がある。
(6)日本語指導ができる支援員の派遣

成果

  • 中国、韓国、フィリピン、インドネシアからの児童生徒については、母語を話せる支援員を派遣することができたため、初期日本語指導及び適応指導が順調に進んだ。

課題

  • 今年度日本語指導対象指導生徒の滞在国は15カ国であった。全ての言語に対応できるわけではないが、北九州市国際交流協会の協力にも協力を仰ぎながら、児童生徒、保護者への支援を行って必要がある。

4.その他(今後の取組予定等)

  • 平成30年度の帰国・外国人児童生徒教育推進協議会で、「特別の教育課程」とともに、特に中学校での成績の考え方についての再度周知する。
  • 日本語指導員の増員は予算的に厳しいため、雇用体系の見直し等を行う必要がある。

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