平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(朝来市)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

運営協議会

 教育委員会、拠点校及び域内外国人児童生徒在籍校、市長部局担当部署、ボランティア団体等

連絡協議会

 教育委員会、域内外国人児童生徒在籍校管理職、学校の担当者等・支援員

2.具体の取組内容

[1]運営協議会・連絡協議会の実施 平成29年6月6日(火曜日)
  • ア)帰国・外国人児童生徒の受入にあたり、日本語指導及び生活支援について、関係機関が集う運営協議会
  • イ)市内の小中学校に通う帰国・外国人児童生徒の支援について母語が分かる支援員や担当者同士の情報交換を行う場としての連絡協議会(各校で3学期に開催)
[2]拠点校等の設置や拠点的機能の整備
  • ア)帰国・外国人児童生徒に対する支援体制の整備や日本語指導の実践の共有化
  • イ)地域ボランティアの協力による放課後の日本語指導の実施
[3]日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • ア)日本語能力測定についての説明
  • イ)該当児童生徒の在籍校での実施
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • ア)在籍する帰国・外国人児童生徒の実態把握や「個別の指導計画」の作成についての協議
  • イ)「特別の教育課程」による日本語指導の見直しや改善に向けての協議
[5]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 該当校に児童生徒の母語が分かる支援員を派遣(2時間×1日×12回程度)
[9]成果の普及
  • 校長会、教頭会等で取組の内容や成果を共有

3.成果と課題

[1]運営協議会・連絡協議会の実施

【成果】
 情報を共有する機会を持つことで課題が明らかになり、学校、保護者、行政それぞれの立場で課題の解決に向けて共通理解を図ることができた。

【課題】
 学校と運営協議会の連携だけでなく、部局やボランティア団体等関係機関との連携について整理し、協力体制を整える必要がある。

[2]拠点校等の設置や拠点的機能の整備

【成果】

  • 就学先の学校と支援体制について協議を行うとともに、対応等について情報提供することでスムーズな就学につなげることができた。
  • ボランティア等の協力による放課後の日本語指導により、特に中学生の生活言語の習得が進み、特に中学生の生活言語の習得が進み、円滑なコミュニケーションを図る上での一助となった。

【課題】

  • 教育委員会と該当校、また該当校同士の日常的な情報交換が大切である。
  • 地域ボランティアの人材確保や登録制度、有償制度等についての課題がある。
[3]日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

【成果】

  • 日本語能力測定についての理解を深めることができた。
  • 課題を明確にすることで、効果的な日本語指導に役立てることができた。

【課題】

  • 多くの教員が日本語能力測定方法を活用できるような研修が必要である。
  • 該当児童生徒が在籍しない学校の教職員にとっては課題として捉えにくい面があり、日本語能力測定についての理解が得られにくい。
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の実施

【成果】

  • 「個別の指導計画」を生かした指導が、該当児童生徒の日本語能力の向上につながった。
  • 「特別な教育課程」による指導の見直しを行い、指導方法の改善を図ることができた。

【課題】

  • 該当校では、担当者が中心となって指導を行っているが、他の公務もある中で負担が大きい。
  • 該当児童生徒が在籍しない学校の教職員にとっては、課題として捉えにくい面があり、「特別の教育課程」の必要性に対する理解が得られにくい。
[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣

【成果】

  • 母語が分かる支援員を派遣することで児童生徒が安心して学校生活を送ることができた。
  • 本年度も中国からの途中来日した児童があった。就学に関する面談時に、支援員がアドバイザー役として同席し、就学先や中国での学習状況、保護者の希望等について円滑に話し合うことができた。
  • 現在の支援員は、日本語の細かなニュアンスの違いも理解でき、保護者支援を含め、学校と家庭とのコーディネートもスムーズできた。

【課題】

  • 支援者の派遣回数に制限があったため、計画的・継続的な支援が十分にできない期間があった。
  • 年度途中に来日した生徒への支援については、年度当初の計画では派遣体制がとれず、対応に追われることがあった。
[9]成果の普及

【成果】

  • 帰国・外国人児童生徒の支援について成果や課題を共有することができた。
  • 該当児童生徒が在籍しない学校についても取組を共有することができた。

【課題】

  • 情報を共有するだけでなく、取組の改善や実践の定着、普及につながるよう工夫する必要がある。

4.その他(今後の取組予定等)

  • ここ数年外国からの緊急来日が増えている。地域性もあり、必ずしも母語が分かる支援員が常時確保できるとは限らない。近隣の日本語教室からの情報を得るなど情報交換を密にし、多文化及び多言語を理解できる支援員を確保する必要性がある。
  • 学校だけでなく、地域住民が異文化を受け入れるための素地づくりの必要性を感じている。
  • 地域ボランティアの有効な支援体制を確立していく必要性がある。

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