平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(泉大津市)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 名称:日本語指導の必要な児童生徒に係る連絡協議会
  • 構成員:各校管理職、特別支援コーディネーター、こども支援コーディネーター、人権教育担当、児童生徒が在籍する通常学級担任、市教委担当者
  • 開催回数:年度当初と年度末
  • 内容:「個別の指導計画」作成 、日本語指導が必要な児童生徒が転入した際の配慮や留意事項等
     日本語能力測定方法(DLA)の活用について

2.具体の取組内容

(1)連絡協議会の実施
  • 連絡協議会では、各校の児童生徒について状況を把握し、支援体制の共有を図った。また、「個別の指導計画」について削除する項目や新規で追加する項目、実際に使用してみて見直しが必要な点などを検討した。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • 7月4日 「日本語指導が必要な児童生徒への支援」について研修会を実施した。
    • 講師:大阪府教育センター人権教育研究室 指導主事
    • 参加人数:66名
    • 内容:日本語指導が必要な児童生徒の現状と必要な支援について学び、日本語能力測定方法(DLA)について理解を深める
  • DLAの実践・研究
     対象:渡日1年未満の中国籍小学2年生の児童と渡日3年未満のインド籍小学5年生の児童
     テスト者:学級担任、市教委担当者
  • 結果については、校内の支援委員会で共有し、学習支援に生かした。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 「日本語指導が必要な児童生徒に係る連絡協議会」において、「個別の指導計画」の様式と個々の指導計画について検討した。「個別の指導計画」では、「児童生徒の具体的な状況」「日本語指導の計画」(学校体制、担当教員の配置
     特別の教育課程編成等)を記載し、年度替わりには校内体制を見直し、一貫した指導ができるようにした。
  • 各校で作成した「個別の教育計画」を市教委へ提出
  • 各校にて学期末に指導計画を見直し、日本語理解の状況に応じた最善の指導ができるように努めた。
(5)日本語指導ができる支援員の派遣 (6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 対象人数 日本語指導が必要な児童生徒7名(平成30年1月31日現在)に対して5名の日本語ボランティアを派遣
  • 対応言語 英語、中国語
  • 対象学校種 市内公立小・中学校
  • 勤務形態 原則、週に1~2回、2~3時間程度
  • 帰国渡日間もない児童生徒の支援については、日本語理解の状況に応じて配置時間を考慮した。
(9)成果の普及
  • 7月実施した研修会では、本市の外国籍児童生徒の推移や日本語指導が必要な児童生徒の状況、自校の急な外国籍の児童生徒の転入があった際に、適切な対応や支援ができるよう日頃より学校体制を構築する必要があることを周知し、理解を深めた。
  • 「特別の教育課程」による実践交流については、連絡協議会で共有した。

3.成果と課題

(1)連絡協議会の実施
  • 本市は、支援の必要な児童生徒7名の内、小学5年生(次年度6年生)が3名である。中学校進級に向けての適切な支援を話し合う場として機能できればと考える。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • ・1学期中に府教センターの指導主事によるDLA研修を行ったので、現場の周知は進んだように思う。
  • ・DLAを実施した児童については、市外に転出の際の日本語理解能力の客観的資料として活用したり、校内の支援委員会で結果を共有し、日本語理解の判断材料の一つとして活用した。今年度初めての実施のため、比較できないが、来年度の結果については人権教育担当者会や連絡協議会で共有し、研究の材料としたい。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 就学前施設に通った経験がなく、入学した学校が初めての社会生活経験の場である小学1年生の児童については 学校、家庭、市教委が連携して特別の教育課程による日本語指導を実施した。引き続き来年度も学校の支援体制を強化して取り組んでいきたい。
  • 渡日して3年未満の児童生徒については、学習の遅れを補うため、取り出し指導を行い、きめ細かな支援を行うことができた。
  • 中国から両親の就労のため、急きょ日本へ渡日した小学3年生児童は、全く日本語が理解できなかったため、日本語ボランティアを2名配置し、サバイバル日本語を獲得できるよう指導を実施した。その結果、日常に必要な日本語については語彙が増え、表情も明るくなってきた。
  • 課題として、特別の教育課程で指導していた小学5年生の児童については、クラスでの一人の授業を望んだことがあったが、その後、保護者や児童と話し合い、別室ではなく教室での日本語指導を望んでいたことが分かった。思春期に入った児童の指導については、丁寧な聞き取りとともに、子どもの視点にたった支援を行うことが必要だと再認識した。
(5)日本語指導ができる支援員の派遣 (6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 渡日して3年未満の児童生徒については、学習の遅れを補うため、取り出し指導を行い、きめ細かな支援に努めた
  • 今年度は、経験豊かな日本語ボランティアの配置を行うことができたので、学校や保護者の連携はもちろん、児童との関係も良く、充実した支援を行うことができた。
  • 児童の日本語が上達する一方で、家庭での使用言語が母語の場合、家庭での意思疎通が難しくなることがある。
  • 日本語ボランティア対象の研修機会
  • 言語によっては通訳の獲得が困難
(9)成果の普及
  • 7月に実施した研修では教職員がDLAを実際に体験し、目的や意義、内容について理解を深めることができたので、2学期に学校で実施した際はスムーズに進めることができた。また、その結果については、校内支援委員会で共有し、次の指導に生かすことができた。
  • 当初の計画では、3学期の人権担当者会で実践発表の予定だったが、年度末の連絡協議会で報告し、成果の普及に努めた。

4.その他(今後の取組予定等)

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035