平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(富田林市)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 渡日まもない児童へのきめ細やかな支援体制(日本語能力測定方法(DLA)の活用、特別の教育課程の編成、日本語指導員の配置)
  • 日本語指導研究協議会の開催(年2回)。構成員は、大阪教育大学 講師 、(特活)とんだばやし国際交流協会2名、市教育委員会2名、日本語指導担当教員8名、日本語指導員9名

2.具体の取組内容

(1)運営協議会・連絡協議会の実施について
  • 日本語指導研究協議会の開催(年2回)
     第1回は平成29年4月14日(金曜日)に開催し、「特別の教育課程」作成に係る意見交換やDLAの活用について市教育委員会から講話、指導法や対象児童生徒の様子について日本語指導員どうしの交流を行った。第2回は平成30年3月6日(火曜日)に開催し、「特別の教育課程」に係る意見交換、各校での日本語指導について交流及び検討を行った。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • 対話型アセスメントDLAを9月、3月に実施。
  • 測定結果から語彙力向上のため、日本語とその意味をリンクさせるような学習展開を行う。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 「特別の教育課程」による日本語指導
     午前中の国語の時間は「特別の教育課程」による日本語指導を行う時間と位置づけ、抽出による個別の指導を実施。授業で使用している教科書等を活用。書字の練習とともに母語の指導や母国文化の指導も並行して行った。
(5)日本語指導ができる支援員の派遣 (6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 母語(中国語)のわかる日本語指導員1名を対象児童1名に対して派遣した。上記の個別指導の他、学級への入り込み指導、本児および保護者の相談窓口、懇談や家庭訪問時の通訳も行った。
(9)成果の普及
  • とんだばやし国際交流協会主催の「外国にルーツを持つ子どもたちの交流会」において、実践の概要と成果を発表した。また、日本語指導連絡協議会でも取組の交流を行い、共有した。

3.成果と課題

(1)運営協議会・連絡協議会の実施について
  • 研究協議会を行うことで、日本語指導員どうしの連携が生まれ、指導力の向上につながった。市内各校での日本語指導について、交流ができたことに加え、学識経験者からの助言を得ることができた。
  • 各校において、日本語指導担当教員と日本語指導員が創意工夫して指導にあたっているが、その効果について検証する方法が少ない。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施について
  • DLAの活用により、昨年までと比較して生活言語の習得が進んでいることが確認できた。
  • 無回答のときなど、本児の自尊感情の低下を懸念する場面が見られ、一定の配慮が必要である。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 母語のわかる日本語指導員とともに学習することで安心して学習にのぞむことができた。また、中国語も交えながら日本語とその意味をリンクさせるような学習展開を行うことが出来た。
  • 友達との会話がスムーズになり、仲間が増え、明るく振る舞うようになった。
  • 抽出の授業に取り組むことで、学級での様子を共有する事が出来ないため、疎外感が出ないように配慮をする必要がある。
(5)通訳者の派遣
  • 該当児童の日本語能力が向上し、積極的な生活が送れるようになった。
  • 母語が十分通じる職員がいることにより、該当児童や保護者の安心につながった。
(9)成果の普及
  • 交流会の中で外国にルーツをもつ子どもたちやその保護者に対して発信することで、日本語指導の必要な児童生徒やその保護者の理解が得られ、対象児童生徒の前向きな参加につながった。
  • 参加した市内の他の学校の教職員の日本語指導の体制づくりや、具体的な指導方法の普及につながった。
  • 本児に行っている取組を肯定的に受け止めている保護者は多いが、同様の体制を求められた場合の予算措置と人的配置にはまだまだ課題がある。

4.その他(今後の取組予定等)

(1)運営協議会・連絡協議会の実施について
  • 今後も学識経験者等を活用し、日本語指導員の指導スキルの向上を図る。
  • 次年度は運営協議会の開催回数を年間3回にして更なる充実をはかる。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施について
  • 次年度から中学校に進学するため、本児童の測定結果や取り組み内容など確実な引継ぎを行い、今後の効果的な指導につなげる。
  • DLAを活用できる教員を育成するため、府の研修などに積極的に教員を派遣する。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 「わかる」という安心感が本児の前向きな姿勢や自尊感情の高まりにつながった。今後も個別の指導目標の達成に向けて取り組んでいきたい。
(5)日本語指導ができる支援員の派遣 (6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 本人および保護者にとって、母語がわかる日本語指導員の存在意義は高いため、引き続き、「特別の教育課程」による日本語指導が必要である。配置に向けて、予算及び人的な配置に努める。
(9)成果の普及
  • 今後も取組の成果について周知しながら、市内対象児童の日本語能力を踏まえた支援体制の充実に向けて、予算確保や人材確保に努めていきたい。

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