平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(門真市)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

 事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

2.具体の取組内容

(1)運営協議会・連絡協議会の実施
  • 連絡協議会における情報共有・実践交流
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • 日本語能力測定方法に係る研修会の実施
  • 少数在籍校における日本語能力測定の実施
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 「特別の教育課程」による日本語指導の実施に係る説明会
  • 個別の指導計画に基づいた指導実践の共有
  • 個別の指導計画に基づく実践
(5)日本語指導ができる支援員の派遣 (6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 通訳者の人数・対応言語名・対象児童生徒数
    • 通訳者…14名 うち、5名を本事業にて派遣
    • 対応言語名…中国語・タガログ語・英語・スペイン語・インドネシア語・タイ語・ベトナム語
       うち、中国語・タガログ語・英語で本事業にて派遣
    • 対象児童生徒数…本事業対象25名
(9)成果の普及
  • 在日外国人教育推進協議会での公表
  • 国際交流事業における学習成果発表

3.成果と課題

(1)運営協議会・連絡協議会の実施
  • 協議会において日本語指導に関する情報提供や、交流を行ったことで、本年度より新たに日本語能力測定や児童生徒の日本語能力に応じた個別の指導計画の作成に取組む学校が増えた。また、教材の準備等では、中学校区での連携が進み系統だった日本語初期指導を行うことができた。その他にも、日本語指導加配教員を中心に、日本語能力の段階に応じた指導実践を集約し、指導方法について検討することができた。
(3)日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • 研修会実施後、本年度新たに少数在籍校2校において日本語能力測定を実施することができ、個別の日本語能力を客観的に把握し、個別の指導計画の見直しを行い、個別の実態に応じた指導計画に修正することができた。また、日本語指導担当者だけでなく関係教員が協力することで、学校組織での日本語能力測定のあり方を模索し、把握できた児童生徒の日本語能力を共有したことで、個別の能力に応じた指導ができた。
  • 少数在籍校において教員が実際に日本語能力測定に携わる機会が少なく、経験を積むことができないため、研修会を定期的に開催し教員のスキルアップを図る必要がある。併せて、日本語能力測定の結果を活用した指導計画作成についても継続して学ぶ機会を設ける必要がある。また、日本語能力測定方法の実施経験のない少数在籍校では、実施するためのカードや教材の準備から始める必要がある。そのため、必要がある場合にすぐに実施ができるよう他校との連携ができるようシステムの構築が必要である。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 「特別の教育課程」による日本語指導実施校が新たに6校増え、市内小中学校の65%にあたる計13校において実施できた。「特別の教育課程」による日本語指導を受けた児童生徒数では、約6%増加した。また、中学校進学も見据えて、小中で連携し同じカリキュラムで系統的な日本語初期指導が実施できた。
  • 指導実践発表を参考に、少数在籍校においても個別の能力に応じた教材を準備するなど教員の指導力向上に繋がった。初期指導対象児童Aは、国語テストの正答率20%を目標にしていたが、平均正答率45%まで向上した。
  • 「特別の教育課程」による日本語指導を実施していても、特に少数在籍校では研修会等の情報だけでは不十分な場合があった。加配教員配置校からの協力が得られやすいよう、市として広域での日本語指導体制の構築が必要である。
(5)日本語指導ができる支援員の派遣 (6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 通訳者の派遣により、母語での支援が可能となり、よりきめ細かな指導を児童生徒に対して行うことができ、本事業において通訳者を派遣した対象児童生徒全体で、約41.6%の日本語能力向上がみられた。また、渡日直後の児童生徒にとって、生活面での日本語支援のみでは分からないことが多く、学校生活における母語支援は本人及び保護者の不安感を和らげることにつながった。また、日本語指導方針や進路指導において、児童生徒本人や保護者の意向を丁寧に聞き取ることができ、指導や支援について最善の方法を検討することができた。
  • 通訳者の中には自らがJSL学習者である方もおり、日本語学習時の経験を踏まえた教員への的確な助言があり、指導計画作成に役立った。
  • 学校教育について知識のある通訳者でないと定期的な派遣が難しい。そのため、学校側が必要とする時間に通訳者の派遣ができないこともある。また、サバイバル言語を習得した後も、学習言語を習得し日本語での学習に参加するために定期的な通訳者派遣が不可欠である。
(9)成果の普及
  • 転出入が非常に多いため、少数在籍校において編転入があった際、公表された取組や成果を参考に対応することができた。学習成果の発表では、少数在籍校の児童生徒が、他校の日本語指導を受ける児童生徒と交流することで意欲の向上に繋がった。また、市内での取組みを共有することができた。(参加者384名 うち、小中学生148名)
  • 市内全域の学校における成果の普及だけでなく、一般市民への普及ができるようホームページや広報誌の活用をするなど工夫が必要である。

4.その他(今後の取組予定等)

  • 市内全域どこの学校で直接編入があるか分からない現状があり、どの学校においても、日本語指導が必要な児童生徒が必要な指導を受けられるよう準備しておく必要がある。そのために、教員の指導力向上を目指した協議会や研修会を継続して実施するとともに、拠点校からの巡回指導を行うなど市内全域での広域日本語指導体制の構築を図る。

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