教育委員会事務局内に鈴鹿市日本語教育支援システム構築プロジェクト会議を設置した。構成員は,教育長,次長,参事,関係各課課長,外国人児童生徒在籍校校長代表,日本語教育担当者代表,指導助言者(大学教授)となっている。
外国人児童生徒等の在籍が多い学校を中心とした,日本語教育担当者ネットワーク会議を設置した。構成員は市内の15小中学校の日本語教育担当者となっている。
[1]日本語教育支援システム構築のためプロジェクト会議を設置し,日本語教育の推進に係る運営管理を行った。年2回開催し,5月には日本語教育の推進にむけた計画,2月には取組の検証を行った。
日本語教育担当者ネットワーク会議を年6回実施した。特別の教育課程による日本語指導についての実践研究と情報交換を行った。
[2]教育委員会事務局に日本語教育コーディネーター配置し,市内の支援システム構築,日本語指導体制づくりを行った。
[3]外国人児童生徒が在籍するすべての小中学校においてJSLバンドスケールを活用し,日本語の力を測定した。それぞれの個の実態に合わせた個別の指導計画も作成し,学習評価も行った。
[4]40校中31校に日本語指導担当者を配置した。特別の教育課程を編成し,取り出しによる日本語指導を行った。JSL児童生徒の在籍が少なく国際化対応加配教員が配置できなかった学校においても,教員免許を有する日本語指導講師を配置し,取り出しによる日本語指導を行った。
[5]教員免許を有する日本語指導講師を6名雇用し, 小学校22校,中学校9校計31校で取り出しよる日本語指導を行った。
[6]学校生活への適応に時間を要する児童生徒や来日間もない児童生徒のために,タガログ語・英語,中国語のバイリンガルの就学促進員を委嘱し,児童生徒への適応支援を行った。
[7]10月7日(土曜日)近隣の高等学校として連携して,高校進学や進路保障に向けた進路ガイダンスを開催した。
[8]外国人幼児と保護者を対象に就学ガイダンス及びプレスクールを開催し就学支援を行った。就学年齢にある外国人の子ども及び保護者に広く情報提供を行った。
JSLカリキュラム研修会を開催し,教科学習の中での日本語指導の在り方や「書く」に視点をおいた指導方法について研修を深めた。
[9]1月29日(月曜日)に小中学校40校の市内の多文化共生教育担当者及び日本語教育担当者,教育関係者,地域関係者を対象に,日本語教育推進について交流を行う実践発表会を行った。
各校の実践,ポスターセッションによる9校の実践発表,テーマに分かれた話し合いを行った。
[1]日本語教育支援システムのさらなる充実を図り,外国人児童生徒一人ひとりの日本語能力をより的確に把握し,学力保障・進路保障を進めていく必要がある。
日本語教育担当者ネットワーク会議のメンバーが中心となり,多文化共生教育を基盤とした日本語指導の在り方や取り出しによる分かりやすい授業づくりについて共通理解が進んだ。また,学びをつなげて学力定着・進路保障を行う上で,今年度取り組んだ小学校から中学校へつないでいくための実践研究をさらに進めていく必要がある。
[2]学校での途中編入生徒が多く在籍する学校では,日本語指導体制を状況合わせて変えていく必要が あり,体制が作りにくい実態もある。今後は,中学校での実践を進めていき,体制づくりを進めていく必要がある。
[3]教員,担当者等は毎年異動がある。そのため,毎年継続的にバンドスケールによる測定の目的,方法等研修を行い,職員間で年度初めに共通理解を図る必要がある。
[4]学習評価が年間の取組の中に十分に位置付いていないことで,個別の指導計画が日々の指導や支援に活かせていない学校もある。一方で「特別の教育課程」による日本語指導の実施が4年目となり,校内で個別の指導計画を活用した指導・支援体制づくりが整ってきている学校もある。研修会等を通して先進事例を紹介し,取組を広めていく必要がある。
[5]JSL児童生徒の在籍が少なく国際化対応加配教員が配置できなかった学校にも,教員免許を有する日本語指導講師を配置し,取り出しによる日本語指導を実施することができた。
転出入にもできるだけ柔軟に対応したが,状況によっては日本語指導講師の配置が間に合わないことも考えられる。より迅速に対応できる体制を考える必要がある。
[6]子どもや保護者が日本での学校生活に不安を抱えている時,子どもの気もちを母語で聴いたり,保護者の思いを受け止めたりすることで,登校を促すことができた。多様な地域からの編入が続いており多言語での対応が求められてきている。人材確保が必要であり,そのために近隣の学校関係,諸団体とも情報共有を進めていきたい。年度途中の編入も多いため,柔軟に対応できる支援体制を整備していく必要がある。
[7]進路ガイダンスの実施により近隣の高等学校と協働することができた。参加した保護者,生徒が日本の高等学校等のシステムについて理解することができ,進学するためにすべきことを実感することができた。またキャリア教育を視点においた実践を小学校から取り組む必要である。
[8]日本の学校に初めて入学させ保護者にとって,相談もでき安心して就学できる情報を提供できた。ただ,さらに早い段階から保護者向けに教育の意識付け行うために,他課と連携をし,市内にある保育園,幼稚園に向け発信をする必要がある。
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