平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(静岡県)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 会議名:「帰国・外国人児童生徒等教育連絡協議会」
  • 構成員:
    • 外国人児童生徒が在籍する市町の教育委員会担当指導主事等
    • 政令市教育委員会担当指導主事等、外国人児童生徒スーパーバイザー・相談員等
    • 教育事務所地域支援課担当指導主事等、義務教育課指導監・担当指導主事等
    • 県多文化共生課担当、県国際交流協会担当
  • 運営体制:県多文化共生課、県国際交流協会との連携により、市町多文化共生担当も参加する終日の会議とする。
  • 内容:大学有識者等の講義、行政説明、事業報告、事例発表等

2.具体の取組内容

[1]運営協議会・連絡協議会の実施
  • (運営体制)県多文化共生課、県国際交流協会との連携により、市町多文化共生担当も参加する終日の会議とする。
  • (内容)講義(講師:東京学芸大学 齋藤ひろみ教授)、行政説明、事業報告、事例発表等
[3]日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施

平成29年度外国人児童生徒担当教員等研修会において、平成28年度に「外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者養成研修」参加者から日本語能力測定方法の概要及び「はじめの一歩」
 「読む」について、伝達及び演習を行った。本研修会をふまえ、参加者が自校での実践を進めた。
 【静東教育事務所管内】平成29年5月24日(水曜日) 参加者25人
 【静西教育事務所管内】平成29年6月1日(木曜日) 参加者54人

[4]「特別の教育課程」による日本語指導の実施

 「日本語指導が必要な児童生徒支援研修会」と題して特別の教育課程に関する内容を中心とした研修会を実施した。講師は、文部科学省初等中等教育局国際教育課 外国人児童生徒等教育支援プロジェクトオフィサー 近田由紀子氏を招聘した。県内5会場にて開催し、合計104人が参加した。

[6]児童生徒の母語がわかる支援員の派遣

 ポルトガル語 4人、スペイン語 3人、中国語 6人、フィリピノ語 4人、ベトナム語 1人 (うち4人は、教員免許状保持者)
 外国人及び日本国籍を有するが日本語指導が必要な児童生徒の学校生活への適応(外国人保護者の日本の学校生活への理解が児童生徒の適応にも深く関わるため、保護者への通訳支援も含む)や学習内容の理解を支援するために、上記の言語及び人数の相談員・SVを任用し、市町教育委員会・学校の要請に応じて派遣した。年度途中には、中国語・フィリピノ語の要請が増加しているため、増員した。
 相談員及びSVの訪問回数:小学校770回 中学校344回 特別支援学校210回  合計1324回

[8]追加実施項目「少数在籍地区へのスーパーバイザー派遣」

 新規に、少数在籍地区担当のスーパーバイザーを2人任用し、通称「日本語支援コーディネーター」とした。各教育事務所に1人配置。
 任用の条件は、日本人であり、日本語指導が必要な児童生徒に対して日本語による日本語指導の経験がある者で、日本語教室等の運営に関わったことがあったり、ボランティアや支援員等の取りまとめ役等として活動したりした経験がある者とし、県国際交流協会に人材推薦を依頼した。

[9]成果の普及

 静岡県教育委員会教育広報紙 Eジャーナルへの記事掲載
 静岡県教育委員会義務教育課Webページへの事業成果等の記事を掲載

3.成果と課題

[1]運営協議会・連絡協議会の実施
  • 成果
     県多文化共生課や国際交流協会と連携し、市町首長部局の多文化共生担当課等の担当職員との「合同ネットワーク会議」とした。市町教育委員会担当と市町多文化共生担当が一堂に会する会議となり、一層の連携推進を図ることができた。
  • 課題
     会議への参加数は、合計70人という成果であったが、日程調整が難しいとのことで担当が参加できない市町もあったため、会議日については、年度当初に連絡し、できるだけ多くの担当が集まることができるようにする。
[3]日本語能力測定方法等を活用した実践研究の実施
  • 成果
     研修会参加者からは、「DLAの使い方について自信がなかったが、何回も実施してだんだん結果がよくなっていくことを期待すればよいということが分かって安心した。」「ポイントを明確に話してくださったので、冊子や資料を基に理解を深めることができた。」等の声が上がったことは、大きな成果であった。
  • 課題
     外国人児童生徒担当教員等研修会において、毎年同様の伝達を実施しているが、参加者=外国人児童生徒等担当教員の多くが異動したり変わったりしているため、研修内容がなかなか広まっていかないという実態がある。また、市町教育委員会の担当指導主事も毎年のように変わってしまう上に、たくさんの業務を抱えているため、学校及び担当教員への指導が十分に行うことができているとは言えない。研修会や連絡協議会への積極的な参加を促すとともに、日本語能力測定方法の活用について等、市町内の学校及び担当教員への指導助言を行えるようにしていく。
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 成果
     担当教員や支援員等だけでなく、管理職の参加もあり、研修後に特別の教育課程の編成に着手した学校もあった。
  • 課題
     県内33市町のうち6市町での開催であったため、まだまだ十分でないと考えており、今後も継続して実施していく予定である。
[6]児童生徒の母語がわかる支援員の派遣
  • 課題
     該当児童生徒が、クラスの友達との関係、学級担任や外国人児童生徒担当教員との連携、保護者の理解等、様々な要因がバランスよくかみ合っていくことで、「学校が楽しい」と感じられるようになる。こうしたことを意識して今後も支援に当たっていくことが大切である。
[8]追加実施項目「少数在籍地区へのスーパーバイザー派遣」
  • 成果
     小学校13校、中学校3校を訪問し、特別の教育課程の編成・実施のため児童生徒の実態把握をし、具体的な計画の作成のための助言を行った。
  • 課題
     小数在籍学校への訪問だけでなく、加配教員のいる学校にも訪問している。これは、新任の加配教員が多く、日本語指導についてのノウハウや知識・経験がほとんどないためであった。次年度以降も日本語支援コーディネーターの派遣を充実させるとともに、前述の「日本語指導が必要な児童生徒支援研修会」の開催も継続して行っていく。
[9]成果の普及
  • 成果
     本県の状況及び事業について、広く取組が周知された。
  • 課題
     今後も継続的に記事の掲載を行い、本県の外国人児童生徒等の状況や事業について周知していく。

4.その他(今後の取組予定等)

 日本語教育学会が受託している文部科学省事業との連携を進め、教員等の資質向上を図る研修会を実施し、内容の充実を図る。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035