平成29年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(厚木市)

平成29年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

外国籍児童・生徒等指導推進部会(運営協議会)
  • 国際教室担当者(小学校 11校 中学校 5校)、教育委員会担当者、日本語指導協力者派遣校担当者(第2回)
日本語指導協力者連絡会
  • 日本語指導協力者(12言語 24人)、教育委員会担当者

2.具体の取組内容

(1)協議会の実施
  • 外国籍児童・生徒等推進部会(国際教室担当者、日本語指導協力者派遣校担当者(第2回)、教育委員会担当者)
    • 【目的】
       日本語指導を要する外国籍の児童・生徒や帰国児童・生徒が学校生活に適応できるよう、指導内容や指導方法等について研究し、情報交換及び情報共有を通して指導の充実を図る。
    • 【内容】
      • 国際教室の円滑な運営、指導についての研究協議
      • 特別の教育課程編成に係る情報共有
      • 日本語能力測定に関する研修(講義・演習等)
  • 日本語指導協力者連絡会(日本語指導協力者、教育委員会担当者)
    • 【目的】
       日本語指導上の諸問題への対応と望ましい指導の在り方について情報交換及び情報共有を図る。
    • 【内容】
      • 対象児童・生徒についての状況報告
      • 指導の成果と課題、今後の指導等についての研究協議
      • 今後の指導方針・指導体制についての情報共有
(3)日本語能力測定(対話型アセスメントDLA)を活用した実践研究
  • 対話型アセスメントDLAの活用に向けた講義・演習
    • 日本語能力測定の基礎を学び、それに基づいた日本語能力の把握と学習支援の在り方を検討し、今後の指導に生かす。
  • 日本語能力測定による評価・報告
    • 対話型アセスメントDLA実施状況及び評価の報告
    • 日本語指導協力者による個別指導状況報告
    • 次年度へ向けた日本語指導支援の方向性検討
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 「特別の教育課程」による日本語指導に向けた協議
    • 特別の教育課程編成に係る情報共有
    • 指導事例等による指導や運営についての研究協議
  • 特別の教育課程編成の実施及び報告
    • 実施計画書の作成・提出
    • 国際教室担当者及び日本語指導協力者による計画的な指導
    • 特別の教育課程による指導対象:小学校 204人 中学校 54人
    • 実施報告書の作成・提出
(5)日本語指導ができる指導員の派遣
  • 日本語指導教室支援員の派遣
    • 日本語指導教室設置校への支援員派遣
    • 日本語の基礎的な読み書き、会話の指導、教科指導の補習、生活適応指導、教育相談等

   ※小学校 5校  週1回 2時間 各校 3人派遣

(6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 日本語指導協力者の派遣
    • 教育課程内の時間に、日本語指導を必要とする児童・生徒への個別指導を実施
    • 日本語の基礎的な読み書き及び日本語の会話の指導、生活適応指導、家庭との連絡指導等
      ※12言語 24人  小学校 19校  中学校 8校 計27校へ派遣
      (英・中国・タガログ・ベトナム・韓国・ラオス・カンボジア・ポルトガル・スペイン・ウルドゥ・シンハラ・タミル)
  • 日本語指導協力者連絡会の実施
    • 対象児童・生徒についての状況報告
    • 指導の成果と課題、今後の指導等についての研究協議
    • 今後の指導方針・指導体制についての情報共有
(9)成果の普及
  • 小中学校長会における実践報告
    • 1年間の取組の内容、成果、課題等の報告
    • 来年度へ向けた方向性の伝達、協力要請
  • 日本語指導協力者派遣校への情報提供
    • 特別の教育課程編成について
    • DLAの活用について
    • 国際教室における実践の共有

3.成果と課題

(1)協議会の実施
  • 外国籍児童・生徒等推進部会(国際教室担当者、日本語指導協力者派遣校担当者、教育委員会担当者)
  • 日本語指導協力者連絡会(日本語指導協力者、教育委員会担当者)
    • <成果>
       協議会を実施することで、国際教室の運営や学習指導について情報の交換及び共有を図り、課題改善につなげることができた。国際教室を設置していない学校への情報提供の場にもなり、日本語指導に生かすことができた。連絡会では、日本語指導協力者の作成する指導個人カードを基に協議を行い、児童・生徒の学習状況をより詳しく把握することができ、次年度の日本語指導協力者の派遣を含めた支援の見通しをもつことができた。
       特別の教育課程編成についての情報も共有することができ、個別指導計画による指導を進め、個に応じた適切な支援を進めることができた。また、日本語能力測定に係る研修では、講義・演習を通してその必要性を広め、測定実施の素地を作ることができた。
    • <課題>
       回数が多くないことから、欠席した場合の情報伝達や中途での各学校の状況確認等、情報共有がしきれない部分も見られ、実施回数の検討や連絡をより密にしていくなど、改善が必要である。
       また、国際教室が設置されていない学校における外国籍児童・生徒等への日本語指導について、情報の共有や支援が行き届かない部分も見られるため、国際教室設置校担当者との交流がさらに必要である。
(3)日本語能力測定(対話型アセスメントDLA)を活用した実践研究
  • 対話型アセスメントDLAの活用に向けた講義・演習
  • 日本語能力測定による評価・報告
    • <成果>
       対話型アセスメントDLAの必要性や実施方法、支援への活用方法など、基本的な理解を深め、日本語能力測定の実施につなげることができた。実際に、測定・評価を実施する学校が見られるようになり、児童・生徒に対する適切な支援につなげることができた。
    • <課題>
       実施に当たっては、準備や実施時間の管理、評価方法等、さらに情報交換及び研究を進め、どこの学校でも実施していくことができるような環境を整備していく必要がある。特に、国際教室が設置されていない学校については、国際教室設置校担当者等との情報共有を図り、適切な支援ができるようにしていきたい。
(4)「特別の教育課程」による日本語指導の実施
  • 「特別の教育課程」による日本語指導に向けた協議
  • 特別の教育課程編成の実施及び報告
    • <成果>
       協議会の中で情報共有を図ることで、国際教室設置校全校で特別の教育課程編成による日本語指導の実施につなげることができた。また、個別の学習計画の作成に加え、日本語指導協力者の派遣により、個に応じた効果的な指導を行うことができ、日本語能力や学力の向上につなげることができた。
    • <課題>
       学校や児童・生徒の状況により個別指導が困難な場合が見られたので、場面に応じた指導の在り方について研究を進めていく必要がある。また、国際教室が設置されていない学校における特別の教育課程編成について研究を進め、きめ細かな支援ができるよう努めていきたい。
(5)日本語指導ができる指導員の派遣
  • 日本語指導教室支援員の派遣
    • <成果>
       週1回、1時間程の学習時間ではあるが、5校の小学校で85人の児童に対し、複数の支援員による指導により、個に応じた細かな日本語指導や教科指導の補習を行うことができた。また、言葉や教科の学習だけではなく、日本の文化等に触れた学習や生活適応についての相談等も見られ、児童・生徒にとっては有意義な時間になっている。
    • <課題>
       原則として外国籍児童・生徒の多い学校で開室しているため、その他の学校に在籍している児童・生徒に支援することができていない。
(6)児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • 日本語指導協力者の派遣
  • 日本語指導協力者連絡会の実施
    • <成果>
       小学校 19校 中学校 8校で185人の児童・生徒に派遣し、個に応じた日本語指導及び教科指導を行うことで、児童・生徒の基礎・基本の定着を図ることができた。特に、母国語の分かる協力者の指導により、初期の日本語指導対象者の学校生活への適応を速やかに行うことができた。また、母語で話すことができる支援員は、学習のみならず、学校生活や家庭での不安や悩みを話すことができ、日本語が分からない児童・生徒にとって大切な存在となっている。
    • <課題>
       対応できない言語を母語とする児童・生徒への支援が行き届かなかったため、新たな言語の協力者の確保が必要である。また、協力者は他の仕事や活動を兼務しており、派遣できる時間が限られているため、必要な児童・生徒に十分な時間の派遣ができているとは言えない状況である。新規の協力者の確保に努め、十分な時間の支援をできるようにしていきたい。 
(9)成果の普及
  • 小中学校長会における実践報告
  • 日本語指導協力者派遣校への情報提供
    • <成果>
       外国籍児童・生徒が増加している中で、管理職の方に改めて支援についての現状を理解していただき、今後の取組への協力をお願いすることができた。また、国際教室を設置していない学校に対して日本語指導を行う際の情報を提供し、指導・支援につなげることができた。
    • <課題>
       まずは、市内において外国籍児童・生徒等支援の理解を広めるために小学校長会での報告をしているが、市内だけではなく、他市の状況等も踏まえ、もう少し広範囲での情報交換を図ることができると、より効果的な支援を実現していけると考える。国際教室を設置していない学校においては、日本語指導の在り方等についての情報が不足している部分もあるため、更なる情報共有の場づくりや情報の提供を行っていかなければならない。

4.その他(今後の取組予定等)

  • 効果的な指導を実施するための日本語指導協力者の確保及び配置の継続
  • 国際教室が設置されていない学校における支援の在り方の研究
  • 他自治体等との情報共有

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035