平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(浜松市)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

【実施主体】 「教育相談支援センター」(教育委員会指導課)

(1)外国人児童生徒への支援

  • ア 小中学校への支援
    • (ア)就学サポーターの派遣
      (ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、中国語、インドネシア語)
    • (イ)指導補助者の配置
    • (ウ)教員、支援者の研修

(2)相談対応

  • ア 相談員・協力員の配置、学校訪問
  • イ 教育相談

(3)ライフコースをふまえた適時的な支援

  • ア 就学ガイダンスの実施
  • イ 入学準備ガイダンス
【浜松市外国人子ども支援協議会】・・・15人

(1)構成員
 静岡文化芸術大学教授(会長) 、浜松国際交流協会専門理事(副会長) 、静岡県教育委員会指導主事、ハローワーク専門官、保護者代表、NPO代表(子供支援、幼児支援)、企画部国際課長、こども家庭部幼児保育課幼児教育指導担当、市立高校校長、県立高校教頭(定時制)、市立小中学校校長代表、市立幼稚園園長代表 、教育長、学校教育部長

2.具体の取組内容

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

[1]運営協議会、連絡協議会の実施

 外国人の子ども教育に精通する委員15人で構成。
 年3回開催(第1回5月、第2回10月、第3回1月)
 全市的な支援について、浜松の地域性を踏まえての意見交換を行った。

  • ア 教員の力量を高めるための研修について
  • イ 保護者への情報提供について
  • ウ 就学前も含めた、初期適応の在り方について。
[3]ア日本語能力測定方法の活用 (必須実施項目)

 「児童生徒のための日本語指導とDLA活用法研修会」を年2回開催(6、9月)。
 以下の内容について、研修を行う。

  • ア DLA「書く」の実践
  • イ DLAの結果の指導への活かし方
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施

 年2回開催(5、10月)。

  • ア 「個別の指導計画と日本語指導プログラムについて」
  • イ 「個別の指導計画」に基づく日本語指導について」
[5]日本語指導ができる支援員の派遣
  • ア 指導補助者の配置
    • (ア)小学校:算数科の取出し指導
       在籍学級の学習進度に合わせた算数科の指導を行う。JSLカリキュラムを取り入れ、学習用語及び算数科における日本語の表現の定着を図る。
    • (イ)中学校:日本語及び学習支援
       学校や生徒の実態に応じて、授業への入り込みや取り出し指導または、放課後等の補充学習支援を実施する。
[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • ア 児童生徒就学サポーターの派遣
     市内小中学校67校に派遣。
     ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、中国語、インドネシア語
     計37人
  • イ バイリンガル相談員
     教育相談支援センターに常駐
     ポルトガル語、タガログ語、スペイン語、英語、計5人(浜松市非常勤3人、委嘱2人)
  • ウ バイリンガル協力員
     教育相談支援センターに常駐 1人(委嘱)
  • エ 就学促進員
     要請に応じて各学校に派遣、3人(委嘱)
[8]その他
  • ア 外国人児童生徒就学サポーター等の資質向上を目指した研修会の実施
     年間 7回
  • イ 入学準備ガイダンスの実施
     来年度小学校に入学する外国籍の子供と保護者に対する学校の説明
     年間 2回(10月、2月)
  • ウ 「進路について語る会」の実施及びロールモデルとの出会い
    • (ア)進路について語る会の実施
       浜松市で進学・就職をすることを目指す児童生徒とその保護者が、先輩の体験談を聞く会
    • (イ)ロールモデルとの出会い
       外国人としての生き方や考え方の手本となるロールモデルを学校に派遣する。
  • エ 先進地視察
     甲府市教育委員会及び甲府市立大国小学校
  • オ ステップアップクラス
     進学を目指す中学生の個別学習の支援のための通級型教室を実施。
     市内2教室で実施。年間62回、1回75分。(午後5時45分~7時)

3.成果と課題

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

[1]運営協議会、連絡協議会の実施
  • ア 成果
     有識者を交えた協議を受けて、本年度は「進路について語る会」を新規で実施することができた。また、来年度については、「外国人児童生徒指導担当リーダー研修」の実施を予定している。
  • イ 課題
     知識や経験を積んだ教員が異動により、その専門性を活かせない分掌になることもある。研修を受けた人が、外国人の多い加配校に異動するような仕組みが必要である。
     幼稚園や保育園に通っていない子供の保護者への情報提供の仕方が課題である。
[3]日本語能力測定方法の活用 (必須実施項目)
  • ア 成果
     DLAの測定結果をもとにして、どのような指導をすると児童生徒の力が伸びていくのか、具体的な方法を教員が共有することができた。
  • イ 課題
     DLAの実施方法を知りたい教員と、生かし方を知りたい教員がいる。双方に対応できる研修の在り方が求められる。
[4]「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施(必須実施項目)
  • ア 成果
     実際に作成した「個別の指導計画」を持ち寄り、協議を行うことで、児童生徒の日本語能力に合った指導に向けて話し合いをすることができた。
  • イ 課題
     「個別の指導計画」が形だけのものにならないようにするためにも、1年間を見据えた計画の立案及び具体的な指導のためにさらなる研修を行っていきたい。
[5]日本語指導ができる支援員の派遣
  • ア 成果
     少人数指導により、個々のつまずきや理解の状況に応じて指導を行った結果、学習に対する意欲が向上した。定期テストの結果に学習の成果が表れた生徒も見られた。
  • イ 課題
     指導補助者を全ての学校の要望に応えることができない。また、日本語指導及び学習指導できる人材を探すのが困難である。
[6]児童生徒の母語が分かる支援員の派遣
  • ア 成果
     母語話者が近くにいることで、母語で自分の思いを伝えられることにより、心のよりどころとして安心感を子どもに与えることができた。また、保護者に対して状況に応じて対応を判断できる相談員がいることで、外国人保護者が安心して母国語で相談できる体制が整ってきた。
  • イ 課題
     会話に支障がある児童生徒のいる全ての学校に、支援者を派遣できていない。支援体制の見直しと共に、サポーターとして雇用できるバイリンガルの確保も引き続き行っていきたい。
[8]その他
  • ア 成果
     バイリンガル支援者が校内で初期適応支援を行うための知識を得、具体的な支援の仕方(指示の仕方、指導の順序など)について学ぶことができた。
     入学、進学に係わる情報提供の場を設けることで、保護者が抱いている不安を解消できた。
  • イ 課題
     バイリンガル支援者が、さらにスキルアップを図ることが必要である。また、支援者にとって、学校で初期適応指導の際に使える教材があまり多くないことも課題である。
     ステップアップクラスについては、交通費が払うことができないため、通えなくなってしまった生徒がいた。

4.その他(今後の取組等)

(1)外国人児童生徒指導担当リーダー研修の実施。

(2)浜松市の特徴(集住・点在の混在、多国籍化)に合った支援体制の再考。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035